【墓】 保険調査 ライジ

「あら、わざわざごめんねぇライジ君。今、お菓子用意するから。
あら？　なあに、口元真っ赤にして。……それ？」
おばさんの言葉に、おれは慌てて口元を隠す。
「いやっ、おやつは、あの子……、む、むすめさんからもらったからいいよ！
おれ、もう帰るから！　さよならっ」
それだけ言い放つと、急いでその家を離れた。

おれが去った後、あの子の母親は不思議そうな顔をして、
「え？　うちには娘なんていないのに？」
と呟いた。



　　――――おれがその言葉の意味を知るのは数年後のこと。

(+48) 2013/07/25(Thu) 23時頃