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[好きな奴、の答えは利一からなかった。
いるならば、さらっと言うだろうとか思っていたので、すこし意外だったが、
けち、と返ってきた言葉。
そして、それ以上問わない様子に、こちらも口を噤む。]
――……予定どおりの駅でいいんだな。
[そんな確認をする。
それが変わったとしても変わらないとしても、利一とはもうすぐ別れることになる。
ただ、きっと、宗介の時のようにあんなに手を振ったりはしないだろう。
前から、利一はこちらには本当は何も気を許していない感じがした。
このドライブでも、結局、さっきの宗介がなぜいたか、ということも語らずだったし、今さっきの話題も、自身のことは何も話したくない風だ。
やはり、寂しく思うけれど、
でも、そんなに軽々しく他人の心に足跡はつけられない。
ただ、本当にすこしだけでもこうやって走ったことが思い出に残ればいいな、とそれだけを思うことにした。]
(183) nostal-GB 2014/04/06(Sun) 20時半頃