―少し前・自室―
[寮母の流す放送は布団の中で聞いていた。顔まですっぽり布団に潜り込みながら寝返りを打つ。
そっか。そっかあ。
心の中で、そんな呟きが零れる。退寮の処理の説明は以前から知っていたことで、これは誰も責めようがないのだ。宗介が一度部屋を出ていく。今はまだ戻ってくる。どのような顔で迎えればいいだろう、今日一日はどのような表情で、どのような言葉を交わして過ごせばいいのか。考えが纏まらないまま布団の中で過ごしていると布団の外から蹴りを食らった。>>46]
あっで…もー、なんだよ。
[観念してもぞもぞと布団から顔を出すと湿布を突き付けられる。白い、長方形の形の向こう側にある同室者の表情はいつもと変わらない。どういう気持ち―――…]
…約束したかんな。
いーよ。ほれ、尻丸出しにして待っといて…。
[一度大きく眉を下げてしまったことには気付かれていないだろうか。その後は苦笑零していつもと同じように笑って。宗介の――今日はまだ宗介のものだ――ベッドを指差すと伸びをして起きる準備を始めた。*]
(144) 2014/03/25(Tue) 21時頃