78 わかば荘の薔薇色の日常
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――― 203号室 夜が明けて ―――
[窓の締め切った、カーテンの締め切った部屋。 リサイクル店で買った扇風機は、羽根を回すのを忘れた。 毛布を捕まえて抱き締めて 放置された皺くちゃの洗濯物みたいに、俺は
――― 夜明け。 挿し込む朝、なう、ろーでぃん。]
うおん。
[寝惚けた犬みたいな、声が漏れたのは ベッドに放置した、目覚まし代わりのスマホが鳴いたから。]
(185) 2014/06/27(Fri) 21時半頃
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[広告メール、迷惑メール、―――…ときどき時々本物。
愚図る俺の手がスマホに伸びて 寝惚けまなこで画面を確認。 今日は、何の、広告でありますのんと人差し指一本。 滑らせて見付けたメール画面が映すのは、売り出し文句じゃねーの。 お早うって、俺に言うの。]
あれ、俺、寝てたのかあ。
バーベキューッて今日だっけ、きのー……?
[日付と、時刻を、続けざまに確認した。 昨日聞いた筈の"明日"をほじくり出して、俺の一日が始まる。]
(188) 2014/06/27(Fri) 21時半頃
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[―――…メール送信。 長方形の白い図形が、飛んでく画面。
おはようッて、返しそびれたって気付いたのは 『送信しました。』の無機質な文字が映し出されてから。
――― ありゃあ
減点10点。 俺は俺自身に赤点付けて、ベッドを降りた。 カーテン開けりゃあ雲の切れ間に、ほんのり希望。 俺は現実と戦いに、ベランダに躍り出て、洗濯物を干す。
皺くちゃのTシャツも、下着も、ジーンズも。 ふんわり残った柔軟剤の匂いに気を良くした。]
おーしー、任務、完了でありますのん。
[一人暮らしをしてから、独り言がやたら増えた。 二年間ッてのは、それを気にする気すら、奪っちまうんだ。]
(195) 2014/06/27(Fri) 22時頃
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――― 二階廊下から一階に ―――
[シャツとチノパン、至ってシンプルなラフ・スタイル。 テレビの横のストームグラスは 今日も小さな羽根を、薄い屑の上に浮かべていた。 そう遠くもねー内に、また、雨が降り出す前兆だ。
さあさあ 音は聞こえねーから 雨音が届く前に、自室の外に、足を運んだ。 スニーカーの靴先が汚れてる。それくらいは外出歩いてる証拠。
滑るように、階段を降りる。 団欒風景を映し出す談話室の、横を、摺り抜けた。 目指したのは一階の、いま唯一の空き部屋。
102号室。 時々、我が物顔の、猫が居んの。 にゃあにゃあ媚び売らない猫を構うのも、俺の数少ない日課。]
(199) 2014/06/27(Fri) 22時頃
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――― 空き部屋 102号室 ―――
[果たして、我が物顔の猫は居なかった。
鍵の掛かっていない扉を、俺も我が物顔で押し開けて がらんどうの部屋。 ぽつん、おひとりさま>>164 座り込んで、丸まった背中がちょっと猫みたいだった。]
……… しーにゃさん?
[愛称の切欠は、俺が、"信也さん"を噛んだのだ。 あれは確か一年前くらいで、彼は、嫌がったんだったか、無視されたんだったか、受け入れられたんだったか。
自分の失敗から生まれたもんだが 俺は存外、天露をそう呼ぶのを、気に入っていた。]
………? 寝てんのん。
[足音殺すのとか、今更ですから。 そういう遠慮はせずに、丸まってる天露の横で、膝を曲げるんだ。]
(203) 2014/06/27(Fri) 22時頃
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はあい。 道菅隊員、参上、であります。 暑くねーですか。 此処。
[住人が居ないのだから、当然、冷房完備なんて 金の使い道を、管理人である桃地だって、行おう筈もねー。 密室で籠った空気が、汗ばむ心地を覚えさせる。
―――…名前を呼ばれて、ん、と咽喉で鳴く。 掠れた声は、寝起き特有のものでも、ねかった。]
しーにゃさん、もしかして、体調わり?
