78 わかば荘の薔薇色の日常
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― 十月某日 ―
[いつも通り、平日と同じ時刻に目が覚めた。 二度寝をするでもなく、起きていた。 三度のノック。 秋の始まりを感じるこの頃には、随分これにも慣れていて、音だけで相手の予測がつくようになっていた。 クロッキーブックをイーゼルに置く。 スリッパが板を踏む。 鍵を開けに、ドアへ向かった。]
(537) gekonra 2014/07/06(Sun) 20時半頃
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[ドアノブを掴む。 ドアを押し開けた。 南方は間中を面倒くさそうに出迎えた。]
なんすか。 寝る時間には遅くないすか。
(538) gekonra 2014/07/06(Sun) 20時半頃
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― 十月某日、104号室 ―
[間中の口端が持ち上がる。 細い目をゆるりと柔く更に細めて、したり顔をしている。]
―――……
[南方は、大きく目を見開いた。 言葉の意味を理解した。]
(549) gekonra 2014/07/06(Sun) 21時頃
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[その報せは、想像していたよりも、ずっと早く届いた]
(=89) gekonra 2014/07/06(Sun) 21時半頃
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[間中の頭に手をのせた。 ぐしゃぐしゃに髪をかき混ぜた。 南方も顔をくしゃくしゃにして笑って、何度も頷く。 驚いて、すぐには言葉が出なかった。 ようやく発した一言は、本当に、心から喜んだ声での]
――、よかったな。 すごいじゃん。
(550) gekonra 2014/07/06(Sun) 21時半頃
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[梅雨明け宣言前の深夜、高熱を出しながら読んだ作品も。 それを書く間持っていたらしい不安も。 先月あたりはしきりに連絡を気にしていたことも。 書き物を朝方まで続けて、疲れて眠るところも。 それらを見ていたからだろう。 いつの間にか、喜べるようにされていた。 意外そうに見上げられた事で、「なんだよ」といつもの調子を少しづつ、取り戻していく。 それでも、嬉しそうに目蓋を伏せている様子は微笑ましい。]
ふーん。審査員特別賞。 おお……本まででんの?
(559) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時頃
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[そこで僅かに既視感を覚えるも、 思い出すことも、口に出すこともなく>>=12]
(=91) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時頃
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[興奮が、ゆったりと、おさまるほどに―― 距離を感じる。]
(=92) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時頃
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[間中は、単に、祝って貰いに来たわけではない。 第一声だって「モデルをしに来た」と、たしかに、言った。 言葉を聞く内、いつしか、南方の顔から笑みが消えていた。]
――……。
[暫く間中を見下ろしていた。 変人は、約束を果たしに。欲を、律儀に満たしに来ていた。]
……したね。
[確認をとるような、間中の声に、肯定をかえす。 見せて、と言われ、視線を足元へおとし―― 踵をかえした。 扉は、いつも通り、放ったらかし。 重みに任せて、閉まりかける。]
(570) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時頃
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――……
[部屋に戻った。 クロッキーブックには、数ヶ月で書き溜めた下絵があった。 それをベッドの上へ放り出す。 引き出しを開けた。釘抜きと金槌を引っ張りだす。 立て掛けられたキャンバスを掴む。 うたれた釘をすべて外し、キャンバス地をはがした。 木枠だけが、残る。 丸まったキャンバス地をクローゼットから引っ張り出し、手慣れた動作で、木枠に新たな布地を貼り付けていく。 皺がよることもなく。たわむ事もなく。 新しいキャンバスが完成させる。]
(578) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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[作り続けることは、間中と約束を交わして以来、 ずっと、ただずっと、黙々と、続けられていた。 最大限欠かさない努力をし続けた。
連日続けていたそれは、ただ小器用で、要領がいい、間中が見た最初の一枚と似たような出来の作品を、モチーフを変えて新たに作り出しつつあった。
木枠を持ち上げられ、それは、壁に、放置される。]
(579) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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[間中に背を向けて、南方は、静かに歯噛みした。
二度暴かれても、未だ、隠すように続けていた。 ひたすらに、必要があって、描き続けた。 黙々と。
なんの気持ちもこもらずに。]
(=94) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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[間中に名を呼ばれても、返事はしなかった。 或いは、出来なかった。 黙ったまま、必要な準備を整えていく。
仕舞われていた油絵の道具が詰まった画材の箱を、 引っ張り出した。]
(588) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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[新しいキャンバスを、イーゼルに乗せた。 椅子を、椅子の傍へ、傍に引っ張って寄せた。 それから、暫し、声もだせず、黙ってから]
――
[ぽつりと言う。]
モデル出来るつったな。
(591) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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/* くっそwwww 椅子のそばになってるうwwwwwwwwwwwww ここに急ぎがwwwwwww
(-1910) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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/* 笑ってしまってあぶないwwwwwwwwwwwwww
(-1911) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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/* wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww #集中終了のおしらせ
