108 Persona外典−影の海・月の影−
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―― ペルソナ。
[短く呟くと、蒼い燐光が炎のように巻き上がる。 首無し騎士は解けるように姿を消して ジャッカルの頭部を持つ漆黒の半獣神Wアヌビス”が首を擡げた。
吼え、主を乗せて駆ける。瞬発力は騎士の馬よりずっと速い。 ――死者の魂を運ぶために、その足は恐ろしく素早いのだという。
船のマストへ駆け上がり、 弾を避ける、つむじ風のような速さだった。 無論総てを避けられるわけではなく 弾掠め、抉り取られる肉もあるが、 イサムは冷や汗を感じながら、歯を食いしばるように笑んだ]
(68) 2015/02/26(Thu) 00時半頃
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たべ…
…
うん…ちゃんと…きとるよ…
…
…もかも…かったら…ぅないでしょ…
…しいは…りたいからはじまるんよ…きっとね…
…も…そうだったんと…う…
…
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ひゅう、むっちゃくちゃァ…!
[軽口でも叩かないと萎縮してしまいそうだ。 月は、夜を照らすのに。月は、月らしく、不吉の予兆となるべきだ。]
――……図書館でちゃーんと調べたぜ。えらいだろ? こいつ冥界の王様なんだって。
影に飲まれるのと死ぬのは違う、って リツキくんは謂ってたけど、 もしかしたら、マユミちゃんの方にもこいつの遠吠えなら届くかもナーなーん、 って!!
[衝撃波を伴う遠吠えと共に、 黄金のヒエログリフが描かれた帯―恐らくは包帯だ―がマユミを絡めとろうとするようにずたずたの甲板を縫うように奔る]
(69) 2015/02/26(Thu) 00時半頃
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[律はあかりを死なせたくなかったのかも知れない。 そんな想像を口にする麻夜に]
……死にたかったよ。
律っちゃんも、家族もおじさまも、 みんないなくなっちゃったのに 何で私独りだけ生きていかなきゃいけないの?
私が辛いって、知ってるはずなのに、 それでも死なせたくなかったって、そう思うの?
[あかりは、今、私は誰に語りかけているのだろうと、ふと思った。 それは大塚麻夜? それとも――]
(70) 2015/02/26(Thu) 00時半頃
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… … … … … … 。
[罅割れた様な歪さの笑顔をみた後、彼女の言葉に暫く言葉を捜す]
…正直、俺はヒナミヤリツの事は知らない。 …あいつが何に絶望して何を考えたとか知る事もないだろうし。
でも…あいつの為にセンパイが死ぬなんて…。 …俺は寂しいし悔しいな。 …たぶん、皆もそうだと思う…。
[先行して、人を呑もうとするシャドウを駆逐している二人へとチラリと視線を向ける]
(71) 2015/02/26(Thu) 00時半頃
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…ヒナミヤリツだけを選ぶか、俺達を選んでくれるか…。
[その質問は奇しくも、花河に突きつけられた事のある問いと同じで]
…消えた奴はもう言葉なんてもたない。 そこに、独りぼっちも寂しいもない。 後悔しても、墓の前で謝っても、それで伝わる確証なんてない。
…だから、最後に決めるのは結局花河センパイ。 …俺は。センパイに行って欲しくは…ないな…。
[忘れろ、振り返るな、そういう無責任を云うのは簡単だけど。 伝えられたのは結局。花河自身に、いなくなって欲しくない、その気持ち]
(72) 2015/02/26(Thu) 00時半頃
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の…
…こっちのみずは…あ…まいか…
…あっちのみずは…に…がいか…
…
…ほたる…こい…
…あ…んでおる…
…
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しまった!
[先ほどのペルソナの速さに合わせたつもりだったが、現れたアヌビスはその上を行っていた。砲火の中マストを駆け上がり、砲弾の届かない場所へ退避する。その位置から放たれる包帯を避けることは、既にペルソナを出している自分には不可能だと感じた。目の前の包帯は、自分の体をたやすく捉えるだろう……いや、捉えられた。]
だったらマストごと焼き付くしてやる!
[青白い鬼火が敢とペルソナの周りを取り囲み、火花を散らせてその身を焼き尽くそうとする。]
これ以上……こっちの都合に土足で踏み込むんじゃあないよ!!
