78 わかば荘の薔薇色の日常
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─前日の事─
[管理人として、バーベキューの面倒は最後まで見た。 片付けもせずにさっさと部屋に戻るお馴染みの面子に仕事をさせようにも、山篭りから帰って来た求道者の顔をした芸太がまだ肉を食っていて早々に片付けてしまうのも可哀想だったので、とっとと離脱した不届き者には後日他の仕事をあてがう事を決め、最後の打ち上げ花火を合図に、残った者達と後片付けをした。
達久から、信也の状態については聞けていただろうか。頑固に姿を表さない事を心配していた管理人に、誰かは情報をくれただろう。 だから風邪だと聞いても信也の部屋を訪れる事はせず、面倒を見てくれる他の者に任せた。]
(83) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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[薫と翔平の合作ロシアンルーレットは、2
1.あたり 2.はずれ
を引き、微妙な表情で咀嚼した。]
(86) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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[庭から火種が消え去り、一応の安全が確認出来ると、まだその場に人が残っていようとも早めに引き上げて自宅で眠る。
朝早く、墓地を見まわってから談話室に入ると、ここ二年、この時間には絶対にいなかった人の姿(>>75)がソファの上にあり、フランクは、眼鏡の奥のしょぼくれた目を丸くして信也を見下ろした。]
……おはよう。 珍しいな、こんな時間に。
[驚きながらも基本の挨拶を口にして、呼ばれるままに頷いてソファの上に──信也の隣に──二人分くらいの空間を開けて座った。]
……話ってなんだ。 急がないから、ゆっくり話せ。
[真っ直ぐに注がれる視線を、フランクもまた、真正面から受け止めた。]
(87) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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─談話室─
[ぶつかるようだった信也の視線は、謝罪を口にした後、自分の靴を見るように逸れた。
しんとした談話室。 隣で俯く男の心音は聞こえない。 黒いフレームに囲まれた視界で、痛いほど握られた手が白くなっている。
だからフランクは、真っ直ぐに伸びた視線を、信也の顔から数ミリ外して、続く言葉を待った。]
(138) 2014/06/30(Mon) 16時半頃
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聞いてる。 バーベキューは強制参加じゃねーし、気にするな。
食いっぱぐれて残念だったな。 多分、誰かが肉取っておいてくれてると思うが。
[信也を直視せず、やんわりと視野に含めながら、謝る必要はないと言い聞かす。
バーベキューの事も。 今まで避けて来た事も。]
……ん?
[懺悔でもしているかのように、信也の声が一瞬詰まって───突然の告白(>>125)。]
…… ……ん?
[思わず聞き直した。]
(139) 2014/06/30(Mon) 16時半頃
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[人として好き、という意味では──なさそうだ。
鈍い事に定評のあるフランクだが、ただならぬ様子の信也を前に、そんなのほほんとした判断を適用させるのは憚られた。]
…………あー……、その。 つまり、…………なんだ。
[煮え切らない。 まだ困惑している。
おっさんに、最近のオープンな同性愛の感覚は判りかねる。いやそもそも、同性愛的な意味ではないかもしれない。 なんか、そんな意味なような気がしているが、やっぱり違っていて、人として、男として尊敬していると言われているのかもしれない。]
…………。
[わからないから、ずらしていた視線を信也の目に向ける。]
(140) 2014/06/30(Mon) 16時半頃
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[血色の悪い顔の中で、眼球の白がやけに目につく。 そこに、透明な雫が盛り上がって来て、フランクは焦った。]
……おい、泣くな。 過去にしたいって意味か?
