[或る日、『メルヘン』の絵本を閉じる紐がