――惨劇の場を去る時――
[子犬を抱いて、足早に去ろうとする>>74。
普段、絶対にやったりはしない、舞台衣装のままでの外出。
それを、言い咎めるものは誰もいない。
惨劇の舞台に心を呑まれているのか、それとも、惨劇の場に居座っていた女に忌諱してのことか。
群衆を裂き、まさに場を離れようとした時、その声>>77は微かに聞こえてきたのだった]
…………っ。
[疲労により、霞がかかった頭に空白が訪れる。
大きく押し寄せる感情とは別に、恨みがましささえも小さく湧きあがる。
まったく。前口上の後>>2:68>>2:69と言い、どうしてこの男は人形の心をかき乱す事ばかり言うのか、と。
あの時は寂しさに耐えていたけど。
予想していた言葉と声とは違っていても、今、不意に告げられた声は遠く。
まるで天から聞こえたようで……]
(93) 2014/10/14(Tue) 23時頃