108 Persona外典−影の海・月の影−
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―満月の夜― [掌の冷たい人は心の温かい人、 そんな言葉には少しだけ意外そうに目を見張った。 駆けた先、市外を見下ろすクレーンの上手はまだ繋がったまま。
じわりと影の蝕んでいく町の姿を、 雛宮律はなにか慈しむような表情で見下ろした。
迷い、苦痛、悲しみ、憎悪、後悔。 抗うものたち痛みの雫はシャドウの海へと溶けて流れ込み、 満たされぬ影で作られた身に、一時的な充溢感を齎すものだ。 そしてそれは――傍らからも>>21]
……今のお前に何が出来んの?
[花河の心のうちと同じことを口にした]
(32) 2015/02/20(Fri) 23時頃
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[>>22 逡巡するように続いた言葉。 彼女が今、何を言おうとしているのか、 そしてどうしてそれが口にし難いのか、 雛宮律には分かってしまう、そして分かってしまうから、 彼女には言わなかったことが、今までもたくさんあったのだろう。 沈黙の静寂は、いつだって安寧を導いた]
お前がここにいるなら、行ってもいいけど。
[自嘲のように口にされた言葉は、 きっと彼女が思うよりも律には意味のある言葉だった]
そうだなあ……、 もし今、俺がみんなを助けに行ったら死ぬとする。 そしたら、みんなが助かるのと、俺一人だけが助かるのと。
どっちがいいかな?
[それは少し意地の悪いトロッコ問題のもじりだ。 答えを聞かずに繋いだ手を解いて、かつん、とクレーンの上から一歩踏み出す、黒く焼けた火烏の翼が大きく広がってその姿を隠した*]
(33) 2015/02/20(Fri) 23時頃
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―夜明け前・祟神神社前―
へえ、この状況ならひとおもいに、 取り込んでしまえると思ったのだけどな。
[リツキがシャドウ、 その情報が向こうにペルソナ使いをひきつけてくれると思っていたが、どうやらそういうわけにはいかなかったようだ]
すこしくらいは、仕事をしようか。
[火烏の容がしたたり落ちて闇に溶けた。 影と同化したそれは混戦の最中まで赤黒い暴虐の翼を広げる。 ――その日奪われた影、櫻井智晶の痕跡には、やはり相馬絹代の時と>>3:6同じように、憎悪の業火が刻まれただろう*]
(46) 2015/02/20(Fri) 23時半頃
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------------------------------------------------- To:賀来馨一 From:雛宮律 件名:Re:(No Title)
そうか、辛いな。 で、これからどうするんだ? ------------------------------------------------
[>>42 賀来の連絡メールに個人的に返信をした。 シャドウを退治するだけでは犠牲が出ることくらいは、学んだだろう。彼らがこれからどうするか、それは興味があったからだ]
(64) 2015/02/21(Sat) 00時頃
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―祟神市内・中央―
……で、なんだろうなあ、この。
[忙しない街中は確実に様相が変わってきているらしい。 それでも、元旦の静寂が過ぎた後の街は、少し騒々しい。 歩きスマホをすることになったのは、届いたメールのせいだ>>31]
(66) 2015/02/21(Sat) 00時頃
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茶番…?
(*8) 2015/02/21(Sat) 00時頃
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------------------------------------------------ From:雛宮律 To:高屋敷真弓,賀来馨一 件名:Re:Re:お疲れ様です。
あけましておめでとうございます。 いつまで続くかわからない、あんまり無理せず。
花河は多分、調子悪い。 あいつに仕切らせてばかりなのもどうかと思うな。 ------------------------------------------------
[>>31>>57 賀来の文面を受けて返信する。 あのあと花河がどうしたか、それは自分も気になるところではあった]
(73) 2015/02/21(Sat) 00時半頃
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確かに仕込みは大事だね。
……リツキもよくやったものだよね。 あの子を手なずけてから、影を奪うなんてさ。
[シャドウの海をたゆたう、声。 それはもう痛みも悲しみも遠い闇の安寧の中にあったようだけれど]
(*10) 2015/02/21(Sat) 00時半頃
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―中央区/繁華外―
まあ、悪くはない。 物事には下準備というのは、大事だと思うよ。
[>>75 無表情に返信を出してたら、絡まれた。 とりあえず尻ポケットにスマホを突っ込んで、ゆるりと笑う]
君だって、それ持ってるじゃないか。 おかげで繋がりからは逃れられない、少し厄介だとも思うね。 ――ああ、君が繋がっているのは、君のいう価値ある人間だけなのかな?
