―――――――ッ、ぐ、ぁ……
[感じたのは、全身を鋭利な刃物で貫かれる感触。
背、腹、足、腕―――…
ありとあらゆる箇所に痛みが走り、座る椅子から転げ落ちる。
痛みに耐えるように自らの身体を抱きしめ、震えていたが、喉に走る痛みと共に呼吸器が痙攣を始め、思うように息を吸うことができなくなった。
それでも辛うじて吸い込める酸素を、
必至に肺の中へと収めていた時、背に感じる新たな痛み。
―――それは以前感じた、身を焦がし尽くす程の熱。
皮膚が焼かれ、縮れ、裂かれてゆく幻聴が耳を支配する。
痛みにのたうち回り、縋るように床に指を立てる。
ギリギリと立てた指の爪は、床を掻いた時に割れ、血が滲んだ。
やがて男の背中に、鳥の鉤爪で抉られたような傷跡と、
首に線を引いたように鮮やかに残る傷を残した後、息苦しさは消え、痛みも徐々に引いていった]
(88) 2015/02/21(Sat) 01時頃