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137 【突発小喉少人数RP村】九葉物語・初夢の章
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[ 迎春 謹んで新年のご挨拶致します。
葉書の裏面にそんな定型文の挨拶が印字され 写真館で撮った七五三の着物を着たはにかむ童女と 緊張感に満ちた濃色の背広を着た男が並んでいた
写真は他に誰も映っていないため 父ひとり娘ひとりの父子家庭なのは明白で
片隅にこどもの描いた干支の動物の絵がちんまりあった]
(26) 2016/01/03(Sun) 01時半頃
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[年賀状はこれまで色々と近所でお世話になった家や 勤める学校の教職員、教え子にそれぞれ 達筆とは云い難い手書きの文字でひとことを添えていた
ジャニスへ宛てたものは住所はなく
『どこほっつき歩いてんだ、いい加減帰って来やがれ 俺の娘は可愛いぞ、見に来い…ただし、やらん』
と、変わり映えのしない一文のみ]
(27) 2016/01/03(Sun) 01時半頃
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[ふらふらと行く宛もなく歩いてきたけれど、だいぶ景色に見覚えがなくなってきた。小さい頃はよく友達と遊びに自転車で町内を駆け回ったけど、果たしてこの辺りまで来たことはあったっけ?
ここは川だ。橋の下の方から轟々と音を立てて水が流れていく]
(28) 2016/01/03(Sun) 09時半頃
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[橋の欄干から乗り出して覗き込んでみると、激しい流ればかりで魚が泳ぐ訳でもなし。ここから落ちたら死んじゃいそう、という感想しか出てこない。死ぬつもりはないけれど、真下を流れる濁流から暫く目が離せなくなる。
そう、あの劇にもセーヌ川に身を投じた役がいた。それを思い出す]
(29) 2016/01/03(Sun) 10時頃
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マドカは、「…でもあたし、ジャヴェールは嫌いだな」と小さく呟いた。
2016/01/03(Sun) 10時頃
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[当たり前の日常と言って差し支えのないこと。 結婚を急かされながら日々を生きる、取り柄のない女]
[意識は、水底の泡に似た。 空気は地下を駆る列車に似た。 行き着いた混濁の世界は]
「妙子、お誕生日おめでとう」
[繰り返される1/365は何度目か]
(30) 2016/01/03(Sun) 10時半頃
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もうそんな年じゃないんだから……。
[歳を重ねた自分。微笑む老いた父母。 子離れできぬ二人に、嫌がることすら出来なくなった。]
祝わないでよ……。
[苦笑混じりの言葉の裏に潜むのは 無為に重ねた、年月への、虚しい諦観だけであった。]
(31) 2016/01/03(Sun) 10時半頃
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[手にした切符を改めて見れば近況が書かれていて。 宛名と同じ癖の字には見覚えがあって君のもの。]
…娘って、幾つの時の?
[年賀葉書の年と「今」を計算してみたら、 違和感もないけど若い時でもなさそうだなと。
君とは同い年だったから、単純に計算すると そこは、簡単に分かってしまう所でもある。]
(32) 2016/01/03(Sun) 11時頃
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[生まれ育ったのは、幸せな家庭だった。 遅い子どもを、両親はどれほど喜んだことだろう。 生まれなかった魂がいくつもあった中で、 産声をあげた私を、両親はどれだけ愛しただろう。]
[離婚もしなかった。離別する夫婦が悪いとは謂わないし まして、それが死別であったのなら、尚更に。]
[ただ、ただ―――]
(*1) 2016/01/03(Sun) 11時頃
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[大人になっていく自分。 子どもなら許されたことが、許されなくなっていく自分。 私は心の中で何度も繰り返していたのだ。]
「 」
[それは懺悔であり、言い訳でもあった。 許されるのなら、自分をなかったことにしたかった。 言の葉を声に出すことすら出来なくなった、臆病者。]
(*2) 2016/01/03(Sun) 11時頃
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やらんって、そんな趣味ないってば…
[確かに近所で懐いていた歳下の子の中に 写真で君と並ぶ年頃の女の子もいただろうけど。
歳上のお兄ちゃんのお嫁さんになるって言葉は 小さな女の子の常套句じゃないか?
