64 さよならのひとつまえ
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[寝そべったまま、頭上にスマホを掲げて弄る。 まずは両親に、荷物を送ったことをメールした。 それから、使い慣れない敬語で、球団の寮へも同じくメールを送った。 その際、後日もう一箱か二箱の追加があるかもしれないと添えて。]
ぉわっと。
[定良からのメールにスマホが震え、ちょっと驚いて、危うくスマホを顔面に落としそうになった。
内容を確認すると、やわらかな笑みを浮かべ、すぐに返信文を打った。]
(403) 2014/03/28(Fri) 20時頃
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――……仲直りしよう、なんて、言葉は要らないんじゃないかな。
[縋るように横で感情を溢れさせ始める締坂に、 眉を垂らして、手はその頭に落ちた。]
メールで、一本、そいつが行くときに、またなって言ってやればいいんじゃないか? そしたら、時間が解決してくれる。
お互い、無理やり笑顔を作ってもどうしようもないだろう?
[そして、その髪を撫でて、 優しい言葉だけをかけてやろうと…。]
(404) 2014/03/28(Fri) 20時頃
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[本当に、安心した。 画面の中ではあるが、動いている定良を見てほっとできた。 やっぱり甘ったれた公園の猫に似てる気がするけど 他の奴はそう思わないんだろうか。
特に、昨日俺の靴下で爪を掻いてきた白いのに似ている。
座っている分には誰が居るか解らないパーテーション区切り。 俺は椅子から腰を浮かせ、ひょいと覗いてみた。]
睦井。
[まさか勉強でもしてるのかと思えばそんな事も無さそうだ。 睦井が一人で居るのを見るのは、なんか凄く珍しい。 大概は女子と一緒に居るか、三年になってからは 同室の定良とも連れ立っている所を多く見たような]
(405) 2014/03/28(Fri) 20時半頃
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僕の言うことは八割プラスαの確率で適当なので、気にせずとも。
[しらっとした顔で、答えて。 父へ、バスに乗りましたが駅に迎えになんか来ないでくださいねという趣旨のメールをしたりしてから、携帯をカバンへと入れておく]
そうですね。噂が届く前に脱出しますか。 となると、如何に接待攻撃を避けるか……。
[などと、くだらないことをぼやきつつ。 生真面目で実直でドラマの人物のような肉親を思い浮かべて、膝に頬杖をついた]
はい。がんばりましょう。
[その頬杖は、彼の小さなガッツポーズをみて、すぐに解除され。 同じく、ちいさなガッツポーズを返すに至るのだが]
(+44) 2014/03/28(Fri) 20時半頃
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─喧嘩後・昼過ぎの談話室前─
[片手は保冷剤を右頬に。片手はスマホを弄りながら。談話室へと足を進める。朔太郎のメールを読み返しながら、これだけメール打ったり返信してる彼ならツブヤイター>>27くらい使いこなせそうなのに、などと思いながら扉を開けようとして。
>>343「本人降臨きたこれ!」という叫びと共に、わっと談話室内が盛り上がった。 なんだ、と思って開けようとした足が止まる。
聞こえてくる声に交じる、丞、博、利政、朔太郎、そして時折成斗のや自分の名前。扉のガラス越しに中を窺う。 padやスマホなどを覗き込んでいる数名の姿。 あ、と思う。何名かはさっき蹴った相手だ。そういえばそうだ、彼らも怪我をしたのだろうから応急セットを求めて談話室に向かうのは考えられたじゃないか。 溜息が出る。引き返そうかと思ったときに、聴こえた会話。
「俺たちがお前らに何か迷惑かけたのか、だってよ」
続く野次。下卑た言葉。軽い口調で、笑いながら画面を覗き込んでいる彼らのにやついた貌。 すっと頭が冷えた。ああ、なるほど。これか、朔太郎]
(406) 2014/03/28(Fri) 20時半頃
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―駅についた時の事―
[駅に着いたら、やはり父親が待っていた。 宗介に小さな会釈をして、父を待たせぬように小走りで近づいていく]
お久しぶりです。正月以来ですか。 お元気でしたか。それはなにより。
[淡々とした受け答えを受けての、父の困ったような穏やかな笑みを見上げて。 学校はどうだったか、三年間楽しかったかと問われて、小さく首を傾ぎ]
