[少年は不意に、店にも入らず街中で食事を取るような無作法な人間を馬鹿だと罵った、人間の言葉を思い出す。
正確に言うならばそれは宿主の記憶であり、少年の記憶では無い。
>>223かち合った視線をじっと見返し、少年はシュークリームを食べるサムの口元を見ていた。
気安く話しかけてくる誰かであるとか、誰かと食事をするであるとか、そういった単純なことが、この宿主には足りなかったのだと少年は理解する。]
満月の時の、だけど……サムたちの傷とは、少し違う。
[少年はシュークリームを口で咥え、指先の絆創膏を剥がした。
火傷のように爛れた、小さな傷の合間に覗くのは、肉でもなく血でもなく――満月の夜に街を覆い尽くす、闇の断片だ。
何故、彼に自ら明かす気になったのか。
その感情については、少年の中でも上手く整理がつかない部類に入る。]
(231) 2015/02/19(Thu) 00時半頃