【人】 呉服問屋 藤之助

>>224
　――……それは

[どう答えたらいいか、暫し瞠目して。
何処か弱弱しく思える女性をゆっくり視界に収める。
何かを怖がっているのか、何かに傷ついているのか。
考えても答えは出なくて、困ったような表情を向けるだけ]

　何か事情でもありそうですね、今は。聞きませんけれど。
　ご迷惑でないなら、何時か聞かせてください。

[当たり障りのない事しか言えない歯がゆさに、見えない位置で自嘲の笑みを浮かべた]

　時間をかけて、ゆっくり煮るんです。
　柔らかくなるでしょう？
　辛ければ、山葵の入ってない方を召し上がってください。

[大人のような、子供のような、不思議な人だなと目を細めて]

(232) 2014/03/21(Fri) 23時頃