――舞台上/『演目:踊るマリオネット』――
[舞台上で人形が舞う。奏者たちの奏でにのって、長柄のブラシを手に飛び跳ねる。
袖から椅子に座ったまま、サポートの団員たちに舞台上に運ばれて。
音楽の始まりに魂を得たように、立ち上がってこうして踊る。
わたしは煙突掃除屋さん。この町一番の果報者>>0:7。
いつも通りの演目。特に変わったところはない。
ときどきわざとつまずいたり、転んだり。
そんな折に、上から糸で吊りあげられるように、高く飛んで立て直したり。
普段の通りに一曲目を終え……そこで照明がいったん消えた。
間に合った手配>>1:281の通りに。演奏が止み。
エフェドラはうつむいたまま、かくり、かくり、と揺れてから制止する。
サーカスには不釣り合いの、観客を不安に陥れるような、無音の空白。
やがて、たった一つのスポットライトが舞台のエフェドラを照らした時。
人形は顔を上げ、ゆっくりと歩みだし……『客席』へと降りて行った]
(62) 2014/10/12(Sun) 15時半頃