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64 さよならのひとつまえ
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…
…ありがたいおことば…
…
…
…があなたに…よきお…を…けてくれるでしょう…
…
…
…おれのしろ
…さんきゅ
とつぜんいっても…おこんなよ
…
…でんででんで…
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―昨夜のこと・3-Mにて―
[ひとまず校庭はこのままでいいと言われたので、今夜くらい残しておけるならその方がいいな、と同意して真っ直ぐ自室へ帰った。 あれだけ嵩張っていた布切れたちも、ほとんどが実家へ送られていった部屋へ。 ベッドに寝転んで、まだ戻っていない同室者のベッドを眺めやった。
ここは、自分の部屋じゃなくなる。 帰る場所でも何でもなくなる。 そんなのは、同室者の荷物がさっさと消えていくのを見ていた時から、もっと前から、分かっていたことなのに]
……笑ってさよなら出来れば、それでいいって…やましい事抱えてるくせに、そんなの願うのが、そもそも高望みだったんかなぁ。
[校庭での反応を思い出す。 どうした、と直接声をかけることも出来なかった。 だって、それで決定的な拒絶の反応でもされたら、きっとどうしていいかわからなくなる。 自分はバカなんだから]
(62) 2014/03/29(Sat) 14時半頃
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…………
[のろのろとベッドから降り、視線を向けていた入江のベッドへと歩み寄る。 そうして、空っぽの枕元に、屈みこんで手を伸ばす]
…まーちゃん。
[ほのかな、シャンプーかなんかの匂い。 特別でもなんでもないはずの、その匂いにすら、泣きたくなる。 もうすぐ、これもなくなる。 まっさらに消されて、別の誰かの匂いが、前の誰かと関係なく馴染んでいく。 それは、自分のベッドも同じこと]
まーちゃん、おれはさ、
[片付けたくない。捨てたくない。 でもこんな荷物、入江に押し付けられるわけがない。 でも。でも。それでいいのかと、屋上の誰かの声が頭に響く]
(63) 2014/03/29(Sat) 14時半頃
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…………
[結局、無人の枕元にすら何も言えずに。 重い足取りでベッドに戻ると、カバンの中から編みかけのそれを引っ張りだして、くるくると無心に編み続けた。 手元を、扉と同室者のスペースから隠すようにして、くるくると編み続ける。 頭のなかは、毛糸のように形にもならず、ただぐるぐると絡まっていたけど]
(64) 2014/03/29(Sat) 14時半頃
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―早朝・見送り―
[健気に時間を知らせてきた携帯のアラームで、珍しくぱちりと目が覚めた。 居ても居なくても、入江のベッドのほうをちらりと見てから、起きだして]
いってらっしゃい。またな!
[敬礼の仕草>>+29に、定良の姿がダブる。 彼とだって、十文字とだって、きっとまた、会える。 見よう見まねの敬礼を返して、またなー、と二人を乗せたバスへ、長く手を振り続けた]
(65) 2014/03/29(Sat) 14時半頃
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―自室―
…んあ? …ああ。
[そうして、自室で再び編み物をしていれば。 呼ばれる名>>2に、ふいと顔を上げ。
編み物をカバンに突っ込んでから、最後の荷物をひとまとめに抱えて、寮母室へ向かった。 昨日ケンカかなんかあったのか? と思いながら*]
(66) 2014/03/29(Sat) 14時半頃
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…
…
…って…がだよ
…ってから…るから
ああ…そうだ
…の…れたらあけといて…
…
…
…よし…めた
…
…るの…
…の…な…
…
そうだお…すげ…
お…にだから…うけ
どあれから…けい
っこも…つけてねえ
…
…ごめん
…
…けなくてごめ
ん…
…
…
…
あとで…っ
ておわびしに…く…
…
…
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―朝・中庭―
[片付けは予定よりやや遅れたが、送らなきゃいけない荷物は発送されたし。 数日前、片付けたくないと足掻いていたのが嘘のように、旅立つ準備は淡々と整っている。
いっそ、本当にこの日まで片付けが終わっていなかったら。 小言…で済むかは分からないが、文句を言いながらも、なんだかんだ彼は手助けしてくれたかもしれない。 最後の日を、一緒に過ごせる言い訳が作れたかもしれない。
かもしれない。でも。 最後の日になんて、一緒に居たら。 言っちゃいけないこと、ぽろっと口走るかもしれないし、と思えば。 臆病な自分に、そんなことは出来なかった。
のに]
……あーあ。