[そちらの端末を覗き込むように、身を寄せた]
(81) 2015/02/21(Sat) 00時半頃
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------------------------------------------------- To:賀来馨一 From:雛宮律 件名:Re:Re:Re:(No Title)
それ俺に聞かれてもな……。 っていうか、櫻井ってそのリツキにやられたの? あいつだって、ペルソナ、使えるんだろ? ------------------------------------------------
(87) 2015/02/21(Sat) 01時頃
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時間を注いだものは、 それだけ愛着が湧くものだと思うよ。 だからこそ裏切られたと感じたときに、より大きな失望を味わう。
[>>86 面倒だと告げた少年に、律が聞かせる言葉。 それは雛宮律がよく知った感覚だ。 画面を覗き込んだ先に表示された名前には、肩をすくめた]
へえ……、彼がねえ。まあいいけど。 それでつまり、あの子もそういう存在だったのかな。
[覗き込んだだけで、身を離す。 他者の存在には気づいてはいなかったけれど、 リツキがシャドウであることが知られている以上、適度な距離は必要だ]
(95) 2015/02/21(Sat) 01時頃
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------------------------------------------------- To:賀来馨一 From:雛宮律 件名:Re:Re:Re:(No Title)
や、だって人間の影奪ってんだろ? 人間いないところに行く意味はないんじゃねーの?
そういうんじゃなくてさ、 櫻井だってペルソナ使えるんだからさ、 その辺の雑魚いのにやられるの?って話。
誰と一緒にいたんだよ、その時。 ------------------------------------------------
(103) 2015/02/21(Sat) 01時半頃
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君のいう価値は、 俺には愛着と同意義に聞こえるな。 あの子の影を奪った時、いったいどんな気分だったんだい?
[>>100 問うだけ問うてポケットに手を突っ込んだ、 常のような雛宮律の顔をしたのは、リツキの視線の意味が見て取れたからだ。
>>104 大分自分より髪の傷んだあいつ。 最初の夜、散々スルーしてくれた奴だが、 まあ根に持つのはあとでいい。]
……まゆみさんになれなれしかった奴。
[という律の認識をとりあえず口にした、 リツキに用があるらしい相手に、一歩譲った。 どうせ、今の時間はただの寄り道にすぎない]
(112) 2015/02/21(Sat) 01時半頃
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[>>106 どうやら賀来に全く話の意図は通じていないらしい。 リツキを倒せばつながりは切れるか?彼の質問はつまり「シャドウの海を繋げるものがリツキだけか」ということだ。導こうとした答えは「リツキ以外にもシャドウの海を繋げるもの、すなわち力の強いシャドウがいるかもしれない」ということ。櫻井の敗北からその存在を導こうとしたが]
……なんだ、 雑魚の力押しで負ける程度のペルソナ使いか。
[彼らはどうやら自分が想定するよりも、大分未熟なようだ]
------------------------------------------------- To:賀来馨一 From:雛宮律 件名:Re:Re:Re:(No Title)
そう、櫻井がやられるくらいだから、 それこそリツキみたいな格上のシャドウが、 その時その場所にいたのかなって思ったんだけどな。 ------------------------------------------------
(126) 2015/02/21(Sat) 02時頃
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今はじめてこいつと口聞いたし、 別にまゆみさんの友達でもないけど。
[>>115>>130 様々の事柄をまとめて返して、 話に混ざるつもりはなかったので、その場は離れることにした。 去り際の挨拶が必要な関係性かすら悩むところだ]
(131) 2015/02/21(Sat) 02時半頃
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―南区・マンション― [訪れたのはとある土曜日の朝早く。 集まりに指定された、ちょうどその日だ。 先の満月の夜と同じようにインターホンを押す]
……どうするんだ、今日は。
[問いかけは一言だけだったけれど、 どちらの答えでもそれを許容するだろう声音だった*]
(141) 2015/02/21(Sat) 03時頃
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[>>110>>183>>198 いくつかメールが届いていたが、特に返信の必要はないだろう。 高屋敷真弓の所在を確認する内容は少し気になったが、実際どこにいたかなんて知らない。]
……あの子以外にも勘のいいのがいたのかな?
[差出人の名前を、つっとなぞった。 あの時、炎以外の痕跡は残さぬようにするつもりが、 どうやら一筋縄ではいなかった、彼は他のペルソナ使いたちと関わりのなかった相馬とは違う。]
少しは用心、しないと、ねえ?
[薄闇の影に囁いた]
(217) 2015/02/21(Sat) 18時半頃
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アリバイの確認とは、 随分、まともで確実な手段だな。 ……疑われているみたいだね?
秋山 五郎、さすがにあの年齢では、 子供だましは通じなさそうだ。
(*20) 2015/02/21(Sat) 18時半頃
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[それからふと、 >>+22>>+23>>+24 影の海に沈むこえを聞く。]
……へえ、 あかりにそんな執着を残しているんだ。
(*22) 2015/02/21(Sat) 19時頃
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単純に疑われた先から潰していく、 ……というのは、いささか芸がなさすぎるかな?
