…うぇ、まずっ……
[勢いで買った酒を口に含み、無理矢理喉の奥へ流し込んだあと、苦虫を潰したような顔で独りごちた。元々自身には酒など好んではいない。何気なく立ち寄った村で、身の置き場がないような気がして路地裏に縮こまってみたのだ。
頭上から>>11小さな声が聞こえ、ふと視線を移したが、
よもや自分に話し掛けているなどとは思わず、ぽかんと間抜けな表情でそのシルエットに見入っていた。
目線が合う位置に跪き、差し出されたのはハンカチに包まれた小さな黄色い生き物。]
…この子は…??
[掌に乗せられた小さな鳥をみながら、力を込めて握ればつぶれてしまいそうだな、などと残酷な思考が脳裏を過るが、それとは裏腹に]
パンや、米をすりつぶしたものを、
少しずつ口に運んであげるといいよ。
それと、寒くないように、あたためてあげて。
[差し出された両の手をそっと覆い、念を押すように、フワリとハンカチで包んでやった。目の前のその人は、長い髪がきらきらと逆光に縁取られ、表情をうかがうことはできなった。]
ねぇ。名前…聞いてもいい?
(60) 2014/07/28(Mon) 02時頃