本当にその気持ちがあるなら別とはいえ、 分かる時に、どれだけの年数が経っているか。]
(33) 2016/01/03(Sun) 11時頃
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[「今」から経ってる年数を考えたなら、 多分、あの子は君と同じ分の年の差くらいで すっかり大人になっているに違いない。
『車内販売でございます、いかがですか?』
通路を進むワゴンに葉書があったのは やっぱりこれが夢なんだろうと思わざるを得ず。 そのまま、君とその子に宛てて書いた。]
(34) 2016/01/03(Sun) 11時半頃
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[ 銀河新年 宇宙(そら)の車窓からお返しします。 新年早々、幼馴染はの幼女趣味警戒はやめて欲しい。 帰りは未定。終点まで行くかも。 ジャニスより]
[ 謹賀新年 それからお誕生日おめでとう。 妙子ちゃん……じゃなくて、もう妙子さんかな? 訳あって今旅してる、お元気で。 ジャニスより]
(35) 2016/01/03(Sun) 11時半頃
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ジャニスは、ミナカタ宛(>>35)は幼馴染「への警戒」を書き間違えていたようだ。
2016/01/03(Sun) 11時半頃
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[川を覗き込んでいたらちょっとバランスを崩して欄干から落ちそうになる。慌てて体を支えて体勢を立て直した。川を覗いてた時から足が浮いていたもの、嫌な予感はしていたのだ]
どうせチビですよーだ。
[誰にともなく呟いて足元に転がる小石を蹴った]
(36) 2016/01/03(Sun) 15時頃
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[さっきのお姉さんみたいに背も高くないし、いつまでも子供体型で本当に自分が嫌になる。 でも一度、先輩に言ってもらったことがある]
「……円香は可愛いからね」
[褒めてもらえたけれど素直に喜べなかったことはよく覚えてる]
(37) 2016/01/03(Sun) 15時半頃
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[ここから先に行っても迷子になってしまいそうな気がして、来た道を引き返す。雪はまだしんしんと降り注いでくる。手を擦り合わせ息を吹きかける。
結局、心は桜の木の下に囚われたまま。 そんなことにはとっくに気付いてる]
(38) 2016/01/03(Sun) 15時半頃
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ぶえっくしょい…あいでででっ
[くしゃみの拍子に、コタツの天板がゴッと鳴った 男は額をさすりながら酒が溢れていないのを確認し ほうっと胸を撫で下ろす]
おっと、セーフセーフ…エリはいねえよな?
[見られてしまうも難だが跡を残すのも、親として、 情けないの上塗り以外でなく、回避は成功したらしい]
(39) 2016/01/03(Sun) 15時半頃
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[天板に散らばった年賀状をまとめていて、 見慣れない葉書が混ざっているのに気がついた
そこに書かれた文面を見て、男は固まる]
…なん、だと? おいおい、何だよこれは…
[慌ててまとめた束から、幼馴染宛の年賀状を コタツ布団の中や、座布団の下まで丁寧に、 しっかり探してみたが、影も形も見当たらず]
(40) 2016/01/03(Sun) 17時頃
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嘘だろ? …何で今更?