……恋してました。
[などと、答えておいた]
(+45) 2014/03/28(Fri) 20時半頃
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───────……
[無言で、足があがった。
ガン。 扉を蹴る。
マーチンの8ホールブーツ白。気に入りの靴だ。高校生が日常履きにするには少々値が張るが、安物をいくつも持つより多少高くても本当に気に入ったものを、数点持っていればいい。 大事に履いていたのに。
ガン。 もう一度。中の奴らは盛り上がっていて気付かない。 ガンガン。 少し強めに連続して。 ガンガンガン。 中の奴らが気付いた。顔をこちらに向ける。 ガンガンガンガン。 目が合った。俺の頬を殴った奴だ。
───────凄絶に微笑んで見せた]
(407) 2014/03/28(Fri) 20時半頃
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[ああ、女子がもう居ない時期でよかったな。 そんなどうでもいいことを思いながら思い切り足を振り上げて、談話室の扉に回し蹴りを放った。
派手な音。 壊れず耐えてくれたけれどミシって鳴った扉。 静まり返った室内。 こちらを見るいくつもの目。驚愕。呆然。
微笑みながら扉を開いて。ゆっくりと彼らに近づいていき。 おもむろに足を上げて、彼らが陣取っていた机を、上に載った応急セットごと蹴り飛ばした。 向こう側に座っていたやつが、机に巻き込まれて大きな音を立てながら床へ倒れる。体温計が壊れないといい。あれは地味に値段が張るから弁償するのは勘弁だ。 手前に居たやつの髪を無造作に掴む。 ゆっくり顔を見まわして、群れの頭を探す。あいつだ。机に潰されて倒れたやつ。白のマーチンがそいつの鎖骨辺りに踵を付ける。体重を徐々にかけていき。きれいに微笑んで、覗き込む]
─────いいこにできるよな?
[無造作に掴んでいた誰かの頭を手放す。体重を戻して。 この部屋片付けておいて、と言葉を置いて談話室を去った*]
(408) 2014/03/28(Fri) 20時半頃
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…定良から送られてきた動画、見たか?
[クラスが同じになった事もあって、 日常的な会話も持ちかけたが、返って来るのは 短い相槌ばかりで>>385
他の奴と話している所さえ見ていなければ、 物静かな奴なのかな、と思いもするが。
一年の終わりにこっそりオタクって明かしたから、 きもいって思われたのかと、素っ気無さに納得してしまった。]
俺も、あいつん家きっと遊びに行くから また会おうな。
[せめて定良繋がりで声をかければ、何か話てくれるだろうかと、 そのまま、見下ろす形でじっと見つめる。]
(409) 2014/03/28(Fri) 20時半頃
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─校庭─
[向かえばちょうど>>351頼児がラインカーを使っているところだった。彼が使い終わるのを空を見上げながら待つ。 >>353そうして次に名乗りを上げて、頼児からラインカーを受け取ると、黙々と、校庭に言葉を描いてゆく。難しくなく、でも、いま、一番伝えておきたいこと]
『 おれたちは 正しくはないが まちがってもいない 』
[ラインカーで煩雑な漢字を描くのは技量的に無理があったので、ひらがなが多めになった。そうして次の誰かにラインカーを託すと、自分も校庭を後にした*]
(410) 2014/03/28(Fri) 21時頃
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お前、…あんまり付き合ってる子を泣かせんなよ。 泣かせた分だけ、自分に返って来るぞ、きっと。
……優しくしてやれよな。
[因果応報という奴で。 この時期人も減って寮内は暇になる。
俺や、俺たちの存在は退屈を持て余している連中には 格好の餌というか、退屈凌ぎというべきか。
でも、笑った分だけ笑われると思う。 馬鹿にした分、馬鹿にされるんだ、いつか。 いつかを待たずして少し前に 鉄槌が降りた事なんて知らないが>>406>>408]
(411) 2014/03/28(Fri) 21時頃
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じゃあな。
[もしかしたら一人になろうとしている所を邪魔してるのかも。 そう思いながら、俺は自習室を後にする。