(73) 2015/02/26(Thu) 01時頃
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…センパイの前にぽん、て差し出せる希望があればいいけどね。
でも、俺はアカリの希望でいるから。 すぐ、センパイの傷を癒す希望にはなれない。 それは…時間をかけてゆっくり癒していくしかないと思う…。
…それでも…ただ辛いままで終わらせてもいい…。 …苦しいまま…最期を迎えさせて構わない…。
…ヒナミヤリツがそんな風に考えれる様な奴だったなら。
…悪いコトいわない、センパイ。それこそ忘れちまえ。
[生きていれば、なんて陳腐な綺麗事みたいになるけど。 そういう胸が苦しくなる結末は、もう既に胸に満杯だからこそ、それは飾りも気遣いもない、率直な言葉だった]
(74) 2015/02/26(Thu) 01時頃
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ち…
…しい…
…
…いと…
…
…い…ぃと…
…
…わ…は…その…ただ…ただ…
…
りたい…
…
…もし…に…れたら…
…は…のこと…りたいって…ってくれる…
…
し…る…が…かった…っていうか…
…
…う…でもないです…
…その…すごく…するっと…やかしてもらった…から…
…
…うれしくて…
…なついちゃった…っていうか…
…
…り…たい…です…
…だ…だって…ってみれば…
…の…はほとんど…も…らない…し…
…
…きな…べ…とか…いつも…してるのかとか…
…に…んでるのかとか…
…りたい…よ…
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つーかまえ った……!
[包帯に手応えあり。 突き出した手に、力を込めるはより強く 拘束して無力化するためで、けれど]
づぁッ!!!
[>>73 マストごと焼くと謂う宣言どおり、 鮮やかな焔がアヌビスとイサムを取り囲む]
やめろ、よ、 よく焼けるんだから さ!!
[アヌビスは咆哮する。燃え盛りながらも道を作るためだ]
悪いね、自分、不器用なもんで さ!
(75) 2015/02/26(Thu) 01時半頃
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くっ…そっ……!!
[完全に腕を拘束され、動くことができない。敢が何かするのをもはや拒むことはできないだろう。けれど、それなら自分もすることは一つ。相手を焼き尽くすだけだ。敢とアヌビスを鬼火が取り囲む。燃やさんとする]
気取ったような、事を……
(76) 2015/02/26(Thu) 01時半頃
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[熱い、めちゃくちゃに熱い。 元はミイラを造る神だと謂うから、 乾いているし焔にも弱いのだろう。 しかし構うものか、届けばいい。彼女で、最後であるのなら。]
亡霊には、亡霊って ね 、――!!
[ぼろぼろに崩れた船の上、 マストから垂直に落下しながらマユミに手を伸ばす。 尾を引く包帯の群れが、彗星の尾のように棚引く。]
(77) 2015/02/26(Thu) 01時半頃
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するっと…
…
…そうだね…
…には…の…ばっかり…られてるから…
…の…のことも…ちゃんと…って…しいな…
…
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私は律っちゃんと一緒に逝ければ良かったし、 楽になれるはずだったんだ。
……大体、大塚くんは私たちのこと、何も知らないくせに、 本当に勝手なことばかり言うんだね。
[律を批判的に語り、あかりの感傷を否定する麻夜に、 向ける表情は決して柔らかなものではないけれど。 その言葉があかりを想う彼の本心の言葉だと、胸が痛くなるほどに理解できたから]
(78) 2015/02/26(Thu) 01時半頃
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今は、まだ、どうするかなんて決められないよ。 決められるはず……ない。
[一度、死に魅入られた心は、 容易くは生きることを望まないけれど]
……でも、もしも、どこかに希望があるのなら、 探してみるのも、良いのかも知れないね。
[どこか、吹っ切れた風に口にした]
(79) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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[誰かに存在を認められるため、 足掻き続けたあかりの生き方。 それは残酷な運命の前では、 全く無力で無意味なものでしかなかった。
けれど、正しくありたいという想いと、 為すべきを為すという信念。 そんなものが繋いできた絆が、 今、あかりを絶望的な孤独から救おうとしている。
例え、これまでのあかりの生き方が無為なものであったとしても、 これから先はもしかしたら、無為ではなくなるのかも知れないと。
そんな予感がしていた**]
(80) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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…は…やだな…
