…まぁ、何にせよ。
[私はぽつりとつぶやきます。]
一晩犠牲者が出なければ、解放していただけるというのですから、今晩は犠牲者の出ないことを祈って大人しくしている他ありませんね。
そもそも妖が本当にこの街にいたとしても、板塀が閉じる前に逃げ出したやもしれないのですから…
[それだけ誰にともなく呟くと、私はくるりと踵を返します。
数歩歩いたところで立ち止まり。]
もし、お集まりになるのであれば、私の店をお使いいただいても結構ですよ。
まだ殆ど者もありませんし、それなりの広さはあります故…
[まぁ、お茶漬けくらいしか出ませんが。
そう、笑みと共に呟いた私の姿が、彼らにどう映るかはわかりません。
しかし私はこの時点で、既に大分黒い思考に侵されていたのでありましょう。
覚悟をいかに早く決めるかが、己の生死を明確に分けると本能的に、私は知っていたのであります。
さり、という草履の音共に、私は一旦店でもある自宅へと帰って行くのでした**]
(5) 2013/08/27(Tue) 01時半頃