ネーム帳を忘れたことには、気づく事なく*]
(412) 2014/03/28(Fri) 21時頃
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― 図書室・夕方 ―
――――…くしゅんっ、 ぅあー? あれ、外暗い…。
[気づけば、図書室のカウンターに突っ伏して寝ていた。 朝から何も食べていないが、腹は減らない。 窓の外、夕方を示す空の色に息をつき。震えたスマホにメールを問い合わせる。 届いた宗介からのメールに、ふ、と息を零し。続く朔太郎からの内容には、画面をタップする指が止まる。 息を大きく吸って、吐く。
此処を出て、いつも通りの顔ができるだろうか。 怜二とのように話せるか。笑えるか。自分らしく振る舞えるか。自問自答。
気づけば、手は塞ぐように口元をおさえていた。 目を瞑り。瞼の裏に映った姿に、大丈夫だ、と心の中で言い聞かせながら。手を下ろしてカウンターから立ち上がると、三年間座り続けたその場所を後にした。]
(413) 2014/03/28(Fri) 21時頃
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何、怜二また眼鏡無くしたのか? 相変わらずだなー。
[笑って頼児>>381へとシャッターを切った。
……一枚一枚、また増える。 口から出そうになった言葉を、珈琲牛乳と一緒に飲み込んだ。]
(414) 2014/03/28(Fri) 21時頃
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[カメラを下ろして、電源を切れば、何か言いかける頼児>>382に首を傾げた。]
なにー?写真? 撮って欲しかった?それとも何か欲しいのあるとか?
[何を言いかけたんだろうと、まじまじとその顔を見たけれど、言われなければ何も分からない。]
欲しい写真とかあるなら、まだアルバムしまってないし、あとで……見せようか?
[どうする?と問いかけ、どちらにせよ後で、と返して食堂から移動した。]
(415) 2014/03/28(Fri) 21時頃
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[アルバムを見たいなら部屋に来いと言いそうになって、訂正した。 そのまま見せたら気付かれてしまう。 彼の写真を外したものを、自分から持っていけば大丈夫だろう。 そんなことを思ったから。]
利政どこだろなー。 部屋ー?
[ふんふんと鼻歌を歌いながら、廊下を歩く。]
(416) 2014/03/28(Fri) 21時頃
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─夕方・中庭─
[花が見たかった。きれいなものが見たかった。 今日一日のあたたかな陽に晒された桜は、花見をした昨日よりも綻んでいた。もう五分咲きに近い。
じっとそれを見上げていれば、ポケットのスマートフォンが震えた。
取り出してみれば、今朝ここを発っていった宗介からで。開いたら設定のせいか勝手にムービーが始まって、しかもそれがブレブレで何だかよく分からなかったものの。 終わって、件名と本文に目を通して。意味を理解する。 元気そうだ。お疲れさま。がんばって。 心の中で星屑のクラッカーをもう一度鳴らしながら色々と返事はするけれど、返信には反映されない。 スマホで文字を打つのは苦手だ]
(417) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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― 自室 ―
[私物の鞄の中から持って帰るつもりだったシングルCDを二枚出す 俺にしては珍しくアニソンでもゲーソンでもない邦楽。
小学校の時、隣の家に住んでいたおっさんが、 いるか、と言って俺に数枚のCDをくれた。
なんとなくこの二枚は気に入ってたから寮に連れてきて、 当然のようにそのまま持って帰るつもりだったけど、]
今の状態じゃ、歌ってくれなんて言えないな
[それどころか、話しかけることすらままならない。 俺が入れてやった締坂のCDケースの中に、この二枚も押し込む。 ちょっと飛び出る感じになってしまったが、まあいいか。]
(418) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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[東棟三階。 利政の部屋の前についてノックする。]
利政−いるー?
