138 レグルスの新年会(両片想い薔薇村おまけ)
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[そういえば、と先の彼の言葉>>1:8に思い出すことがひとつ。 待ち合わせとかなかなかしないけれど、自分も待ち伏せならしたことがあった。]
―――…そろそろ、かなぁ
[大学の前、校門。その柱に背中を預けて震える指でスマホを取り出す。
辺りはほんのり薄暗く、講義を終えて帰宅する大学生がぞろぞろと歩いていた。 彼は今日、最後のコマまで講義があると言っていた。ならば、この時間帯に校門を通るはず。]
――――――――――、
[吐き出した白い息が上昇して消える。片手で操作して時計を確認。きっとそろそろだろう。
アプリを起動して、指を滑らす。一番上の通知欄、彼の名前。]
(*0) 2016/01/30(Sat) 01時頃
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『 おつかれさん! 夕飯、一緒に食べないか? 』
[打ち直すこと幾数回。 結局シンプルに要件を綴った簡単な文章。
送信ボタンを押せば、画面に吹き出しが表われる。 返事はくるかこないか。スマホはポケットに押し込んで、いつもどおりのムートンマフラーに顔を埋めた。]
(*1) 2016/01/30(Sat) 01時頃
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─ 旅行当日 ─
いや、思ったより早く目が覚めちまったんでな? いつからってほどは待ってねぇよ。
[>>1:*6スマホの時計をちらりと見れば、ライジの到着時間も、予定よりも早かった。 上擦った声も相まって、お互い、それだけ楽しみにしていたのかと思うと、麻の冷たい空気の中だというのに、ふわっと頬が熱を帯びた。]
じゃあ、ちと早いけど出るか。
[分かりやすく嬉しげに、ライジを助手席へ促して、早速車のエンジンを掛ける。]
(*2) 2016/01/30(Sat) 03時半頃
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……ん?
[そして出発からややしたところで、ふと声をかけられ、後部座席を見てみれば、見慣れないボックスが置かれていた。 どうやら、ライジが用意してくれたものらしい。 中身を聞いいて、また、口元がへにゃりと緩む。]
そうか。 有難うな。
[今すぐにでも食べてしまいたい気もしたのだが。 もっとお腹を空かせてからの、あとの楽しみにとっておこう。]
(*3) 2016/01/30(Sat) 03時半頃
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[やがて話題は、旅行の目的地へと移行する。 一応、行き先だけは伝えはしたが、何やかんやで忙しく、そういえば詳細は話していなかった。]
そう、露天。 風呂入りながら星空眺めるってのも、いいだろうなって思ってな。
[そう、予約した時は、純粋にそう思っていたのだ。 けれどあとからよくよく考えて見れば、屋外だとか風呂だとか、なんだか合宿の時のことを思い出してしまう。 ……それで数日前、つい、妄想に耽って自慰をしてしまったことは、ライジには内緒だ。 とりあえず今は、不埒な妄想を払拭するよう、運転に集中しよう。]
(*4) 2016/01/30(Sat) 04時頃
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ネットで見た限りでは、けっこう良さそうだったけどな。
[>>1:*7口元を和らげるライジに、こちらも柔らかな気持ちになった。 カウンター越しに、黙して見つめていただけの頃、こうして何気なく彼と話せるようになることを、どれほど願っていたろうか。 現実となった今でも、時折、当時のことを思い出し、そのたび、胸に幸せが満ちるような気がした。]
あぁ……。
まぁ俺も、ライジとなら、どこでも………
[野宿でも車泊でも……と言いかけて、慌ててやめる。 しかしハンドルを握ったままでは、紅潮した顔は隠せない**]
(*5) 2016/01/30(Sat) 04時頃
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確かに、そりゃなかなかオツだよな。 どんなとこだか楽しみだ。
[上機嫌そうなヘクターの声を横で聞きながら、 のんびり外の景色を眺めたり、会話したりして過ごす>>*4
露店風呂のことに話が及べば、想像して思いを馳せる。 あまり行き慣れない施設に行くのは純粋に楽しみでもあった。 向こうも相応に不埒な事を考えているとは知らないにせよ。]
………ああ。
[共に過ごせるならどこでも、と思ってくれているのは彼も同じよう。 赤い顔で同意するヘクターを、嬉しそうに表情を緩めてじーっと見つめる。
こうやって、ずっと想っていた相手と 取り留めなく和やかな時間を過ごせるのが嬉しい。 幸せだな、なんて思いが浮かぶ]
(*6) 2016/01/30(Sat) 09時半頃
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[そうしてヘクターが運転する車に身を預けて暫し。
途中のパーキングエリアに辿り着いたあたりで 持ってきた弁当を食べないかと促してみる。]
こっちがジャコと高菜で、こっちが鮭。 何か飲むか?炭酸と茶、どっちがいい?