[拒まれなかったから、呼び続ける、声で。 前髪が汗で張り付いてる。 持ち上がった顔に、それを知って、無意識に手が伸びた。
熱とかあんのかなッて、ぺとり、触れに。]
(222) 2014/06/27(Fri) 23時半頃
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[手で触れようとしたのは ハンカチーフなんてお洒落なもん、持ってなかったから。
伸ばしがてらに かさり 袋が擦れたおとを立てた。 俺の意識は、視線は、そっちにも向いちまって。]
うおん。
[意識向けりゃあ気付くよ、気付きますよ、ドーナツ屋の包み紙。 これも昼飯になんのかなって もしかしたら誰かの贈り物かも知んねえし 23歳、がっつくのも程々にしたい、視線――― だった。]
(225) 2014/06/27(Fri) 23時半頃
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窓、開けるでえ………
[ありますか、と、常ならば、続く台詞だ。 二次元脳、ゲーム脳、気分は戦闘員。 そんなもんで好んで使っていた語尾だが、現状似合わない。]
…… 窓、開けようか。 今なら雨降ってねんですよう。
[風に触れれば、いくらか、身体も楽になるかと。 本当に熱を帯びているような額に触れて 汗ばんだ肌に張り付いた前髪を、退けてやる。
雫が小さく、宙を舞った。 そんで、触れた肌が、微かに跳ねるのも、知るわけで。]
―――… やん?
[茶化すでもなく、最低限の言葉を選んだ。]
(235) 2014/06/28(Sat) 00時頃
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差し入れちゃん。
[天露の眉間の皺を突きながら ドーナツの存在にも意識が向く、ほら俺、若いから。 言い訳は口を突かねーけど、"頼み事"には頷いた。]
なんだよう。 俺に、お任せしろ?
[軽く首を捻って―――…そのタイミングで、扉が開く>>236 八の字眉の俺と、体調悪そうな天露さんで、出迎えた。]
助けて大学マン。
[メール文面が、先ず、声に出た。]
……しーにゃさん、なんか、具合悪いんだって。
(242) 2014/06/28(Sat) 00時頃
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[氷枕にも濡れタオルにも、満たない指先。 ハンカチだって俺よりも仕事をする。 汗を拭うことも出来ねんだが、せめて、額を覆う前髪を 風含ませるみたく、払うくらいは、許されたかった。]
やん、なら、やん、ってお言いよう。
[主語は、自分の、指に対してだ。 気遣う宇佐美と正反対に、一言、二言、ぽつぽつ。
―――… ぺちん
ッて、衝撃よりも、ただ、小さく音をたてに。 指先で額を弾いてみせて、指は、離れんだ。]
うん。 ……部屋ぁ、一人は、心配。 言わねーかわりに、ちゃんとおやすみ、する?
[宇佐美の却下>>253に同意する心地で、頷いた。 本当なら一緒が良い、と云う、我が儘は顔だけに留め。]
(256) 2014/06/28(Sat) 00時半頃
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[俺の部屋は、オープン・ザ・ワールド。
個人情報の代表者たるパソコンなどと云う 精密機器もなければ、ネットと繋ぐ関係性はスマホ一本。 取られて困るものなんて財布くらいで ――…だから、天露と宇佐美の懸念に、気付けない。]
俺たち、ちょっと卑怯、ね。
[二 対 一。]
[笑い混じりの肯定を、天露>>257から得て、笑う。]
しーにゃさん、良い子、良い子。
(261) 2014/06/28(Sat) 01時頃
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ちょっとですよう。
しーにゃさん、今日はちょっと、レベルダウン? してんだから無理しねんの。
[大事なミッションの片割れである ドーナツに伸ばそうとしていた指でありましたが。 立ち上がろうとする、天露に気付き、手助けよう意図に変わる。
―――…捕まれよう、とばかりに、差し出した。]
宇佐美さん、毛布も、持って来てくれっかなあ。
[流石に、家具完備の空き部屋ではなくて。 がらんどうのお部屋に、視線を彷徨わせた。 誰もいないフローリングは、きっと冷たくて気持ち良いだろうが。]
風邪、いつから?
