何その、口開くな、みたいな言い方。
まあ、別に? どうせ店でも女の子とはお喋りして満足されるだけの所詮オネエだもの。
でも口は一応仕事道具だから取られると困るっていうか、仕事関係なしにアタシ口動かさないとか性格的に無理だし。
だったらモテなくても今更ね、いいですよ。
[ふん、と拗ねるように締めくくって、しかし喋るなと言われたとは思えないほど饒舌につらつら並べてから、庭へと立つ福原を見送る。]
あーあ、春は来たらじよねー。
もう秋と冬しか来ないってのよ、暦上。
[談話室に満ちる、柔らかな空気。
珈琲の湯気に愚痴を溶かしつつ、ティラミスに手を伸ばしながら。]
裕ちゃんも食べる? あ、アタシのクッキーも食べてくれていいんだけど。
[自分のティラミスでもないくせに、越智の方に意識を向ければ、見た目の変化などまるで意ともしないかのように話しかけた。]
(71) mmsk 2013/09/08(Sun) 22時頃