64 さよならのひとつまえ
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ばか…れてきたって…
…みんなも…だ…なんでこんな…
…
…なんで…
…
…ん
…またね…
…
から…あなたに…をしておりました…
…してます…してます…
…ぬほど…してます…
…きになって…し…ありません…
…
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そーか、分かった。
[預けられたコート>>2:688を腕にかけ、彼が屋上から姿を消すまでの短い間、その背中を見つめていた。 鼻がツンと痛いのは、クラッカーの火薬と、やはりまだ少し冷たい夜の空気の所為だ、きっと。]
……。
博、お前から貰った本、ちゃんと読むから。 ……まぁ押しつけられたぶんは……勘弁しろ。
宗介、お前のお陰で、カシオペアと双子座、ちゃんと分かるようなった。 サンキュー。
[やがて時間が来て、屋上から離れなくてはならなくなった。 腕に掛けたコートだけが、やけに暖かい。*]
(9) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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─ 翌朝 ─
[借りていたコートは、部屋に戻ってからハンガーに掛けた。 迂闊に口を開くとまた涙が溢れそうだったので、十文字とも締坂とも余計なことは話さず、早めにベッドに潜り込んだ。
目を覚ますと、十文字は机に突っ伏していた。 風邪をひくぞ……と、肩を揺すって起こそうとしたが、触れる寸前で手を引っ込めて、かわりに、背中にコートを掛けてやって、部屋を出た。
スリープモードになっていたらしいパソコンに、何が映っていたのかは、知らない。*]
(10) 2014/03/27(Thu) 01時半頃
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…
…と
…を…べたのが…なら…の…の…が…えてたのも…ですか
ふえてたというか
ふやしたというか…
…
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─ 朝の食堂 ─
[そして、いつものように大盛の朝食を食べていれば、今朝もまた放送>>0がかかる。
そうか、紐井屋と十文字か。 平静を装ったまま、豆腐の味噌汁を啜る。]
ごちそーさま。
[その日、珍しく、丼には米が残されていた。
食後の足は、部屋ではなく、庭へと向かう**]
(11) 2014/03/27(Thu) 01時半頃
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…
…きづいてない
なにも…いてないよ
なにも…いてないから…っちゃだめだよ
うそです
…ったらおしえて…の…おしえる
…がおちついたら…べるよ
ありがとうね
そういえば…せんぱいって…かえてないかな
…とっても…おこられないかな
…
…
…あと…
…はいいけど…すすむの…で…みれるのかな
…に…おうよ
あと…しんきょの…おしえて
…っちゃる
…
…
…
…こっから…すからな…
…すったら…すからな…
…だから…の…しといてよ…
…は…するとこな…
…
せんぱい…えっと…
…おひさしぶりです…
…あの…で…
…はい…はい…ちゃんと…です…はい…
…はい…かりました…や…ぬかと…いました…はい…
…あの…まだ…く…しいんですが…その…
…はい…はい…
…
…おかねためるんで…いい…しておいてください
…はい…はい…そう…えっと…は…の…が…でですね…それで…
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─ 庭 ─
[見送りには行かなかった。 行けなかった。 あの放送を聞いたあとでは、きっと、去って行く二人の姿に、自分より背の高い別な誰かを重ね合わせてしまう。 そうしたらきっと、みっともないことになってしまう。 だから庭から、皆の声と、バスの去って行く音だけを聞くつもりだった。
……まさかあの小鳥谷が、あんな大告白をするとは思わず、驚いて目を見開いて、暫し立ち尽くす羽目になったが。]
つえー、な、あいつは。
[同じ立場となったなら、自分には、言えるだろうか。 残る、去るの違いはあれど、その時は、まさに目前まで迫っていて……]
(41) 2014/03/27(Thu) 11時半頃
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……、……む………
…………す ……、キ、…………だ
[桜の樹を相手にシミュレーションなどしてみたが、あんな声は、とてもではないが出せなかった。 それどころかまともに声すら出ていない。 たったこれだけで胸は痛いわ息は切れるわ。 普段の発声は、一体何処へ消えたのか。
やはりこれは、馬鹿な想いなど胸の内に閉じ込めておけという、脳からの警告か。]
(42) 2014/03/27(Thu) 11時半頃
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[往生際の悪さに、我ながら呆れる。 もうこれで、何度目かと。
今度こそ、今度こそ……そうだ、いつものように庭をランニングすればいい。 4周もすれば、きっとスッキリするはずだ。]
……っ、よっしゃ!
