[温かなスープに口をつければ、目の奥の痛みが取れていくような気がした。
立花の言葉もジャニスの言葉も、彼にとってはどちらも同じように優しい。三角座りのままスープをこぼさないように微かにゆらりと左右に揺れて。少しだけ、ジャニスの身体に触れては離れる。それが照れと喜びの体現だと気付ける者はどこにもいない。
今この時間が大切なものなら、やはり壊されたくは無い。
時折物言いたげにじっと傍らのジャニスを見ては、再びスープを見下ろすのを繰り返すこと数度。]
………皆が苦しい、のは よくない し、
大切なもの を、壊すのも ダメ だと思う。
だ、から 、
[意志を伝えるのはまだどうにか問題無い。しかし願望を口にするのは戸惑いがある。誤魔化すようにスープを口にして、唇をもごもごと動かして。]
あの声 止めるの ……手伝って くだ、さい。
[よもやそれが彼の本職だとは思いもせず。目を伏せてスープの湖面を見つめたまま、か細い掠れ声で頼んでみた。**]
(31) 2013/09/05(Thu) 02時半頃