─ デッキ ─
[本当にデッキに来る必要は無かったのだが。
興奮してしまっている自覚はあるので、潮風に当たって頭を冷やせばちょうどいいだろう。
白いベンチに座り、胸ポケットからショートピースを取り出す。ペン型ボイスレコーダーは既に録音を停止して胸ポケットに戻してある。]
すーーーー……。
[ゆっくりと煙を味わおうとするが、上手くいかない。
つい強く吸ってしまったようで、煙草の葉が舌に乗った味がした。反射的に吐き出す。]
べっべっ!
あ゛〜〜〜……。
[いやもう、落ち着けという方が無理だろう。
イアンの頭の中では、
『テレビ業界の暗部!“ヤラセ”はここまで来た!』
『暴かれた性癖!○人のゲイ達に仕掛けられた罠!』
『豪華客船で酒池肉林!乱れに乱れたオフ会の実態!』
などという、下世話な週刊誌にありがちな見出しがバンバン飛び交っているのだった。]
(278) 2014/06/10(Tue) 01時頃