おや、作業中だったか。すまないね。
それに来客も。間が悪かったかな。
[ 新居君>>264が出てくるまで少々時間を要したことと人の気配、そして鼻を擽る良い香りに、私はある程度の状況を察する。新居君に隠れて奥の状況までは見えないから、誰がいるかまでは把握できないが。愛の告白という言葉に告げられなかった過去が思い起こされて、私は僅かに目を細めた。]
愛の告白ではないが、今日は君に贈り物を持ってきたんだ。
私が若い頃着ていたものなんだが、最近は箪笥の中で眠り続けていてね。
君は興味がない訳ではないようだし、良ければ貰ってくれないだろうか。
[ そして私が差し出したのは、たとう紙に包まれた紺鼠色の着物と黄金色の帯だ。襦袢や足袋、伊達締めは持ってきていないが、最低限この二つさえあれば、着物としての形は完成する。新居君の華やかさには少々見合わないかもしれないが、これでも私の所有する物の中では一番派手なものを選んだのだ。]
(268) 2013/09/04(Wed) 23時半頃