[一応運転してくれる彼を気遣ってあれこれ尋ねたり。]
あ、何なら俺が食わせてやろっか。
[などと悪戯っぽく言ってにやにや笑って見たり。 恋人になってからはじめての旅行ということもあり、 どうも自分もそれなりに浮かれているらしい。**]
(*7) 2016/01/30(Sat) 09時半頃
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[途中でハイウェイに乗った車は、順調に山間へと向かっていた。]
ん、そうだな……ちょっとハラ減ったかも。
[幾つ目かのパーキングエリアに差し掛かったところで、ライジに弁当休憩を提案された。 ふと空腹を思い出し、腹が鳴る。]
……あ。
じゃあ、高菜の……と、茶、もらっていいか?
[誤魔化し笑いしつつ、高菜の混ぜ込まれたおにぎりを取ろうと手を伸ばし]
(*8) 2016/01/30(Sat) 13時頃
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…………。
じゃ、あ、一口だけ……
[>>*7ニヤニヤ笑いとともに成された提案に、耳元を少し赤くして、困惑の表情を浮かべたが、こういう機会なのだから、甘えてみてもいいだろう。 そんなふうに考えるなど、今までにはなかったことだが。]
……あー、ん……
[ちょっとだけ、車外の様子を気にしてから、大きく口を開けた顔を、ライジへと近付けた。]
(*9) 2016/01/30(Sat) 13時半頃
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[のんびり会話をしながらドライブを楽しむ。 少し進んだあたりで昼休憩を提案すれば、 タイミングよく腹が鳴って少し笑いが漏れた。>>*8]
ん。
[茶が入ったボトルを渡しつつ。 冗談めかして食わせてやろうかと問えば 困惑ぎみの表情を浮かべられる。 が、別段満更でもないようで>>*9]
なんだよ、一口でいーのか? 遠慮すんなよ。
[拒否されなかったのを良い事にそんな軽口を叩きつつ、にまーっとした笑みを深め]
はい、あーん。
[にこにこしながら高菜の方のおにぎりを手に取って、大きく開けられた口の中にご飯を近づける。間近に見える唇や舌に、ちょっとだけどきりとしたのは秘密だ*]
(*10) 2016/01/30(Sat) 13時半頃
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……じゃ、じゃあ二口にするかな……
[>>*10軽口に、ちょっとだけ欲を上乗せする。 向けられた笑みを見るにつけ、どうも自分は、この表情がかなり好きらしいと、改めて思ってしまう。]
あー……
[口を大きく開けると、高菜とじゃこのたっぷり混ぜ込まれたおにぎりが寄ってきた。 ぱくりと噛みつくと、米が口の中ではらりと崩れて、高菜の程よい塩味と香りが広がった。 噛みしめるほど、じゃこの味わいも出てくる。]
ん、うまいな。
[口端についた米粒を舐め取ってから、もう一口と、また大きく口を開ける。]
(*11) 2016/01/30(Sat) 14時頃
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[おにぎりをモゴモゴしながら、目的地へのマップを開く。 今のペースなら、到着は、おそらく、陽がほんのり西へ傾く頃だろうか。]
なぁ、着いたらまず、風呂、入ってみるか? 星もそろそろ見え始めるだろうし……
[どうだろうと聞きながら、合宿の時に見上げた夜空のことを思い出した。 今思い返しても、あの空は、本当に美しかった。 見上げた空も、交わした会話も、おそらく生涯忘れないだろう。
けれどきっと、今日これから見上げることになるだろう夜空も、特別なものになるのだろう。 助手席の恋人を見るにつけ、そんな確信が湧いてくる。]
あぁ、そうだ。 ライジにも俺が一口、食わせようか?