[確かに自分は書いた記憶はあったし、 その時のペンのインクの染みが手にあった だから、それは紛れもなく夢ではない筈だが
それが消えたのは初めてで しかも、返事らしき葉書が着いているとか これは夢でしかあり得ない状況に呆然として そして、もう一度返事を見て──笑うしかなかった]
(41) 2016/01/03(Sun) 17時頃
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ったく、相変わらずだな…ジャニス
[まるで、近所へ探検に行くかの様な気楽さで 綴られた言葉に、苦笑する]
あれから、何年経ったと思ってるんだ…バーカ
[年賀状の年で計算されていた事に回らない程度には 酔っていたし、動揺していた自分に彼自身は気づかず 出す返事の年賀状と、他をまとめて後片づけをした]
(42) 2016/01/03(Sun) 17時半頃
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[家にとぼとぼと帰りついた頃には日もとっぷり陰っていた。
また夜が来てしまう。また夢を見てしまう。
親戚の家に行ってしまった両親が用意してくれた夕飯を温め直す間、大量に届いた年賀状を家族ごとに仕分けしていく。自分の分の束を改めて眺めていると、見知った名前がちらりほらり]
(43) 2016/01/03(Sun) 19時半頃
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[まず見つけたのは先輩からの。意外に可愛いデフォルメされた猿のデザインに一言【元気?体を崩さないように】と書き添えられている。先輩からのアクションは嬉しいけど、欲しい言葉はどこにもない。 次は演劇部の顧問の先生から。富士山を横断するように【公演の練習頑張りなさい】の一言。うるせー。ビリっと破り捨てた]
(44) 2016/01/03(Sun) 19時半頃
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[書き終えた「住所のある」他の宛名の年賀状を どうしようかと、しばらくぼんやりと見ていたが]
うっし…散歩がてら歩くかね…
[近くのコンビニの前にはポストもあった 往復でも、10分と掛からない程度の外出である 戸締りさえきちんとしてれば問題ない筈
男は徐に上着を羽織って、つっかけを履くと家を出た]
(45) 2016/01/03(Sun) 22時頃
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[行きがてら、川に架かった橋を渡ると 花も葉も見えない桜の樹があり、その側を歩く 街灯に照らされちらりと見える 散り始めた花弁めいた雪に、両目を細め
亡妻が放課後の部活で描いていた絵に こんな景色があったのを思い出した
見上げた枝の隙間から、星とも花弁ともつかない 雪とも思える切片を丹念に描いていた絵を]
(46) 2016/01/03(Sun) 22時半頃
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[自宅に戻れば、宴会の痕跡などなかったように片付いた部屋。 はて、友人らはそんなにも律儀であっただろうか。
そういえば年賀状が届いていたのだと、 コートのポケットから取り出した数枚の中に、 見落としていた其れは手品で隠れたトランプのように するりと束を抜け出した。]
……ジャニス、お兄ちゃん?
(47) 2016/01/03(Sun) 23時頃
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[久しい名に、その場で立ち尽くし、そして]
嘘、なんで今頃になって
[涙ぐみ、膝から落ちてわっと泣き崩れる。 いなくなって何れ程の時が経っただろう。 大きくなったらジャニスお兄ちゃんのお嫁さんになる、なんて、他愛ない戯言でも、子どもながらの本気だったのに。]
生きていてくれて、よかった。
(48) 2016/01/03(Sun) 23時頃
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「旅をしているジャニスさんへ 妙子は、三十歳になりました。まだだったかな?」
[私の誕生日はいつだったか、過去か未来か]
「旅路に祝福がありますように。お帰りをお待ちしています」
[他人行儀な文章しか書けないし、彼の年賀状に住所はなかった。曇った窓に指で書いただけの書簡、彼に届くといいと夜空を見る。]
(49) 2016/01/03(Sun) 23時頃
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[何を思って、うら若い女子高校生が ひとりで夜空をじっと眺めていたのだろう?
星空だったのか、花弁だったか小雪だったか 満点の星空なら汽車でも走ってそうな空だっただろう
『カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。』
その時の表情は──放課後の美術室で イーゼルに向かっていた時に似ていただろうと]
(50) 2016/01/04(Mon) 00時頃
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[ポストに投函した後、背中を丸めて家路を急ぐ 橋の上から見える川からは視線を逸らしても 真冬の川はせせらぎの音などないかの様に ひっそり橋の上に横たわっていた]
どいつもこいつも…まったく…
[幼馴染が飛び込んで帰る事がなく 亡妻が飛び降り下流で抜け殻が発見された ──そんな現場を見る勇気は未だない]
(51) 2016/01/04(Mon) 01時頃
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そしてまた1人、行く宛もなく 頼る人も、言葉を交わす人もなく 夜が来る度、彼のことを思い続ける
[温めた雑煮を口に含みながら、台詞を頭の中に思い描く。 また夜が来る。夢を見る。この夢は終わらない]
(52) 2016/01/04(Mon) 10時半頃
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[夢の中に先輩が出てくればいいのか それとも、束の間のハッピーエンド? ……ハッピーエンドって? あたしは先輩に何を望んでいるのだろう。
キス?お付き合い?結婚?…その先?
頭の中に浮かんだあらぬ想像を慌てて振り払う]
(53) 2016/01/04(Mon) 11時頃
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