―カリュクス邸・茶会―
[ふと、妖精と戯れる銀髪の人の姿が目にとまる。衝動的に椅子から立ち上がり、鳥の芸を披露する目的で歩いていたことを失念していたと気付く。]
さ!さて皆さん、こちらへご注目。
僕は道化のフィリップ、以後お見知りおきを。
肩のコイツ、気になっている方もいらっしゃるのでは?
僕の相棒、、、そうだな、オイ、折角だから皆さんに自己紹介だ。
[何の前触れもなく始まったショータイムは茶会の空気を見事にぶち壊したただろう。ただ、彼女の目を引きたかっただけなのだと、本人は気付いていない、否、気付かぬ振りをしているだけなのだ。鳥は教え込まれた台詞を話す。]
『ワガハイ ハ トリ デアル。ナマエ ハ マダ ナイ。』
『ハヤク ツケロ ノロマ!』
[お馴染みの台詞にツッコミ紛いの嘴攻撃、というのが最初の挨拶。何度となく大衆の前で披露したこの他愛の無い芸で、それなりに笑いの声はあがっていたはずだ。しかし、この席での緊張感と言ったらそれはもう、初舞台の時とは比にならない。]
(148) 波平 2014/08/01(Fri) 15時半頃