―宗介の家―
[はさみがろくに使えなくて何故猫の手ができるなどとは聞かないでほしい。働かざるもの食うべからず、食事の手伝いに関してだけは厳しい家だった、それだけだ。
チャイムが鳴って、宗介が玄関へと向かうのを横目で見送る。荷物だろうか。
肉じゃがの鍋はコンロから外されて、現在冷ましている最中だ。何故冷ますのかまでは知らない、そうやればおいしくなると母親がそうやっていたのでそうしているまでで。
現在コンロに乗っかっているのは味噌汁になる予定の鍋で、肉じゃがに使ったたまねぎの残りとこれから宗介が4年間世話になるであろう大学生の味方、30円もやしを一袋丸ごとぶっこんだ。
火が通るまでの間に携帯に目を通す、いくつか返信をして、朔太郎からのメールに目を留め]
…んだよ、どこ旅立ったんだよ。
謝るくらいなら寝坊すんなってのー。
[それがありすから送られたメールだとは気付かない。いつも通りの朔太郎の調子に笑って、携帯を閉じた。味噌を探すため冷蔵庫を開く。]
(+180) 2014/04/03(Thu) 20時頃