愉しみのないことは、つまらないね。 けれど面倒ごとを排除しなければ、愉しみにもたどり着けない。
(*24) 2015/02/21(Sat) 19時頃
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あかりのことは俺に任せてよ。 ――彼女は雛宮律の幼馴染だからね、よく知っている。
それに今の彼女は無害だよ。何も出来ない。 もう一度くらい足掻いてほしいものだけれど。
足掻けば足掻くほど、 現実の残酷さは柔らかなこころを傷つける。
(*25) 2015/02/21(Sat) 19時頃
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……どれだけ傷ついてくれるだろう?
(*26) 2015/02/21(Sat) 19時頃
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―土曜の朝― [>>216 一人住まいにはだだっぴろい部屋、 部屋に上げられることに対しては、律は少しだけ躊躇いをみせる。律が一人になった彼女の元を訪れがたがった理由]
……一人暮らしのくせに、簡単に男を部屋にあげるなよ。
[出されたばかりの珈琲に視線を向けながら、 問いかけの答えとは、全く関係のない言葉を口にする。 砂糖とミルクをかき混ぜるスプーンの音がやけに響いた]
行くなら付き合う、――どこへでも?
[心変わりなら今のうちだと示唆をして、 それこそ今日はどこへでも彼女に付き添っていくのだろう。 冗談交じりの言葉に何を言ってるんだかと笑う、 世話焼きなんて言葉は雛宮律の自覚からはほど遠い。 いつだって、律は自分のことで精一杯だった]
(226) 2015/02/21(Sat) 19時半頃
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世話を焼くのは、お前にだけだな。
[どうにかこの世界で存在しようと、 ただ足掻くだけで律は精一杯だったのだ。
そして言葉と共にカップの中身を飲み干す*]
(227) 2015/02/21(Sat) 19時半頃
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幼馴染がシャドウでした、って。
簡単なねたばらしをしたいだけだよ。 なにせ絹ちゃんには全然驚いてもらえなかったしね?
(*28) 2015/02/21(Sat) 19時半頃
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------------------------------------------------- To:賀来馨一 From:雛宮律 件名:Re:Re:Re:Re:Re:(No Title)
怪我がおかしいって意味わかんないけど、 リツキばかりに構っていると足元すくわれるかもな。
街中でリツキにはあったけど、 あの子に価値があるとか、大塚が友人だとか、 そんな話しか聞いてない。
あの人?3ヶ月くらい前に、 石段から突き落とされた以外は 特になにもないな。 ------------------------------------------------
[入院は最初の満月の手前の頃だったから、恐らくそのくらいだろう。]
(261) 2015/02/21(Sat) 22時頃
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―公民館にて― 協力? 俺、花河についてきただけなんだけど。
[>>232 秋山の言う調査の内容がさて、 祟神神社に関するものならともかく、 雛宮律の父親に関わるものであれば、 「それはどうでもいいから好きにすれば」と付け加える。
憎悪、執着、悔恨、憤怒、 あれは元の人間の影響が強すぎて、 シャドウとしても出来損ないの存在だ。]
ま、少しは仕事を手伝うか。 祟神神社にくるっていうなら、その日は出ないで待ってるよ。
(263) 2015/02/21(Sat) 22時頃
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――っていうわけだから、 お前は安全なところにいるように。
[幼馴染にはそう告げる、いかにも仕事が面倒そうな口ぶりだ*]
(265) 2015/02/21(Sat) 22時頃
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------------------------------------------------- To:賀来馨一 From:雛宮律 件名:Re:Re:Re:Re:Re:(No Title)
頭打って入院しただけ。 大したことない。 ------------------------------------------------
[律らしく、していたら、あのザマだ。 落ちるところ近所の人に見つかって、救急車呼ばれて散々だった。 短い返信、あとは大した用もないだろう]
(281) 2015/02/21(Sat) 23時頃
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―満月の夜・祟神神社― [ちら、と賽銭箱を覗き込む。 初詣だのなんだのたっぷりと溜め込まれた不浄。 人の欲望の形が渦巻いて見えた。
満月の夜の妨害はあったが、多勢には影響はない。 月夜以外にも人出はたくさんあり、人は身勝手な頼みを、 神なる存在に託してここへ不浄を投げ込むのだから]
……あー、気持ち悪い。
[雛宮律は社殿の段差に腰掛けて、待ち人の顔だ。
満月が雲に翳り日付が変われば、 満ちていく引力に、新たな扉がゆっくりと繋がる。 シャドウの海の入り口から、影はこぽりと泡立ちあふれ出た]
(282) 2015/02/21(Sat) 23時頃
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