……風邪、引いたんですか。やっぱり。
[漸く出てきたのは、いつも通りの他愛のないそんな言葉で。昨日の続きの今日を無理に引き寄せるような、そんな気持ちで相手の額に手を伸ばす。僅かな熱感を確かめれば、そのまま手首に指を這わせる。拍動は早く、明らかに発熱の兆候を示していた。]
……ねえ、イスルギさん。このままだと熱、もっと上がると思うのだけど。
[辛くはないのだろうか。随分無頓着なのね。真面目なようで、目の離せない人……。
心配してみたら呆れまでが到来してしまったようで、場違いなような笑みが零れてしまう。
熱を帯びた手のひらをそっと握って、勇気を出して繋ぎ止める。]
……館に戻りませんか。私、看病しますから。
[──だから、もう少しだけ傍にいさせてください。
繋いだ手が熱いのは、果たして熱のせいだけであったかどうか。**]
(104) sour 2015/06/22(Mon) 06時半頃