108 Persona外典−影の海・月の影−
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─満月の夜・高屋敷家付近─
[夜のなか、シャドウを避けて言われた家へ向かう。 そんなときに見えたのが、空に浮かぶ光る円盤。 光を放つそれを、雷の槍が貫き落とす。 とっさに、木の影に隠れた。 息を整えながら、バレないように、近付いていった。]
先……輩?
[ペルソナのような、黒い少女を操るのは紛れもなく先輩。 様々な疑問が浮かんでは消える。 やがて、夜明けが訪れた。]
(15) 2015/02/22(Sun) 20時頃
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[夜明けと共に、ゆっくりと倒れ出すあかりに駆け寄る。]
先輩!?先輩!
[返事はあっただろうか。 とにかく、安全な場所に運ばないと。 そう思って、彼女のマンションへ、背負ってゆっくりと歩き出した。
彼女が意識を取り戻す前に、ベッドへ寝かせることはできただろうか。]
(16) 2015/02/22(Sun) 20時頃
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─自分の部屋─
[あかりを運ぶと、いたたまれなくなって逃げ帰るように帰路に着いた。 彼女が戦ったときに、私は、戦えなかった。 怖くて、震えていた。
それは、シャドウや円盤にだけではない。 叫び戦うあかりにも、恐怖してしまった。
そんなとき、あかりから着信が訪れる。 メールの内容は、すぐにのみ込めた。 返信には、大いに迷って、こう返した。]
(17) 2015/02/22(Sun) 20時頃
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------------------------------------------------ From:楠 明 To:花河先輩 件名:Re:緊急
ごめんなさい。 私が、戦うべきだったのに。 事情は、把握しました。 ------------------------------------------------
(18) 2015/02/22(Sun) 20時頃
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……っ。
[胸の奥が、苦しい。 裂けるような、感覚がする。 罪悪感からなのだろうか。 なにか、なにか、もっとどす黒いものが。]
(19) 2015/02/22(Sun) 20時頃
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[ゆらりと影が動く。 その時を待っていたかのように。]
……やっとかな、また出てこれた。 楽しくやりましょう。 ……シャドウのおにーさんたち?
(*1) 2015/02/22(Sun) 20時半頃
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ふふ、ありがとう。
まずは、楠 明の希望を潰す。 そうすれば、名前のない私も、漸く楠 明になれる。
ああ、体はよく、馴染んだよ。 満月でなくとも動けそうだ。
(*3) 2015/02/22(Sun) 20時半頃
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そうしたいのだけどね。 不都合があった?
そうしないと『世界』が怒っちゃうの。
(*6) 2015/02/22(Sun) 22時頃
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[昼時、ノックの音に反応して立ち上がる。>>39]
マヤ? ……うん、入ってもいいよ。
[扉を開いて、彼を招き入れる。 その瞳は、嬉しそうに大きく開かれていた。]
(43) 2015/02/22(Sun) 22時半頃
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[ふふっ、と口元に笑みを浮かべる。 弧を描くそれに、何を思うだろう?]
うん。大丈夫だよ。 私は特に何もしてなかったし。
マヤこそ大丈夫? もう、吹っ切れた?
[首を傾げながら、彼を気遣う。 その瞳には、太陽が写り込んでいた。]
(52) 2015/02/22(Sun) 23時頃
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私は好きだけどね。 無為。無力。無価値。 そういったことを目の前にした人間は。 大抵の場合、混沌を求める。 そういう闇が大好きだよ。
(*13) 2015/02/22(Sun) 23時頃
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うん、本当に無事でよかった。
今は、それでもいいんじゃないかな。 大丈夫。私だってここにいるから。
[そして、陽当りのことに話題が行くと、きょとんとする。 しかしすぐに笑みを貼り付けると、カーテンに触れた麻夜の手に、そっと手を添えた。]
そうだね。陽射し、いつもより強いもんね。
私?ううん、いつもどおりだよ。 ……マヤが喜んでくれるなら、嬉しいな。
[そうした時、添えられた手が妙な動きをすることに気づくだろうか。]
(56) 2015/02/22(Sun) 23時半頃
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[麻夜に添えられた手は、人差し指で麻夜の手に文字を描く。 ゆっくりゆっくり、一文字ずつ。]
「た す け て」
.
(57) 2015/02/22(Sun) 23時半頃
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うん、それなら……。
?どうしたの?
[麻夜の様子がおかしくなったことに、困惑の表情を浮かべる。 光が遮断されても、表情は一切替わらない。]
マヤ?ねぇ、どうしたの?
[肩に手を当てられても、慌てることはなく。 麻夜に言葉を伝えた右手は、かすかに震えていた。]
(64) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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………………。
[一瞬、笑みが消える。 沈黙に、真剣な表情で、かえす。
それでも、笑顔を見るとそれはすぐに解かれて。]
よかった。 喜んでもらえるならそれが一番だもん。
うん、ずっと一緒にいるからね。
[包み込まれた右手。 その右手は、また指先を震わせる。]
(79) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[もう一度、更にもう一度。 「き づ い て」 震える指先は、懸命に文字を紡ぐ。
それでも、やがてその手は離れ。]
うん、いってらっしゃい。 またあとでね。
[笑顔で麻夜を見送ると、自分の部屋に戻った。]
(80) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[そして自分の部屋に戻ると。
右手の掌に、思いっ切りハサミを突き立てた。
その表情は悦楽的で、まるで右手だけが別の生き物のように、痛みを露わに藻掻いていた。]
気づいてないと思った?ねぇ、そう思った? あはっ、どんな気持ち?ねぇねぇ、今、どんな気持ち? 彼に気づけてもらえなくて。私がかわいいって言われて。 悔しい?苦しい?辛い?ねぇ?ねーぇー?