…そりゃあ…を…に…ったりとかは…
…でも…
どんなに…い…でも…すのは…い…だよ…
…も…から…みたくて…むんじゃないと…う…
…まれたくて…になったんじゃないと…う…
…ただ…だって…わない…だって…をして…
…それ…に…い…って…び…を…らなくて…
…まれてきたのが…なんじゃないかなって…
…が…いのかなんて…らないけど…
…ただ…しみを…されるだけでも…
…われる…はいるんじゃないかなって…う…かな…
…だけじゃなくて…
…そもそも…が…そうなんだと…うけど…
…
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[男は静観を続けていた。 二人が知り合いであるならば、 その戦に手を出す事は"良くない"事のように感じられて。 正直な話、男に取っては真弓が消えるのであれば、誰が手をかけようと構わなかったから。
けれど、それでいいのかと男の中で囁く者がいる。 自分の無力さを悔いていたのだろうと、語りかける声がある。 男は静観を続けながらも、耳を塞ぎ、その声を遮ろうと首を振った]
―――――……っ
[だが、その目に映ったのは赤に、炎に焼かれる姿。 拘束された真弓は、諸共燃やし尽くさんと鬼火を差し向けていた 鮮やかに燃え広がる炎は、今にも敢の身を包まんと襲う。 それでも、今の男が狩る自身に、その勢いを止めてやれる手立てなどない。
(81) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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――――また、何も出来ないのか。
ふと、男の耳に先程と同じ声がする。 それでいいのかと。悔いていたのではないのかと。 その声を肯定するように、歯噛みと共に自身の手を力の限り握りしめる。
握りしめた掌の内、未だ顕現しない『戦車』のカードが、その姿を変えた]
(82) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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…………なん、で。
[男の目の前に、男と同じ様に黒の髪をたたえた少女が現れる。 それは在りし日に見た、妹の姿を借りたように、見覚えがあった。
少女はそのまま海の中へと飛び込んでゆく。 その後、穏やかであった海面が、突如として一本の水柱を作った。 まるで噴水のように吹き上がるそれは、赤の月に照らされながら、小雨のように甲板へと降り注ぐ]*
(83) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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(… … …やっぱり、結局自己中な俺には難しいかな…)
[勝手だと自分で理解していたから、その冷ややかな手応えに、やはりアカリや誰かに任せるべき話かも知れない、と思いかけた時>>79]
… … …!
…うん。わかった。 …探す手なら、ひとつじゃない。 …俺にそうしてくれたのと同じで、手は届かせたい。
…俺は…花河センパイには報われて欲しいから…先の話でもいいから…。
[麻夜がみた花河あかりは結局、損な性格で男前な先輩でいて。 だから、正面から抱いていた正しくある想いに助けられて。 今、下手なりにでも、沼底に手を出す自分や皆が。 彼女なりに追い求めた、「正義」のひとつの結果だった**]
(84) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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気取ってねーし、ほんと だし。
[焔に巻かれながら、酷い有様で、 されど何とかマユミに肉薄してその顔を覗き込む。 燃える燃える焔の海の中、 アヌビスを背に従えたまま相対した。]
つまんねーし、クソな世の中でもな、 王子様とお姫様がいたりすんの、 そいつらには、へーわに暮らしてほしいのよな。
(85) 2015/02/26(Thu) 02時半頃
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―――だから、シャドウは止める。 でも、そのかわり、 マユミちゃんを、ひとりにしない、ってのは どお?
[くはは、と。煤まみれの顔でわらった。 まったく身勝手な話である。]
……アヌビスが案内してくれるさ。 ―――冥府の、王様なんだから。
影の世界なんかよりきっとさみしくねーよ。
[十重二十重、金帯びた包帯で戒める。 がこりとマストの上部が折れて、 焔が影の時間を焦がす。 ぼろぼろの船団を、花のように焔が包んでいる]
(86) 2015/02/26(Thu) 02時半頃
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[――きっとこのまままっさかさま。
傾き落ち行く浮遊感のなか、 降り注ぐ雨が、遠い遠い記憶の水底を擽っていった**>>83]
(87) 2015/02/26(Thu) 02時半頃
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