[彼の手で抜かれたイヤホンはそのまま。
嫉妬やら何やら、そういった感情にはあまり敏くはない。
彼が懸念したような認識は向けなかっただろうけれど、それを知ろうと知らずと、どのみち。
イヤホンの音楽も、校門の喧騒も、そんな全てがまるでどうでも良いかのように、今は彼ばかりに視線を。]
俺、今さ、あんまり金持ってないんだよ。
ファストフードがイイトコって感じ。
[ポケットを叩いて、肩を竦めながら。
恥ずかしげもなく貧乏学生アピールをしては、彼の手首を掴んで歩き出そうと。
人通りの多い校門で、手を掴む、まではできなかったけれど。]
だから、……食いに行くのは、ちょっと。
[ぐいぐいと引いておきながら、目的地など決まってはいない。
自分が金銭面で大人に甘えるのを、彼が知らないはずもない。
難儀な問題の終着点は、既に見えたようなもの。
彼から特に改善策が得られないなら、──もしくは否定が返らないなら、進む先は決まっているようなもの。]
(*36) g_r_shinosaki 2016/02/01(Mon) 11時半頃