[何故自分を燃やしたか>>125。
その答えを口ごもる内に、先回りして落とされる言葉の数々>>126にどう返事を返せばいいのやら。
本当に彼は人をよく見ている。
それらを聞き終え、自分もまた今に至ってやっと理解した感情をもて余しながら、少しずつでも返事をしようと口を開いた。]
確かに、壊したいと望んではいたけれど、お前を殺せなかったのは事実だ。
お前を殺すと言う選択肢は私の中に強くあったけれど、どうしてもそれは選べなかった。
[何故、選べなかったのか。
何故今まで執着し、今もなお執着しているか。
それは、子供じみた独占欲以上に業の深い欲。
その答えを告げるのは容易い。
けれど、今の自分にそれを言う資格があるのだろうか。
彼と緋色の世界で出会った男にもまた向かう感情に多少の差はあれど、根幹は同じそれを抱いている。
そんな単純なことを、今になってやっと気づいた。自分の愚かさを嘲笑うしかない。]
(143) ハチドリ 2014/08/01(Fri) 13時頃