………………ん。
[>>84フエラムネに上手い下手があることを、彼は知らない。ただ、見よう見まねで吹いてみたら、たまたま音が鳴っただけだ。だから彼女が何を褒めてくれているのかは分からない。
けれど、褒められた。それだけのことで、何か何処かがほわりと温かくなるような気がする。実際に熱くなった首やら頬やらは、別として。
嬉しい。それから、恥ずかしい。処理できない二つを抱えたまま、扉の方に向かおうとしていた足を立花の方へと向ける。
>>85ミニキッチンに向かった背中をゆっくりと追いかけて、カップを片づける彼女の背後から白くて細い指を伸ばして、冷えた指先でそっと頬に触れて。
それから額を一度だけ、彼女の背中に擦り寄せた。
それが、今の彼に出来る精一杯。
そのまま何も言わず、今度こそぺたり、ぺたりと素足は自らの部屋に向かって歩き出す。振り返らない。]
(86) nico 2013/09/08(Sun) 23時頃