[暫く待ってみたが、返事もない。 唇を尖らせる。]
もー、どこにいるんだよー!
くっそー! こうなったら新聞部の名に賭けて、絶対見つけてやるし。
[半ば意地になってメールを送ろうと思っていない。]
(419) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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[メールを返信しながら歩く。 周囲は極力見ずにスマホに視線を落としていても、耳は敏感にざわめきを拾おうとしてしまうが。すれ違う人も少ないものあるが、思っていたよりも控えめなそれに身構えてた気持ちを僅かに弛める。 拍子抜けというか。否、別のことで波立っているような。
図書室に引きこもっていた間にあった、屋上に向かう階段での一件も、ネットでの騒ぎも、談話室での脅しも知らないまま。]
校庭か…どうしよう。
[寄せ書きって何を書けばいいのやら。 これまで幾度となく贈られたことのあるありふれた言葉が浮かんで消えた。]
(420) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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― 三階廊下 ―
あれ、チアキ? どうしたの?
[三階廊下、自室の前で騒いでいる声にスマホから顔をあげた。>>419]
(421) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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[机に戻り、明朝の為の仕掛けをすべく 数枚のメッセージカードを書く。
締坂よりも俺の方が起きるのは早い…と思うから こいつらのセットは気づかれずに済むだろうか。
絵の方は無事完成したので、バスの中から送ろう。 ノートパソコンはちゃんと充電しておかなくては。]
……。
[今日で最後なんだよなあ、と考えて、部屋内を見渡して。 実感が沸かないまま、ペンタブをドラムバッグに押し込む。
そろそろ夕飯でも食いに行くか。 それにしても、今日は連中とあまり出くわさないな、と思いながら。]
(422) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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う〜し、そろそろいくべか。 と、あら…てらっそ……なんじゃこれ。
[返信に返信を重ねていけば定良から新居報告のメールが届く。 ブレブレの動画、新たな住所。 ふと頬を緩めるけれど、その住所を書き写す紙は、ない。]
あ、そうだ手当。 の道具もねぇ…、まいっか舐めときゃほんとになおりそうだし。
[メールを返しながら、校庭へと足を向け始める。寄せ書きを完成させなくては。]
(423) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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―少し前>>393―
…はぁ?喧嘩って…。なんで? …あと1日我慢できなかったのかよ。
[視線が逸れる。溜息をついた。理由を訊いたってこういった場合は返事が返ってこないものなのだ。湿布、と呟いて部屋へ取りに行く。ライターを渡すことはその時忘れてしまっていて。
取りに戻った湿布は少し大きめのサイズだ。尻用だ。繰り返して言おう、これの元の用途は宗介の尻用だ。それともう一つ、渡そうと思っていたものを手に部屋へ戻ると怜二の前でハサミを不器用に使って湿布を顎用に刻んでいく。聞こえてきた怜二の声に意外そうに顔をあげた。]
……淋しいに決まってんじゃん。
[そう呟いて。]
明日からはお前もいなくなるからもっと淋しいんだよ。 2階残ってんの、俺だけじゃん。
[緩く眉を寄せた。]
(424) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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[どこから探すべきかと思っていれば、そこには探し人の姿>>421。]
いたー!利政いたー! どこ行ってたんだよー。 すっげ探したのにー!
