空から女の子が――なんて、そんなロマンチックなシーンならいいけど。
そうじゃない、からね!
[ぴんと背を伸ばした立花>>253のすぐ隣、一歩前に控える。
両手を胸に抱く、なんて愛らしい仕草では待てないけれど、本当に万が一億が一があればと、すぐ動けるように立つ。
返して。赤ちゃん、返して。
女の声>>#2と立花>>254の声が重なって、一瞬ひやりとした。例えば今度は彼女が依り代になって、彼女に牙を剥くのではないかという錯覚。]
……や、だ、ちょっと。びっくりさせないでよ。
[思わず後ろを振り向いた瞬間の顔が、どんな険しさだったか自分では想像も出来ない。
すぐにほうと息をついたけれど、表情を伺う視線とはかっちりと噛みあった。]
怖くない?
[首を下ろせない立花を、反対に不安げに見て。
誰かが落ちそうにベランダから身を乗り出さない限りは、そのまま座り込む彼女に寄り添うよう、身をかがめた。]
(275) 2013/09/06(Fri) 22時半頃