[頬を両手で強く叩き、走り出す。 前へ進むんだ、目指すべきものがあるんだ、だから……!*]
(43) 2014/03/27(Thu) 11時半頃
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─ 4-M ─
[無心に4周も走った頃には、心中のモヤモヤは晴れていた。 心地よい疲労を感じながら、自販機で塩とライチの飲料を買い、飲みながら部屋へ戻った。 飲みながらだったので、ただいまは言い損ねて……パソコン前の十文字が起きていたことに気付き、歩み寄って]
…………ぁ。
[画面が見えた。 無駄に良い視力は、書かれていた文字もしっかりと捉えた。
ペットボトルを持ったまま、目を見開いて画面を見つめ、立ち尽くす**]
(44) 2014/03/27(Thu) 12時頃
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…
…いてました
…ついたら…してみようとおもう
…もかねて
あの…は…と…がいるよ
それでもいいなら
…
…ありがと
おれまだ…しい…おぼえてないから…あとで…る
…いいな…うらやましい
…れば…えるかと…ったけど…すすむ…しくなるんだっけ
やっぱ…しいかもな
おれ…やってないよ…
はじめたほうがいいのかな…
…
…で…を…てていく…
…に…いたら…まずは…の…から…
…ったものは…くが…それ…に…ったものは…に…くように…んでいる…
…の…えは…の…の…にあるものと…は…し…い…した…が…いか…
それに…も…ってはいるが…の…は…だ…これも…いにいかないと…
…の…には…をしておこう…
…には…が…いだろう…だろうか…
それと…それと…それと…
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ぅ、わっ?!
[突然の十文字の声>>52に、驚いて一歩退いた。 短い言葉が、胸に鋭く突き刺さる。
視線は、止まった画面に釘付けとなり、その文字を追ってゆく。
「去年の生徒会書記、ゲイらしい」 「寮の風呂で男二人にセクハラしてた」 「同室の奴の手を握ってたとかいう話も」 「公園で見かけたけど、あそこの便所発展場だったり?」
こういう掲示板があるということは知っていた。 何せここの実況スレは、中継のない野球の試合を追うのに最適だ。 各球団や選手のスレも、たまに覗く。
……が、このスレを見たのは、流石に初めてだ。 硬直したまま、思考だけが目まぐるしく流れてゆく。]
(60) 2014/03/27(Thu) 18時頃
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[十文字の言うとおり、デマなのだとしたら。 それは、決定的な失恋を意味する。 今更のこととはいえ、こんな形でとか……最悪だ。
ならばもし、真実ならば。 だとしたら自分の想いはもしかして受け止めてもらえるのだろうか。 いや、それはないだろう。 風呂場でのセクハラというのが、誰相手のものかは分からないが、手を握っていたというのはおそらく自分で、しかしあれは、十文字ではなく自分から仕掛けたもの
大体なんだ、スレッドタイトルの『魔性のゲイ』というのは。 そういえばクラスの女子が持ってきていた、ナントカ洋菓子店だかどーだかという漫画に、そんなキャラがいたような。 そうだ覚えてる、横から覗き見て、あまりの変わり身に噴き出したんだった。
いやそれはどうでもいい。]
(61) 2014/03/27(Thu) 18時半頃
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ぇ、あ……?
[>>52見上げてくる十文字と、視線が合わない。 こちらが合わせようとすれば、逸らされる。 逆に向こうの瞳がこちらを向けば、自分が逸らしてしまう。 こんなに近いのに、すれ違う。]
い、 ゃ
ちが……
[責めたいわけでも、蔑んでいるわけでもない。 ただ、真実が知りたい。
唇を開きたいのに、上手く動かない。 喉が引きつって、声が出ない。 頭がぐらぐらして、運動とは違う汗が掌や背中に滲む。 ランニングしていた時より、鼓動がずっと煩い。]
(62) 2014/03/27(Thu) 18時半頃
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[だから十文字が立ち上がり>>53、視線の高さが逆転した時、一瞬、自分が蹌踉めいたのかと思った。 肩に伸びてくる腕が、スローモーションで見えた。]
───ヒッ。
[触れられて、心臓が跳ねて、喉が変な音を立てた。
言葉が出ない、息が苦しい。 瞬目の仕方って、どうやるんだっけ。
視線が合って、怒鳴られた。 嗚呼……こんなに強く「違う」と言ってくるということは、余程、厭なんだろう。
そうだ、冷静に考えれば、当たり前のことだ。 あまりにも当たり前すぎて、悲しいのか滑稽なのかもう分からなくなって、泣き笑いの表情で、十文字を見て───]
……ぁ、れ……、すす、む……?
[また、視線の高さが入れ違う。]
(63) 2014/03/27(Thu) 18時半頃
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