[そうだ、折角の機会なのだからと。 もうひとつおにぎりに手を伸ばしながら、少し、悪戯めいた笑みを返してみた**]
(*12) 2016/01/30(Sat) 14時半頃
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[軽口を叩けば、遠慮がちに追加されてくっくっと笑う。>>*11 おにぎりを口元に近づければ、大きく開けた口の中に半分ほどが消えた。]
うまいか?そりゃ良かった。
[もごもご頬張る彼を満足そうに眺め、 再び開いた口の中にもう半分のおにぎりを押し込んで。 ご飯が彼の口内に消えるのを眺めながら 何となしに塩のついた指先をぺろりと舐めた]
(*13) 2016/01/30(Sat) 14時半頃
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[ヘクターが目的地への地図を開いたので、 身体を寄せて一緒にそれを眺める。 このペースなら到着はあと数時間と行った所。 程よく星が見え始める頃合いになるか]
そーだな。 取りあえず話題の露天風呂ってのがどんなもんか入ってみたいし? 時間的にも丁度良さそうだしな。
[風呂でのんびりしながら見る星空はさぞ綺麗であろう。 思いを馳せながら提案に頷くと、ヘクターがもう一つの方のおにぎりを手に取る。
どことなく悪戯っぽい微笑みを返され ぱちりと目を瞬かせた後、応えるようににまっと笑って。]
一口だけか?いーけどさ。 ん。じゃ、食わせてくれよ。
[あーん、と大きく口を開けて、彼が食べさせてくれるのを待った*]
(*14) 2016/01/30(Sat) 14時半頃
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……む、ぐ。
[>>*13いっぱいに頬張ったおにぎりを咀嚼し、少しずつ味わいながら嚥下してゆく。 口が塞がっているので、ウンウンと頷いて「美味い」と示した。]
…………。
[指先を舐める仕草が、どことなく官能的で、一緒に生唾まで呑み込んでいたことは秘密だ。]
(*15) 2016/01/30(Sat) 17時半頃
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[こちらが一つ食べたところで、さて次はライジの番だと、鮭のおにぎりを差し出せば、にまっとした笑みが返ってきた。>>*14]
あぁ、たまには……
……あ、じゃあ全部ってぇことで。
[ささやかな返報のつもりが、一口だけかと返されて、ちょっとドキリとしてしまった。 ならばこちらからも、全部食べさせてやろうかと、まず一口目をライジの口元へ近付ける。 そして咀嚼が済んだ頃合いを見て、もう一口と、何度かに分けて食べさせてやろう。
それにしても。 こう、何かを食べている口元というのは、どことなくそそるものがある。 過剰に意識してはいけないと思いながらも、視線はつい、口元ばかりに向いてしまった。*]
(*16) 2016/01/30(Sat) 17時半頃
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[半分を一気に押し込んだもので、 ヘクターの口がご飯で一杯になってしまった>>*15 美味いと示すようにこくこく頷く姿を見て満足げに笑い。
向こうも食べさせてくれると言うので、 素直に口を開けて待つ。]
……ん、む。
[鮭にぎりをぱくりと頬張って、もぐもぐ咀嚼する。 自分の作ったものながら、良い感じに塩味が効いていて小腹を満たすにはちょうどいい。 タイミングを見計らって食べさせてくれるヘクターに合わせて、のんびり食べ進めていく。]
(*17) 2016/01/30(Sat) 18時頃
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[と、何だかヘクターの視線がじっとこちらに向いているような気がして。>>*16口をもぐもぐさせながら密かにその様子を眺める]
……なんだよ、じっと見て。
[口に入っていたものをごくんと飲み込んだ後、改めて問いかける。 ついでにおにぎりを自分の口内へ運び終えたヘクターの指先を、先程を同じようにぺろっと舐めて軽く甘噛みし。]
あんがとな。
[と言って、けろっと笑って見せた。*]
(*18) 2016/01/30(Sat) 18時頃
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[>>*17ライジが食べやすいようにと、ゆっくり手を動かしながらも、視線はつい口元へ向いたまま。 途中幾度か、唇の動きにつられるように、もそりと口を動かした。]
え、? あぁいや、なんでも……!
[>>*18ついつい見つめすぎてしまった。 指摘を受け、慌てて顔を上げはするが]
……ッん……
[米粒のついた指先を舐められ、淡く噛まれ、ぱちぱち大きく瞬いた。]
いや、俺こそ。 美味かったよ、ありがとう。
[恥ずかしげに礼を返し笑い、さてまた車を走らせようかと思ったが。 その前に、少しだけ……と、目を細くして、ライジに顔を近付けた。]
(*19) 2016/01/30(Sat) 18時半頃
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……うまかった。
[微かな声で改めて告げながら、唇を寄せる。 あまり触れすぎてしまうと、抑えきれる自信もないので、軽く触れ合わせるだけに今はしておこう。]
(*20) 2016/01/30(Sat) 18時半頃
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……っ、さて!
じゃあ行くか!
[腹も程よく満足したし、宿までの道も確認した。 あとはライジにとくに用事が無いようならば、いよいよ温泉へ向けて車を走らせよう。*]
(*21) 2016/01/30(Sat) 18時半頃
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そーか?
[視線が気になって問えば、 ヘクターが慌てたような声をあげる。>>*19 ちょっとした悪戯心で指先を舐めれば ぱちぱち瞬きする様子が見えて口端をあげた。
美味かったと言う言葉に満足げに笑い。 そろそろ行くかとシートベルトを締め直そうとすると、 ヘクターが体を寄せて来る。 何かと瞬きをする間に顔が近づいて、咄嗟に目を閉じた]
ん、?
