[>>@3数週間前、それを見かけたのは偶然だった。
牛乳買って帰る途中、しゃがみこんだ子供とダンボール、そして猫。
状況はとてもわかりやすく、よくあることだろうと思っていた男の足は勝手に止まり、口は開いていた。
『どうした。』
『そいつ、飼いたいのか。』
牛乳買いに行って猫連れて帰った事で、他の住人にも驚かれた。
玄関近くで会った管理人に、『こいつ、飼うから』と宣言したときは内心、駄目って言われたらこっそり飼おうと思っていたのは秘密だった。
宝生も仕事があり、ずっと面倒を見続けることはできない。
長時間部屋を開けるときは談話室や他の誰かに預けてきたから、仔猫を飼っているのは自分だというよりは、わかば荘で飼っているという感覚だ。
今も、筋トレ中はと入れていた談話室隅の、ベッド代わりにもなっているキャリーバッグの中ですやすやと眠っているようだった。]
(70) 2013/09/01(Sun) 17時半頃