[満面の笑みで、両手を広げて駆け寄る。 そのままの勢いで抱き付く……と見せかけて、腹にパンチを繰り出そうとした。 昨年同じクラスだった彼との、ちょっとした挨拶みたいなものだ。
文化祭や体育祭で裏方で走り回っている彼と、同じく写真係という裏方だった為、顔を合わすことも多く、なんとなく仕掛けたのがきっかけだったような気もする。]
(425) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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[スマートフォンを仕舞って、また頭上の桜を見上げる。 思い出すのは>>47入学式のことだ。
実家は北の、りんごで有名な県だ。 毎年結構大きな「さくらまつり」が開催されるが、時期はゴールデンウィーク。こちらに来て、入学式の時期に桜が散り始めているのを見て不思議な気持ちになった。 遠いところに来たんだな、と漠然と感じた。 小中と喧嘩ばかりで学校にほとんど通わなかった自分を、誰も知らない場所。 そうして親の手を離れ。店では裏方ばかりで絶対に花に触ることを赦してもらえなかったら、園芸部が存在する学校だと知って浮足立っていたのもある。
>>225夕暮れの部室。実家では触れなかった花。うれしくて。 水を遣っていたら、背後に人の気配。振り返ればまだ部員ではなかった那由多が居て。掛けられた言葉。 そうだな、綺麗だな、と頷いた。ただその花は数日で枯らしてしまい、そう多くない部員全員に笑われることになるのだけれど。 そのとき笑わないでいてくれたのは、那由多だけだった]
(426) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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―花壇―
[こうなったら今日はとことんやってやろうと、部室からホースを持ち出した。 飛沫がキラキラと舞い、そこだけ世界から切り離されたようだ。 みずみずしく生気に満ちた花達。木々の新芽も膨らみ始め、生命の息吹を実感する。 例えひと時でも、すべてを忘れられる気がして。]
(…どう考えでも抱きしめるのはまずかった)
[それでも忘れられないことはある。それが今朝のことならなおさらだ。 あいつの優しさに甘えてしまった。 3年になって同室になった時に決めたはずなのに。 絶対に悟られることは無いようにしようと。 今まで上手くできていたはずなのに。 最後の最後でなんて…失態。
舌打ちをしつつ、丁寧に水を巻いていくと、不意に後ろから呼び掛けられた。]
(427) 2014/03/28(Fri) 21時半頃
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ん?なんだよ。
[ホースの口を指で潰し、水の勢いを殺す。 振り向いてみれば、顔は知っている。多分…同級生。]
ありす?ああ、あいつは同室だけど。
[何となくそいつの口がその名を綴るのに、理由のわからない不快感を覚える。 来やすく呼ぶなよと。 相手は興奮しているようで、説明に要領を得ない。怪我をしているようで、時折身体の箇所を押さえ呻いている。]
ありすに蹴られた? …ああ、そんなの。
――お前が悪いに、決まってんだろ。
[押さえていた指を開放すると。 押し込められていた水の流れが、勢いよく相手の顔にめがけて飛びかかる。]
(428) 2014/03/28(Fri) 22時頃
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>>424
利一はさみしがりだな。 そしたら、今日、明日は十文字も出てくんだろ。 頼児のところでも夜はいけば?
[利一の気持ちなんて、知らずに、そう告げて、 治療してくれるのはありがたく、顎を出しておいた。]
一人の部屋って、大丈夫と思ってても、結構な。
(429) 2014/03/28(Fri) 22時頃
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―― 夕方・校庭 ――
んー、どうすっかなー。
[重い足を運んでやっと校庭まで出られたのは、陽が傾いてからだった。隅のほうでラインカーの持ち手に顎を乗せ、思案する。
――丞。アイツはエスパーだ。 ――怜二。アイツは眼鏡の癖に眼鏡じゃねぇ。
我ながら妙な印象を持ちつつ、二人に対して残すメッセージというのはなかなかに難しい。 それならば、ここは一目で自らのエールとわかるように。]
きーめたッ
[端のほうから、まずはかくかくと折れ曲がりつつ。 そして途中から一気にラインカーを押して走る。 先に書いてあった文字の隙間を縫って、走る奔る趨る。 走ること13メートルほど、白い長いラインの後に、またかくかくと。]
(430) 2014/03/28(Fri) 22時頃
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