82 【突発RP村】独りある身はなんとせう
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[名前を呼んだときは、ぴくりとも反応がなかった。 櫛を通した形跡のない乱れた髪が、心をざわつかせる。 それでも、二度目に声をかけたときには反応してくれて、会話も成り立つ。
よかった、と。 まずは、まだ壊れてないことに、安堵した。 それから、まだ他人を気遣う余裕のあった自分に対する自嘲とも呆れともつかない感情]
駄目だ。貸せ。
[久方ぶりに出したような掠れた声に、簡潔に言う声は、どこか上滑りだ。 ともかく取り上げてしまおうと手を伸ばせば、否定の言葉と共に腕を振られて]
っ、て
[家族か、ホリーか。普段からよく手入れされていたのだろうテーブルナイフが手に引っかかり、浅い傷を掌へ残す。 痛みは、ひりひりと遠い]
……。
(6) 2014/07/16(Wed) 16時半頃
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[嗚咽は、いつもの女らしい声を潰す。 切れ切れの、返事にもなってないような言葉を聞きながら、その手からテーブルナイフを取り上げた]
そうか。
[もっと言うべきことはあるんだと思う。 自暴自棄になるなとか、泣くなとか、そんなことをしたらみんなが悲しむとか。 そんな、耳障りで誰にでも言える綺麗な励ましを。
それでも、その言葉しか出なかった。 目の前の女が誰を喪ったかは知らずとも、何を喪ったかは察せられたから。 自分も、先ほどまでこんな顔をしていただろうから。 自分の気持ちにダブらせれば、その言葉は刃にしかならない]
……だよな。
[呟いて、ため息ひとつ。 取り上げたナイフの切っ先は彼女へ向けたまま、手の中で弄びながら、言葉を出せずに。 ともかく座ろうと促すために、ナイフをポケットへ入れてホリーの肩を押す。 ベンチなんて上等なものはないが、すぐそばの木陰は涼しそうだった]
(7) 2014/07/16(Wed) 16時半頃
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[自分ばっかり不幸な顔をするなと、怒鳴り付けてやりたかった。 八つ当たりだと分かっていたから、それは出来なかったけども。
勝手にしろとナイフを渡して去ってやりたかった。 彼女の身が心配で、それは出来なかったけども。
憔悴しきった彼女の旋毛を見下ろして。 哀れだから殺してやろうかと、提案してやりたかった。
その言葉は、まだ喉の奥に引っ掛かっている]
(*0) 2014/07/16(Wed) 16時半頃
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飲むか。
[ポケットを探れば、煙草と携帯ウイスキーボトルしかなくて。 彼女へ酒を勧め、自分は煙草に火をつける。 吸殻を集めて、また紙を巻き直した安い煙草は少し湿気っぽい]
……。
[言葉は相変わらずの状態で。 暴れだす気配がないなら、静かに彼女が落ち着くのを待つ]
(8) 2014/07/16(Wed) 16時半頃
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[乱暴に突っぱねられても、どこか頭がぼんやりしているせいか、特になにかを思うことさえなく。 煙草を指で挟んだまま、ホリーに視線を向けぬままに言葉を選んで、並べる]
……誰か死んだか。
[死、と。 その言葉を使ってしまうと、余計に現実感がない。 もしかしたらあの話は何かの間違いじゃないかと思うほど、現実味のない単語だ。
煙草は、吸われることなくただ煙を上げて灰になっていく]
(17) 2014/07/16(Wed) 21時頃
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……お前、いま生きてる知り合いと家族、全員思い浮かべろ。
[迷子のような彼女へ、生きろ、とは言えなかった。 言えなかったから、ただそう告げる。
彼女には、工場へ言った家族がいたはずで。 そう華やかな交流というわけではないが、友もこの村にいたはずだ]
……んで、そいつらがお前が死んだあとどんな顔するか、よく考えろ。
[自分は、それらが支えであり。 現世に留まるしかない重りだ]
それらを全部捨てていいと思えるなら、
[ぼとりと地面に、長く伸びた灰が落ちた]
(18) 2014/07/16(Wed) 21時頃
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ナイフ返してやるから、勝手に死ねばいい。 しくじりそうなら殺してやるよ。
[つっかえていた言葉は、口にしてみれば単純な響きだった。 遠くを見るような目付きのまま、ホリーの方を見る]
(19) 2014/07/16(Wed) 21時半頃
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……親友が
[>>23問いかけに、感情が欠落したまま答える。 血の繋がりもない、恋人なんかじゃない。 ただ、赤ん坊のころから一緒だった親友が一人、消えたその事実だけを。
指に挟んでいた煙草は、ちりちりと指に熱を与え始めるほど短くなっていて]
……仕方ねー。 仕方ねーと、思わないとな。
[自分に言い聞かせる独り言は、虚ろなままだ。 怒りも悲しみも、度が過ぎると無になることをこの年で初めて知った。
怒る気力も泣く気力もなかった。 だから、音もなく涙を流せる彼女が少しだけ羨ましい。
自分には、死のうという気力も湧かない]
(37) 2014/07/17(Thu) 00時半頃
