え、……うん、
[気の抜けたように向けられた言葉を呑み込むのには、予想外に時間が掛かった。
おかえり、なんて言葉>>*14には、しばらく縁がない。
他愛ないそのひとことが、まるでどこか子供の頃に戻ったようで。
だけれど向けられる視線に、触れる手に浮かぶ感情は、子供のそれでは有り得ない。>>*15
頭の形に沿って髪を抑える手に、小さく肩を竦めて。
彼の手が触れたすぐそばから、確かめるように自らも髪を撫でた。
自分の手と違って、彼の手ばかりがひどく温かく、感じる。]
余計なお世話。
いつだってイケメンじゃん。
[悪戯っぽく向けられた笑みに、むすりと返して。
それから自分も意趣返しに、にまりと笑う。
こうして2人揃って他愛ない笑顔を向けられるようになるのにも、それはそれは時間がかかったような、気がする。]
(*34) g_r_shinosaki 2016/02/01(Mon) 11時半頃