(-1912) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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/* わかったコピペした箇所間違ってるwwwwww わかった。だいじょうぶ。がんばる。
(-1913) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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[間中が拾った布地にあるのは、ただの、訓練の痕跡だ。 あがき続けただけの。手にたくさんのタコを作って、不格好に描き続けた人間の。 間中自身が、「楽しい?」と尋ねるような、ただの習作。
南方は、返答をきいて、間中を振り返った。 眉根を寄せた顔をしていた。 いつも通りに見えたろうか? 自分の顔は自分では見えない。 それは間中にしか分からない。
南方は、歩み寄って、間中の手首を掴んだ。 間中が持っていた習作を掴み、作業台に、不要品であるかのように、ぞんざいに置く。 引っ張って、いつも裸婦モデルを立たせていた、カーテンからすける日の当たる場所へ、連れて行く。
それから、手首を掴んだまま。 間中の細い目の上を視線がさっと通りすぎて、首を、肩を、胸を、腹をと、足元まで、視線が降りた。]
(604) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時頃
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――……。
[間中の姿は、ひどく、所在なさ気にみえた。 なんだか可哀想で、手を放してやった。 椅子を一つ掴んで、間中の横へ置いた。 背を向け、本棚から、丁度いい大きさの、ハードカバーの本を引き抜いた。 中身は西洋美術に関するものであったが、内容は関係がなかった。本の表面くらい、絵の上で変えることは容易い。それを間中にもたせてやる。仲間を与えてやるような心地で。]
読んでて。
[ベッドに放り出してあったクロッキーブックを拾い上げた。 いくつもの、紙がくたくたになるまで試行錯誤を重ねた頁を通り過ぎ、頁を捲る際に、何枚かが背から外れて、床に落ちる。 それを邪魔くさそうに拾い上げて、作業台の上に、また、ぞんざいに乗せた。
イーゼル前の椅子に座る。 クロッキーブックのある頁で、視線は止まる。]
(610) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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[それから、膝の上にエスキースを広げた状態で、椅子に座ったまま、間中遊のある部屋の光景を、みていた。
時間が、一秒づつ、経過していった。
無言だった。 一時も、その光景から、目は離さなかった。
一時間半以上が経過した頃だろう。
ぽつりと、かすれた声が言った。]
(613) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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[美しいと感じていないではなかった。]
[それでも、一向に、手が持ち上がらなかったのだ。]
(=108) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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[絵に対する心の底からの、好意ゆえの言葉をうけた。
思い知る。
結局、絵に対する気持すらその程度だったのだろうと。
我に返った。
今まで続けていたものは、何だったのだろうか。
続けるために、人から隠したかった、明確な理由が自分でもわからなかった。
それが、わかった。
暴かれたくなかったのだ。
いつしか、ただ、苦しくなっていたことを。
ほとほと、疲れ果てていたことを。]
(=109) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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[無気力なまま、約束にだけ縋って、 それだけのために描き続けた一月は、 色んな気持ちを擦り切れさせた。
この一月、楽しいと思ったことは、一度もなかった。]
(=110) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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[この日が来るのが、楽しみだったのか。 この日が来るのが、恐ろしいのか。 この一月の間、ずっと、わからなかった。 結論、恐ろしかったのだと思う。
だから、呆然として、言う。]
遊。
ごめん。 なんか。
描けないわ。
(615) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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[一時間を過ぎても、手が持ち上がらない。 ただおりて、膝の間で、あたりをとるための鉛筆を持っていた。 状況が奇妙で、つい言葉を発した。 不思議と、ただ、驚いているだけだ。 以前間中にいったとおりの「泣けもしない。」なのだろうか。 こんなにぽっかりと、悲しい気持ちであるのに、涙は一向に出そうにない。ただ、ぼうっと白いキャンバスをみていた。]
――……
[いつの間にか、間中は傍に寄ってきていた。 キャンバスをみている。 アイボリーの、ただしろいだけの、キャンバスには、なにひとつ描かれていない。]
描けないね。
[もう一度、確認するように、言った。]
(624) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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[背を、髪を、間中の手が撫でる。 それに、気づいているのかも、どうだろう。 呆けたままの声で、謝った。]
遊。ごめん。
約束、なかったことに出来ないか。
(625) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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[いいよ、と、いう声は、約束を破棄する声の前にあった。 どういう意味だったのか、わからない。]
……
…………。
[間中の体が傍にあったので、寄りかかるように、頭を寄せて、まだキャンバスを見ていた。 ――間中は、絵のかわりの対価として、ひとりの挫折で、満足はしてくれるだろうか。 話のたねであれば。なんでもいいのだろうから。]
(627) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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[タコの出来た手から、鉛筆がとりはらわれた。 なぜだか不思議と、ほっとしていた。
アイボリー色の、なにも色ののらないキャンバスは、 これはこれで、美しかった。**]
(635) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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絵のかわりが、それでいいのか。
[ぽつりと訊いた。ほっとしすぎて、涙声になっていた。**]
(=116) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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