[宇佐美をお見送り、してから。ふと、お尋ねして。]
(270) 2014/06/28(Sat) 01時頃
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うひゃあ。
宇佐美くん、あれだあ、わかば荘専属保健委員。
[行動力のある宇佐美の姿が 早速、空き部屋に、立ち戻ってくる。 その手には薬のみならず、病人用グッズが、わんさか。
―――…それに比べて あれ 俺ってば見張りしかしてねー。]
俺は、ドーナツ冷蔵庫ミッションがありますよう、なので。
[託されたミッションは見事遂行せしめたい心構えで。 宇佐美に向けて、敬礼、繰り出した。 暗に、空き部屋居残り組にはならない、と。]
(272) 2014/06/28(Sat) 01時頃
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[そんで、俺の手は しっかと天露の手>>276を受けて、引き摺り出した。
立ち姿は兎も角として、拒まれなかったことに気を良くする。 くふん、と、鳴ったのは、俺の鼻だ。]
…… 借りてこよっか? いや、流石に、ちょっと、怪しいかねん。
[ソファに毛布が放置でもされていない限り。 宇佐美>>273に、くふくふ、頷き、手を伸ばした。 第三ミッションもお預かりに。 こっちは、重い。]
はあい。 俺、今日はちょっと役立ってる?
[働き者の宇佐美に、まるで褒められにゆくように。 俺は何時までたってもひのきの棒で戦うレベルの低さで。]
(281) 2014/06/28(Sat) 01時半頃
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[天露に触れた指先も、彼の方が、熱かった――ように思う。
早く治れよう
と、念じるよに、握り締めた手に力を籠めた。 籠めた後は、弛めて、離れんだ。]
――… すッげー、夏風邪?
それ、もう、薬じゃ治らねんよう。 ちゃんとおやすめ。
[くひ、と、小さく咽喉を震わせたのは、独特の笑み声。 心の風邪に効く薬、二次元ならば、在る筈なのに。 俺の生きる世界は結局三次元で、懸念に、八の字眉で。]
……… じゃあ、先に、行って来るであります。
[道菅隊員、の足取りで、紙袋二つ抱えて、部屋を出てゆく。]
(284) 2014/06/28(Sat) 01時半頃
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――― 一階廊下 ―――
[空き部屋から堂々、荷物持ちで、参上。
傍から見れば なにしてたんだこいつ、の、風体で、廊下に躍り出た。 一歩二歩と進むところで、俺の足も止まんの。
丁度、今正に、鍵を閉めようところの南方>>293に。]
うおん、
[秘密を得たがゆえに、犬鳴きをして。 失言転じて、当社比、表情を引き締めたいところだ。]
南方さん。 今、おはよさん?
(295) 2014/06/28(Sat) 01時半頃
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な、な、なにも、怪しいことはしてねーです。
[両手の紙袋を抱き寄せて 空き部屋を背に、必死に、ぐるぐる、思考を巡らす。 ―――…表情筋が三割増しで仕事をしない。]
うおん。
[反芻を、お返事みたく頂いたので、また鳴きしてから、]
お仕事でありましたかあ。 おかえんなさい。
[すら、と、此処が我が家であるように告げて。 咽喉が詰まったのは一瞬でありたい。]
ご、極秘任務遂行中なんだ。 俺が此処から出て来たぁ、って、内緒、…だめかな。
(306) 2014/06/28(Sat) 02時頃
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おう。
[人生の先輩および経歴の先輩は 引き籠もりアルバイターにとって余りに強敵だった。 装備もろくに整わないままラスト・バトルに挑む心地で 背中を伝う汗が、冷や汗でないことを、願いたかった。
事実、冷や汗であったのだが。]
―――… へへ、
[知らず、真意は兎も角、本日三度目の"ありがとう"。 きょとんと瞬いたのは俺の目の方で。 そんで まあ ちょっとばかし 嬉しくて笑う。]
極秘任務、極秘ミッション、そんなもん。 内緒にしてくれたら褒美を――― いいのん?