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……お前が自分の人生をどう扱おうと、お前の自由だろ。
[二つ目の問いかけ。 それに返す声は、やはり感情がない。
普段ならば、少々お節介なほどに他人を気遣う自分にはあり得ないような返事は、彼女へどう響いたのだろうか。 風ひとつない暑さに、汗が額から頬に垂れる。
それから、潰されてない吸殻を指の間から落として]
(38) 2014/07/17(Thu) 00時半頃
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……わかった。
[彼女の首を左腕が掴む。 長い髪が指の下にあった。
普段から食が細いせいだろう。掴んだ首は折れそうなほど細くて、白い。 華奢な首は、片腕しかない自分でも十分に息の根を止められそうだった]
……。
[ぎちぎちと音が立ちそうなほどに、強く力を込める。 自分の呼吸は奇妙に落ち着いていて、木陰は相変わらず長閑だ。
微風に葉が揺れる音がして、彼女の髪もそよぐ。 なんの感情も浮かばないままに、ただ虚ろなままに 彼女を楽にしてやろうとして
横で、火のついた吸殻が青草を焦がしていた]
(39) 2014/07/17(Thu) 00時半頃
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[楽にしてやろうとして
いた、のに]
……っ、
[ふ、と。 彼女の瞳と視線が合う。
……途端、手から力が抜けた。
どれだけ力を込めようとしても、ちっとも指が動かなくて。
やがて、ずる、と力なく、手が首から離れる]
…ホリー、
[ぼんやりぜんと、彼女の名を読んだ。 それから、小さな声で謝罪する]
(42) 2014/07/17(Thu) 00時半頃
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ふは、……悪い、無理みたい、だ……。
[虚ろなままなのに、どうなったっていいと思うのに。 本能に染み付いた性質は、情は、それを許さなかったようだ。 自嘲して笑い飛ばしてやろうとしたのに、顔は強張ったままだった]
悪い、悪い……本当に、悪い……。
[泡のような呟きは、弾けて消える。 先ほどまで青草を焦がしていた吸殻は、露に鎮火された]
……生きてくれ。 生きたいって、言ってくれ。
[虚ろな、心が剥離していた声に。 懇願の響きが、混じった]
(43) 2014/07/17(Thu) 01時頃
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……死ぬやつは、もう、……もう…っ
[それが、どれだけ残酷な我儘かは、自覚しても。 言葉は、勝手に訥々と並べられていった]
(44) 2014/07/17(Thu) 01時頃
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そんなん……っ、俺だって、わかんねえ、よ……!
[先程まで、鬱々とした微笑みを湛えていた相手は、今は子供のような声で泣き叫んでいる。 それに対して、圧し殺した憤怒とも慟哭になり損ねたともつかない荒んだ声で答えた。
掌の皮が捲れて痛む]
死んでほしくねえって、死ぬなって、思っちまったんだよ……! 知り合いに残されて、そいつがいない人生を背負わなきゃいけねえなんて、もう嫌だって……。
[嫌、でも。 自分が死ねば、どれだけの人間に同じ気持ちを背負わせることになるか、想像すれば捨てることなど出来ないから。 ホリーと同じ選択肢を選ぶことは、この先永遠にないだろう]
お前の人生だ、お前の好きにすればいい。 だから、これは命令じゃねえし、頼むしか俺は言えねえけど、けどっ、
(61) 2014/07/17(Thu) 21時半頃
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頼むから、生きてくれ……。
[ホリーの声が小さくなるにつれて、自分の声も小さくなる。 どうすればいい、と彼女が呟いたのを耳にすれば、分からないと言うしかなかった。
俺だって、わかんねえよ]
(62) 2014/07/17(Thu) 21時半頃
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……お前は、友人を損得で選ぶのか?
[不安定さをまだ孕んだ声で、ホリーは自虐を言うから。 怒りを抑えた声で、疑問符を口にする。
ふらつきながら近付いてくる姿に対して、目線を合わせる姿に対して こちらは、自暴自棄と混乱の狭間のままに ただ、殺意も嫌悪もこもらない瞳で睨み付けていた]
ああ、そうだよ。悲劇の主人公ぶりやがって、くそ……。 誰がいなくても、世界なんて回るんだよ。自分ばっかり特別だと思って酔いやがって、
お前は、ただの女で、だから
(76) 2014/07/17(Thu) 23時頃
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……お前が死んでほしくないと思うやつなんて、ごまんといるに決まってんだろうが……。
[私は、私が、と口にする彼女へ、自惚れるなと憤りをぶつける。 それから、少しの間を開けて]
……殺してやれなくて、悪い。
[これから彼女が味わう生き地獄を思い、そう謝罪した。 殺してやれば、きっと彼女は親しいものを失った悲しみから解放されたろうに。
彼女の分まで背負う勇気は、自分にはないから。 だから、ごめん。 生きていて欲しいのは、彼女の幸せのためじゃなく、自分の幸せのためだから。 ごめん]
(78) 2014/07/17(Thu) 23時頃
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