…………
[小さく囁かれた声と軽く触れる唇の感触。 一拍置いて、じわっと顔が赤くなる]
(*22) 2016/01/30(Sat) 19時頃
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………あ、ああ、 そりゃ、良かった
[上擦った声で、紅くなった顔のまま笑いを作った。
何せ、合宿以来禄に恋人らしい接触をしていない。 ささやかなキスなんかじゃ物足りなくて、もっと、と思ってしまって。
流石にそれをやってしまうと歯止めが効かなくなりそうで、 否応なくそう言う方向に思考が傾きそうになるのを 抑えるように無意識に触れた唇を指先でなぞる。]
ん。 じゃ、行くか。
[煩悩を誤魔化すように態と明るい声を出して、ヘクターに応えた。 早く着けばいい、と思っていることは口には出さずとも。 温泉へ着くまで先程よりどことなくそわそわとしつつ、口数は少なくなったろう*]
(*23) 2016/01/30(Sat) 19時頃
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[>>*22唇を触れさせたのは、ほんの短い間だけ。 あまり欲張ってしまえば、歯止めが効かなくなってしまうだろう自覚はある。 なにせ、あの合宿以来、店で顔を合わせて話す機会こそ格段に増えたが、それ以上のことは、実はあまりできていない。 なので、この旅行で、あわよくば……などと考えてしまうのは、ごく当然のことだと思いたい。
それにしても。 >>*23こうも可愛い反応をされると、こちらまで恥ずかしくなってしまうし、余計に意識してしまう。 安全運転のため、煩悩を払うように、一度少し強めに頭を振った。]
(*24) 2016/01/30(Sat) 19時半頃
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[道中、格段に減った口数に、時折ちらちらとライジの方を見ては、また進行方向を向くを繰り返す。 山奥へ入ってゆけば、街中よりも早い夕暮れが訪れ始めていて、見上げた空にはそろそろ明るい星が幾つか瞬き始めていただろうか。]
確かこの辺だったかな……。 ライジ、悪ぃけどまたマップ開いてもらっていいか?
[宿が近付いてきたところで、ライジにナビをお願いし、細道へと入ってゆく。 そして程なく、目的の地に到着した。]
(*25) 2016/01/30(Sat) 20時頃
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─ 温泉宿へ ─
[少し早く出たこともあり、到着時間も予定より少し早かった。 けれど山の夕暮れは、それよりもっと早かった。]
こんばんは。 お世話になります。
[迎えに出てくれた中居さん達に礼を言い、荷物を預け、予約した部屋への案内を頼む。 落ち着いた佇まいの建物や、従業員の和装は、とても情緒があった。 窓から見える景観もなかなかなもので、これに、星空が加わって、それを温泉に浸かりながらふたりで眺めることができるのかと思うと、つい表情が緩んでしまった**]
(*26) 2016/01/30(Sat) 20時頃
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[普段通りろくに視線も向けずに過ぎようとした校門に、随分見慣れた──そして焦がれた姿を見つけたのは、いつのことだったか。>>*0
ポケットに入れたままの端末は、メッセージの受信を知らせるには控えめな振動。>>*1 誘いに気付かないまま帰路につく、そんな可能性だって大いにあった。
それでも、夕闇に覆われ始めた薄暗い世界の中で、溶け込んでしまいそうな暗い髪は。 しっかりと、自分の視界に飛び込んできた。]
(*27) 2016/01/30(Sat) 20時半頃
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[その姿の認識が、あまりに鮮明すぎたものだから。 大きく目を丸めて、反射的に駆け寄りかけて。あと数歩まで近付いたところで、ようやく気付いたように足を緩める。]
……なにしてんすか。 ここ、大学。 あんたの相手はもっと子供でしょ。
[呆れた声音に反して、乱れた呼吸。 乱れた髪を直すのも忘れて、思いもよらない来訪者を正面からじっと見つめる。
一定を越えて踏み込んではこない彼の姿が、だけれど踏み込んでは踏み込まれた彼の姿が、目の前にあるのは。
なにしろあまりに、予想外のことだったから。]
(*28) 2016/01/30(Sat) 20時半頃
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──俺を、待っててくれたの?
[ポケットの端末の存在なんて、すっかり意識の外。 耳に挿した無音のイヤホンを外すことすら忘れて。 推敲する間も無く喉から溢れた問いかけは、──揶揄も皮肉も忘れた素直な問いかけは、期待に満ちた子供と変わりない。]**
(*29) 2016/01/30(Sat) 20時半頃
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