[狂喜に満ちたその表情は、変わらず右手を凝視する。 傷を抉るようにハサミを動かし続けると、やがて右手は苦しむのをやめて沈黙した。]
(83) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[そして、ニヤリと口角が上がる。]
(84) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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気を失ったか。まぁいいや。 もっと、もーっと絶望させなきゃ。 一生、私に楯突く事のないように。 一生、私に体を明け渡すように。
しっかしこれ、いったいなぁ。 包帯ってのでも巻いておけばいいのかな。
(*15) 2015/02/23(Mon) 01時頃
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[明の右手には包帯が巻かれ。 それが微かに震えることは、もうなかった。]
(86) 2015/02/23(Mon) 01時頃
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―満月の夜―
[何事も無く、満月の夜まで過ごしていた。 だからこそ、そのメールは突然で。]
………………。
[それでもメールを受け取って笑みを浮かべていた。 神社へと向かう足に、重さは全くない。 僅かな光さえも、今はその足を妨げる障害にはならない。]
(134) 2015/02/23(Mon) 21時頃
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―祟神神社―
[彼等より遅れて到着するが、あまり時間は経っていないはずだ。 入口を示す鳥居には、麻夜が背を預けて立っていた。]
マヤ?どうしたの?
なんて、もう必要ないよね? ふふ、気づいてたんだ。 もっと早く言ってればよかったのにね。
[そんな風に、笑みを浮かべる。]
(135) 2015/02/23(Mon) 21時半頃
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2月14日?
[唇に手を当て、考える仕草をする。 やがて、ああ、というようにパンと手を合わせる。]
ちょこれいととかいうものを、あげるイベントね。 そっか、マヤも欲しかったんだ。 気づいてあげられなくてごめんね?
[投げられた紅茶の缶を受け取っておどけたように謝る。 紅茶のプルタブを起こすのに苦戦しながら言葉を紡ぐ。]
(138) 2015/02/23(Mon) 21時半頃
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目的かぁ。 生きる。それ以外の理由が必要かな?
後は、そうだなぁ。 趣味になるんだろうけど、闇とか、深淵とか、絶望。 人がそういうものに直面するときの反応が大好きなの。
ところで、こっちからも話したいことがあるんだけど……。 良いお話と悪いお話。どっちから聞きたい?
[距離を取りながらも、顔を覗き込むような動作で、尋ねた。]
(139) 2015/02/23(Mon) 21時半頃
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そう?ふふ、残念だなぁ。
悪い話から聞きたいんだ。 じゃあ良い話から入るわ。 私は『悪魔』。暗示は裏切りだからね。
[ふふん、と顔を愉悦に浸らせながら喋り出す。]
あなたは私を楠 明の体から追い出したいんでしょう? 私は楠 明から派生したペルソナ。彼女とは独立した存在。 そして、『世界』と私は共存の関係にある。
わかりやすくまとめましょう。 世界を消せば、私も消える。そして楠 明に影響はない。 どう?簡単でしょう?
じゃあ悪い話ね。
[すると、目を細めて、口角を上げる。]
(144) 2015/02/23(Mon) 22時頃
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あなたの戦う理由。もうないの。
[ゆっくりと、そしてはっきりと。 言い放たれる、言葉。]
(145) 2015/02/23(Mon) 22時頃
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うん。絶望する様が見たくて追い詰めてたんだけどね。 人格が自壊しちゃった。跡形もなく。
あなたに助けを求めたあの日に。
人間って弱いし脆いし崩れやすいとは分かってたんだけど、あそこまでとは思ってなかったわー。 遊びがなくなっちゃったから、今日までもー暇で暇で……。
[彼を挑発するかのように、紡がれていく言葉。 言葉と身振り手振りで、あどけなさを表している。]
(151) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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[愉悦の表情は、一瞬にして凍りつく。 それは期待したものではなかったから。 激怒、悲哀、懴悔、そういう絶望を見たかったのに。
彼は、それを苦にしなかったようで。 表に出さない、強さを持っていたようで。 それを、少女は喜ばなかった。
けれども、もう一人はその強さを喜んだらしい。 黒衣を纏い、鎌を背負った『世界』が少女の隣に姿を表した。]
(157) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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『世界』……いえ、クロノス。 遠慮はいらない。そいつに価値はなくなったわ。 粉微塵にして、殺してやりなさい。
……遅れたけど、自己紹介しとこうかしらね。 完全なる『世界』、クロノス。 裏切りの『悪魔』……。
[そこで少女は少し考える仕草を見せて。]
……スガミ。
[そう名乗った。 黒衣は背負った鎌を両手に構える。]
構えなさい。 クロノスは、あなたが強いことを望む。
(158) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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……その呼び方はやめてほしいわ。 もう、その子いないんだから。
[同じように中身の無い缶を空に放り投げる。 クロノスがその缶に向けて鎌を振るうと。
缶は文字通り消えた。 チリ一つ残さず、跡形もなく消えたのだ。]
絶望する間もなく、消してあげる。 いきなさい、クロノス。
[黒衣は声に合わせて、ゆっくりと歩き出す。 右手に、鎌を掴みながら。]
(171) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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