[昨夜、返信したメールを思い出す。 あれだって、ホントは理由をつけて断るべきだったんだろう]
(81) 2014/03/29(Sat) 18時半頃
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[まあ、昨夜は明日出立になるとは思ってなかったわけだけど。 それにしたって。
結局は一緒に居たいと思ってしまう、意志薄弱さにため息つきながら。 先程から、がさがさと庭を探しまわっている成果は (56(0..100)x1が95(0..100)x1以下なら発見)]
(82) 2014/03/29(Sat) 18時半頃
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…あった。
[タイムカプセルの、まだひっそりした目印に引っかかっていたヒヨコをつまみ上げ。 ほっと息をついて、それをポケットに仕舞いこんだ。
さて。手を洗ったら、部屋で十文字からの茶封筒を開けてみようか*]
(83) 2014/03/29(Sat) 18時半頃
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…
…げ…
…なんだけどな…
…こわくて…った
ことね…けど…なゆ
たなら…ぶのかな…
なんか…つかね…
…
…
…それ…
…
ほんたい
お…ってるなか
だだらずっと…っ…てろ
ずっとだ…しにすふ
ありがとう
…
…いつにも…して…だらけな…を…やっと…ったのは…のこと…
…
…
…
…
…きだ
…
…の…を…れるか…れまいか…ったが…やっぱりやめた…
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―廊下―
[食堂で買ったいちご牛乳と鯖サンドをぶら下げて、ゆっくり歩く。 掲示物が取り外され、そっけない壁面の合間、窓ガラス越しに桜の枝が揺れている。 中庭に居る時は、下ばかり見ていたので気づかなかったけれど]
…ん?
[薄っすらガラスに映った自分の肩に、白いものが付いている。 なんだろと摘まんで見れば、綻びかけた一輪の桜]
…………
[ゆらゆらと、指先で軽く回しながら。 青い空に、手を伸ばすように花開こうとしている桜を、目を細めて見やった]
(101) 2014/03/29(Sat) 22時頃
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―自室―
あれ。
[おはよーおれだってたまには時間通りに起きるんだよ! と部屋を出た時には居たベッドに、人影がない。 どっか出てんのかな、と荷物を置いてから、茶封筒を手に取る]
……昼過ぎ?
[早いだろうか。時計を見て、手を止め。 枕元に置き直すと、上に先ほどの桜を載せ。 一段落する頃にはいい時間になるだろう、とカバンから編み物を引っ張りだして、輪を紡ぎ始める。 昨夜、おかえりとだけ返して、見せられなかった手元の続きを。]
(105) 2014/03/29(Sat) 22時頃
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…
…
…
…の…たけど
…っぽだし…も
…
ちゃんと…と…
…ってった…
じゅ…もんじ…
…しめさか…
…
…
にきまってんだろ…ばか…
しあわせになんね…と…こそ…だからな
ひもいや…
…しめさか…
…の…
…
…り…たできたみたい…
また…じゃね…んだ…その…
でも…その…ちょ…してた…また…したいってさ…
また…ってやってくれよな…
…も…と…したいし…
ほいじゃ…で…
ドナルドは、ふと携帯を手に取る。
2014/03/29(Sat) 22時半頃
…もいい…れたか…
…
もしいいのがあったら…の…と…わせて…か…えね…かな…
…
…は…
…
…こっちあん
の…なもんだ
と…ってたのに…
…
…
…
…
…めねえの…
じゃあしく…
あけといて…
こわくて…く…ね
えっつの…く…は
…だ…ねばもろと
も…
お…がえろほん…
んでんの…たことあ
んの…われたの
でちょっと…けた
…い…
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…あれっ? 目ぇ間違えた?
[毛糸がすこし引き攣れてる気がして、慌てて編んだ分を広げて目を通す。 普段なら、ないわ今更そんなミス、と気にも留めないところだけど。 平常心でないことは、よくよくわかっているわけで]
おー、ただいまー。 それは、明日持ってくヤツだから出かけられるぜ。 荷物があるってーと心配かけちまうルームメイトですまねーな、おかーさん。
[網目を数えながら応える。 いち、に、とそれに集中していたから、声が近づいてきたことに気づかなくて]
んー…ここ出てからじゃ遅いん、だっ!?
[覗きこむ顔に、咄嗟に手が伸びる。 わずか点々と鬱血の痕が残るだけの右手には、もう手袋がないから。 目隠しが成功したなら、すこしハンドクリームの匂いがする手のひらが、ぺたりと彼の目元を覆うことになる]
(118) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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