(314) 2014/06/28(Sat) 02時半頃
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[ご褒美まで口走りそうになった唇を、慎む。
此処に居住を構えてから 何度かことばを交わしたことがあれど、すきなもの、きらいなもの、それを知識として得るには、足りない。 俺と南方さんの関係性を、一言で言えば、隣人。]
いたずらぁ?
[反芻してから、黙る。 悪戯に含まれるのか否か、先程までの行動を思い描く。 ―――… ぎりぎり合格ラインか、と、一人首を捻った。]
ちょっと触っただけですよう。
[誤解招く物言いかは兎も角、判定待つ心地、視線。]
(319) 2014/06/28(Sat) 02時半頃
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[難攻不落の雰囲気漂わす魔物、南方>>324に 視線を寄せる間に、両手の紙袋を抱き締め直す。 ――… 宇佐美の数えるカウント何秒か目。]
ち、誓って悪い遊びじゃねんですよう。
[大人の発する ふうん に対してだ。 必死な物言いをしている自覚があるようで むず、むず、唇が波打つ。 むずむずむず。]
うえ、ほ、ほんとかよう。 ……、あ、あんがと。 ……… 南方さんてどんなもんが好きなの。
[出来れば高級路線でない方で、と、付け加える23歳。]
(330) 2014/06/28(Sat) 02時半頃
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い、い、悪戯の範疇って、ひとそれぞれだろ。
[狼狽を露にする魔物・南方に、俺の表情も真剣だ。
―――そんな遣り取り繰り返す此処、廊下。
仲間が加わった! とは到底言い難い、スーツ姿に、視線を投げ掛けた。 恐い、みてーな反応しねーのは、培った二年間の賜物。]
極秘ミッション中なのでありますよん。 平井もおかーり……… 髭ない………
[南方の指摘に遅れて、気付き。 まあじまじ、眺めてしまう。]
(331) 2014/06/28(Sat) 03時頃
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――― 一階廊下での ―――
[勇者は、戦利品―――ではなく 預かり物を抱き締めて。 難攻不落 魔物 南方>>334を見る。
ゆうったりとした頷きは、彼の気質のようにも思えた。 八の字、くの字、忙しない眉の輪郭が弛む。]
金。
[繰り返して、首を捻った。 23歳引き籠もりアルバイターに、あまりの難題、不可能路線。 二番目、三番目の提示を、待つのであります。]
飯は、バーベキューがありますのん。 酒で手え打ってくれますか。
[相場事情を確りと脳裏に焼き付けて、また、頷く。]
(416) 2014/06/28(Sat) 17時頃
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[俺の生きるリアルタイム。 平井>>336の姿だって、二次元の姿でなく、三次元。 二次元に傾倒しがちな俺にも 眉を顰めずに声を掛けてくれるひとに、視線を注いだ。]
お疲れ様でありますよう。
程々、て、だから、悪いことはしてません。
[表情筋をあまり動かさずに、応えて、逞しい背を見送る。 この場合、告げるべきは"いってらっしゃい"なのか 理解らずに、首を、俺はまた、捻ってしまった。]
…… 南方さんはあ、どこ触られたら、悪戯ッて思う?
