[ずっと前から想いを寄せていたというわけではない。
入寮したての頃、自分より背の高い奴が結構多いなと思い、その中でも頭ひとつ飛び抜けてでかいな……と思ったのが彼だった。
クラスは3年間ずっと違ったし、野球部と生徒会だし、部屋だって3年の時初めて同じになったから、それまではさして深く関わることはなかった気がする。
ただ、寮の皆で何かする時、彼の姿は大体そこにあった記憶がある。
偶々、自分が顔を出していたものに居合わせただけなのかもしれないが。
中心人物としてではなく、けれど周囲をよく見て動く奴だという印象。
それだけ、だった筈が、部活を引退した頃から、少しずつ変わってきていた。
自分でも、気付かぬうちに。]
……あ、気……ついたか。
[十文字の瞼が開く。>>83
前髪を弄っていた指を止め、ゆっくりと退く。]
10時……なってねーかな。
お前が倒れてから、多分、10分少ししか経ってねーよ。
(89) 2014/03/27(Thu) 20時半頃