え、そうですかー?
[>>23困ったように微笑むミケの、恐ろしいとの評には不思議そうに首を傾げる。
彼の手際の鮮やかさには同じ前線に立つ者として惚れ惚れしていたものだ。
鮮血の香りに当てられれば藤之助の理性は容易く消し飛び、周囲に動く敵がいなくなるまで殺戮を続けた。
慣れるまではそれこそ箍が外れた人形のようだったから彼には迷惑もかけただろう。
人ならぬ力を持つ吸血種に対しては手加減は無用とばかりに、戦時中にはかなりえげつない兵器も使われていた。
それらで命を落とすのに比べれば、猫化で済んで良かったと思う。]
……。
[尻尾を突いていると藤之助の手指に巻き付いた。
容易に解けぬそれを空いた手でどうにかしようとはせず、自由に動く指先で抗議するように輪郭をなぞるようにして毛並を逆立てさせる。
そうしてじっと彼の言葉に耳を傾けていた。
そこにはいつもの微笑みはなく。]
(32) 2014/07/28(Mon) 22時半頃