[―――ふと。 困惑染みる南方>>339に尋ねて。]
(417) 2014/06/28(Sat) 17時頃
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[そんな会話を過ぎて、離れ離れ、俺の足取り。
談話室の和やかな空気に割り込んで 宇佐美達が訪れる前には、冷蔵庫に、紙袋を押し詰めた。
ドーナツの袋と、なぞの紙袋。
中身は如何も、瓶の類で在るらしい。 流石に、見知らぬひとの部屋にずけずけ土足で潜り ずけずけ宝箱を開けて、ずけずけ盗んでゆく――― ような強靭な心を俺は持ち合わせてなくて。
中身を確かめずに、冷蔵庫に、休ませんの。 ――― ぱたん。]
(419) 2014/06/28(Sat) 17時頃
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――― 談話室 → コンビニまでの ―――
[冷蔵庫に貼り付けるメモ用紙。]
『ドーナッツ、一個、おれの。 すすむ』
[バーベキューの準備も佳境ッてもんだ。 忙しそうな住人に声を掛けるのが憚られて 自己主張をメモに留めて、俺は、すぐに談話室を抜け出す。
踊るように飛び出た、わかば荘の広い玄関。 背中から怒鳴る声>>373が聞こえたのは、その位置。
ぎぎ、ぎ、足取りが、油挿し忘れたみたいに。]
(420) 2014/06/28(Sat) 17時頃
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……… しーにゃさんの声、だあ?
[だいきらい とか、そんなおとを拾う。 耳を澄ませてみたが、怒鳴り声は長続きしねー。 天露と誰が、とか、宇佐美の顔が一瞬浮かんで いや でも その後に、誰か? ―――分からん。
人間関係にはマニュアルが存在しない。
英会話はう・とぅ のように、質問と回答の答えもない。 迷う指先で、尻に触れんの。 正確には、尻ポケ。 ようし、――― 決心して、俺は、わかば荘を飛び出した。]
(423) 2014/06/28(Sat) 17時半頃
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[わかば荘から歩いて10分の、コンビニエンスストア。
近いんだか遠いんだか微妙な距離感 ―――…でも、此処が一番近いんだから、仕方ねー。 自動ドアの横に重なってる籠を取って、陳列商品を巡る。]
…… どんなお酒が好きなんだろ。
[大人と言えば、ビール? 酒が弱けりゃ、カクテル? 大穴狙って、リキュール? 洋酒?? 日本酒??? 五段六段と適度な種類が、逆に、俺の思考を静止させる。]
うぬん。
[低く唸る。 先程の、南方>>422の半笑いが、脳裏に浮かんだのだ。]
(425) 2014/06/28(Sat) 17時半頃
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『ありがとうござっしたー。』
[梅雨時のだるだる空模様みてーな声を背に受けた。 腕から下げたビニール袋は、重い、でかい。 早くも汗をかき始めたハイボール缶二本 俺が腕を軽く振る度に、がさがさ、フォルムを揺らしてる。
―――…顎を退いて、空見上げりゃ晴天。
悩み事なんてなあんもねーような空。 わかば荘に戻るまでの10分間、見慣れた景色、遊散歩。 その中腹で尻ポケの中身が震えて お と、手に取る。]
(492) 2014/06/28(Sat) 22時頃
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――― ウッドデッキ ―――
[肉・野菜、のみならず、酒の姿まで目に飛び込む。 ウッドデッキから見える、談話室の方角の、頭もちらほら。 家族の団欒向けと云うよりも、大人向けBBQパーティだ。]
ただいま、戻りましたでありますー…
働かざる者食うべからず? 権利あります?
[肉を焼いている働き手筆頭は、檀だった。 権利がなければ奪い取るまで。 何なら焼き手を任されるくらいの心算で、声を掛けた。]
(507) 2014/06/28(Sat) 22時半頃
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[片手に下げたビニール袋は ちっと隠すみたく、気持ち、背の方角。
かさりと軽くビニール鳴かせていると それとは異なるおと>>498も耳に突いた。
耳慣れないシャッター音。
彼がそれを握り締めている、姿を見たことは、ときどき時々。 彼にとってはレンズ越し、俺の目が、徹津の方を見る。]
(509) 2014/06/28(Sat) 22時半頃
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