[少しだけ逡巡し、結局その言葉は飲み込んだ。代わりに先ほどの自虐的ともいえる行動の説明を口にする。]
…そして、私はそれほど生きたいと強く望んでいる訳ではないよ。
私がお前の望み通りに死ぬことで、私の存在をお前に深く刻み付けられるなら、それで良かった。
“小さな”我儘だよ、私が自分を消そうとしたのは。
[そう伝えれば、彼から反応があっただろうか。
詰るようなそれなら、それを封じるように彼をきつく抱き締めて、そして]
ごめん。もう、お前には迷惑を掛けないと誓う。
お前の前に姿を現さないようにする。
……引っ掻き回して悪かった。
遠くから、私の命の続く限りお前の安寧と幸せを祈るよ。
[そう告げて。
好きだ、とついぞ口に出来なかった想いを乗せて、彼の額と自分のせいで血を失ってかさつく唇に口づけを贈った*。]
(145) ハチドリ 2014/08/01(Fri) 13時頃