[いや……それもなんかおかしいが……。]
(141) 2014/06/30(Mon) 16時半頃
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[すきになってごめんと。
そう聞こえた。 消え入りそうな声で言って、涙を零す信也を見て。]
……………………。
(142) 2014/06/30(Mon) 16時半頃
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[難しい顔で、ソファから立ち上がった。
そこにいろと一言言い置いて、冷蔵庫に近寄る。 中を見聞すると、Shinと書かれたゼリーが見つかった。]
……。
[無言で掴み出して、匙を添えて戻る。]
食え。
[匙とゼリーを一緒に、信也の手に握らせた。**]
(143) 2014/06/30(Mon) 16時半頃
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[信也へと、管理人の男がどう返事をしたかは後に追記するとして──。 (>>176)信也が出て行くと、フランクはウッドデッキに出て、サァサァと落ちて来る針のような雨を見上げて、烟草を一本吸った。**]
(230) 2014/07/01(Tue) 00時頃
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フランクは、烟草をくゆらせ、庭の隅っこで何かしてる薫を眺めている。
2014/07/01(Tue) 00時半頃
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─早朝 談話室>>171>>172>>173─
[甘い物にはストレスを和らげる効果があるらしい。]
……そうか。
[ゲイ──だと告白する信也に、フランクはそれ以上何も言わず、頷いてその手がゼリーを掬い、口に運ぶのを見た。 どんな辛い告白でも、甘い物でも食べながらの『ついで』なら、少しは気分が落ち着くだろうと考えた。]
────……五年は長いな。
[気付かなくて悪かった。 そうと口にはしないが、長年の気付いてやれなかった鈍感を後悔するように、フランクは数秒目を閉じた。]
(358) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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[>>174平気の意味も、理由も、追求はしない。 どんな理由であろうとも、五年間隠し通した秘密を打ち明けてくれる勇気を評価し、尊重したかった。]
……おう。 俺は今までも、これからも、変わらない。 いつも通りここに居て、いつも通り、お前らが暴れて建物ぶっ壊さねーように見てるから。
[お前も、無理して変わる必要はないんだ。]
……────、 来月でも再来月でも 好きなだけ居て好きな時に出てけばいい。
何だよ家族って。俺は管理人で、住んでる奴らを管理するのが仕事だ。そういう──色恋とかは、住人同士の問題だろうが。
[家族だと、思っている。『彼女』と出会い、いつからか、そんな風に思うようになっていた。 今は、まるで、そんな情はないと突き放すように言って、窓から──窓の外のハーブから──目を逸らした。]
(359) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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──おい
[>>176頭をさげて、今にも談話室を出て行こうとする信也に、今度は窓の外に視線を移したフランクの声が掛かる。]
ゲイって、俺はあんまり詳しくないけど──ただ、女より男が好きってだけだろ。別に──それがどうしたって話だよ。
男が女を好きになって振られるのと、男が男を好きになって振られるのと、何の違いがある。 まぁ……両思いになるのは、女を好きになるよりはちっと、ハードル高いかもしれねーけどな……。
例えば、俺は……。俺はもう、ずっと昔に、大事な奴を見つけちまって、そいつ以上に誰かを好きになる事は、このアパートがある内は絶対にない。ないし、俺がここを管理してる内は、ここは絶対なくならない。 だから、もし、お前が女でも、俺がお前に応えてやれる事は何もなかったし、そいつに会う前にお前に会ってたら、俺はお前に惚れてたかもしれねーよ。
つまり…………、んー……、……あーもう
[口数の少ない、今でも決して社交的とは言い難いこの男は、引き止めた信也を立たせたまま言葉を探し探しそこまで言って、面倒になったのか、頭をがしがし掻いて大きな溜息をついた。]
(360) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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いいか、ここはアイドルの寄宿舎じゃねえぞ。 恋愛禁止なんて謳っちゃいねえ。
出てくも残るもお前の自由だ。 何が大事か自分で考えて、お前の一番納得出来る形で決着つけろ。
以上!
(361) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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[一方的に言い切ると、やっと満足したように背凭れへ寄り掛かり、腕組みをして出て行く信也を見送った。
信也の姿が見えなくなると、もう一度頭をがしがしやって、両膝を手のひらでバンと叩くと、烟草を吸いにウッドデッキへ出て行った。**]
(362) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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/* よし満足した。
來夏の共鳴も拾いたいけど、共鳴にしか書いてない事をどこまでどうやって拾おうかしら……。
(-156) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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[庭に出ると、針のような雨に打たれて項垂れるハーブを、『彼女』が心配そうに撫でていた。 『彼女』は、外に出て来たフランクに気付くと、しばらくじっとフランクの顔を見詰めてから、白い、細い指で口許を隠してくすくすと笑った。]
……くそ……、楽しそうだな……。 俺が告白されたのがそんなに珍しいか?
おう……初めてだよ……告白されんのなんて。 初めてが男か……って、だから笑うなよ……。
[しつこいほどに、楽しげに笑い続けていた『彼女』は、不意に笑うのをやめ、優しげな瞳をゆっくりと細め、嬉しそうに微笑んだ。 『彼女』の唇が動く。
「ずっと、わたしの事を好きでいてくれて──、忘れないでいてくれて、ありがとう──」と、聞こえた気がした。]
(*0) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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……おう。 地球が滅亡したって俺はお前を──、
『 』を忘れない。
だからもうちょっと……、待ってろ……。 俺がそっちに行くまで、退屈だろうが──、……そこで俺をずっと見ててくれよ……。**
(*1) 2014/07/01(Tue) 19時頃
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─早朝 ウッドデッキ─
[>>199雨音を聞きながらハーブの繁みを見詰め、烟草を吸って心を落ち着ける為に庭に出たら、わざわざ玄関から回って来たらしい薫が、隅でこそこそ何かをやっていた。]
(もしかしてさっきの聞いてたか……?)
