― そして再び談話室 ―
[ 植頭さん>>152の向こう、何事か起きているようだが、どうやら解決したような空気が漂っている。
私はあまり嗜むことはないが、推理小説の解決場面などはこのようなものなのだろうか。
「先生も食わず嫌いしてないで読んでください!」
そう言った学生の姿が思い起こされて、瞬間を再現するように眼鏡の蔓をなぞった。
別に嫌いではないのだ。私の研究分野に関わりが薄いだけで、興味はある。
かの夏目漱石もイギリスに留学していたり、芥川龍之介も中国の文学を元にした作品を多く綴っている。
たまには洋書にも手を出してみようか。何と言ったか、あの、シャーベット・ホームレスだとかいう作品にでも。]
私は管理人さんに声をかけていただいたんですよ。
ジャニス君がお茶を振る舞ってくれるとかで。
[ 植頭の笑顔にこちらも会釈を返して、肩に乗せた手を離す。
鼻を鳴らせば確かに、二階にいた時は植頭の珈琲に遮られていたようだが、こちらもまた腹の虫を呼び起こすような、佳い香りだ。
私は誘われるがままに談話室へと足を踏み入れ、植頭さんにもどうかと首を傾げる。]
(157) 2013/09/01(Sun) 22時頃