(トニー。私の可愛いトニー。それだけは決してやってはいけません)
[すべての力を水晶に込め、意識を失う瞬間、トニーは懐かしい声を聞いた気がした]
おかー…さん……?
[水晶を抱える両手を、優しい感触が過ぎゆく。まるで手を包み込まれているようであったが、力を注ぎすぎたトニーは強制的に落ちようとする意識を保つことは出来なかった]
(トニー。貴方を呪の一族の餌食になんて絶対させません。すでに発動した術を消すことは出来ないけれど、向かう方向を変えることくらいなら…
ごめんなさいトニー。貴方には本当につらい思いをさせてしまった。どうかせめて、生きて…)
[意識を失っているトニーの頬を優しく撫でた後、朧気だったその女性の輪郭は更に曖昧さを増し、最後には霞のように消えていった。
【変更された占い先は攻芸で、彼の者の正体は人狼だった】]
(0) 2013/06/21(Fri) 07時頃