いらない。ここにある。
[ザックの声に立ち上がり、すらりと羽織っていたコートを脱いだ。
白いドレスをあらわにして、着ていたそれを、ジャニスにかぶせる。
もっとも無残さの残る胴部へと、箇所を絞って。
持っていた荷袋から、着替えのための上着を取り出し、それは同じようにフィリップの上へ。
そして、子犬を抱き上げると、薄くなった荷物も背負い、そのまま出口へと向かっていった]
後は、お願い。
[そう言って、そのまま出口の方へと向けって行き。
去り際に一言、その場にいる者へと残していく]
あたし、こんなことしたヤツのこと……。
絶対、同じ目にあわせてやるから。
[それは、ザックに向けた宣言なのか。
いや。もしかしたら、気遣いの声をもう一度だけ、聞きたかっただけなのかもしれない。
もう会えない相手から、怪我をするから駄目だよ、と]
(74) 2014/10/14(Tue) 20時半頃