[談話室を通らずに、わざわざ玄関から回るのは珍しく、聞かれたかもしれないと思うも、聞いたのが薫であれば誰かに言いふらしたりもすまいと、心配するのをやめる。]
(それにしても何やってんだあいつは……)
[でかい男がちっちゃくなっている姿は、遠くから見ると正直面白い。 フランクには絶対に懐かないふてぶてしい面構えの三毛猫を手懐けようとしているとは、この段階では思いもしない。]
(370) 2014/07/01(Tue) 21時頃
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[入居してから、今まで、一番変わっていないのが薫であるように思う。 入ってすぐ、見た目に反して作る菓子は甘く、見た目も繊細で可愛らしいというギャップに驚いたが、それでも、他の住人の誰より落ち着きがあって、裏表のない誠実な男だという印象に変化はない。
三十路も曲がり角を過ぎて、女っ気一つない事が気掛かりの種だったが、もうそろそろ、薫にも気になる女の一人や二人いるだろうと、勝手な想像を巡らせて煙を吐き出した。]
(371) 2014/07/01(Tue) 21時頃
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(進もある意味変わらんな……)
[二階のベランダから降って来た大声に顔を上げて、上からでは見えにくいウッドデッキの屋根の下で小さく溜息をつく。 引き篭もりのゲームオタク。 入居当時から、あいつはああだった。]
(でもやっぱ、あいつも変わったな──)
[ココ数日、外に出る頻度が増えた。──とか、そういう事じゃなくて。初めて会った時の進は、ちょっと、他の人間とは次元が違う所──主に二次元的な意味で──から、遠巻きにこっちを見ているような、謎の距離感を感じていたから。]
(372) 2014/07/01(Tue) 21時頃
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[それが昨日は、肉を焼いたり、酒の輪に加わったり──率先して、人と関わろうとしていたように見えたし、何より、花火を振り回して、翔平と顔突き合わせて笑い合ってる様子は、歳相応の、いや──歳以上に子供っぽくて、今まで抑えていたエネルギーが一気に表に湧きだして来たようにも見えた。]
(進はこれからどんどん良くなるな。世の中の全部が全部気に入らなくて、誰も信じられないって顔してた徹が、今じゃ誰よりまるくなったみたいに。 そのうち進も、誰かの心を救ってやったりすんのかね──)
(373) 2014/07/01(Tue) 21時頃
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[>>237座りっぱなしの薫の元に、來夏が近づいて行って、何か話し掛けている。 気になって見ていたら、どこに潜んでいたのか、斑の毛並みの猫が繁みから姿を現した。 離れた所からでも、ふてぶてしい顔つきと太めの身体つきで、近くの墓に住み着いて時々わかば荘の住人に餌をたかっている猫だという事がわかる。
猫が來夏の膝から肩へ、当たり前のように飛び乗るのを見て、フランクはぽかんと目を丸くし、うっかり烟草の灰をウッドデッキに落としてしまった。]
(なんだよ猫……。どういう基準だよ……。昔は女にしか懐かない現金な奴だと思ってたが……。ついにお前も男に宗旨変えしたか?)
(374) 2014/07/01(Tue) 21時頃
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(來夏は猫に好かれるのか。根が素直──なのかな。いや、それじゃ薫が好かれない理由がねえか。んー……?)
[來夏が猫を抱いていた時間は短いが、ぐにゃぐにゃした身体の動物を当たり前に抱き上げて移動して行く姿は、なんだか頼もしい。
三年前、それまでの人生を、良い事も悪い事も含めて全部吐き出して、一緒に溜まっていた感情まで吐き出すようにわんわん泣いていた來夏とは別人のようだ。]
(そういやあん時、俺は話をただ聞いて、頷いてただけだが──、まぁ、話を聞くだけで人は楽になるって言うしな。俺が直接何かして変わった──ってのは、今いる中じゃ、來夏だけかもしんねぇな……。)
[だからか、フランクは、來夏が慕ってくれるからという以上に、來夏の事を気に掛けている。]
(まだまだ、あいつも堅さが取りきれてねーが、それも少しずつ、変わって来てる。)
(375) 2014/07/01(Tue) 21時頃
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[フランクの視線が、ハーブの繁みを向く。]
(俺もお前も幸せもんだな? 親兄弟より近くで、こんなキラキラした奴らの成長を見る事が出来るんだからさ──)
(376) 2014/07/01(Tue) 21時頃
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フランクは、旨そうに烟草を吸い終えると、ひっそりと管理人室に引っ込んだ。
2014/07/01(Tue) 21時半頃
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/* あとは攻太と徳仁と瑛士と夏一と麻央(と翔平と遊)
平太は済
(-164) 2014/07/01(Tue) 21時半頃
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/* 攻太は過去描写ないからいいか……。
徳仁と瑛士はぜひ拾いたい。 明日だ。明日やる。
(-165) 2014/07/01(Tue) 21時半頃
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/* 夏一はどう……色々反応してくれてはいるんだけど割と誰よりも大人びてるし部屋に入り込むのもな。 行けば反応してくれるとは思うんだが。
(-166) 2014/07/01(Tue) 21時半頃
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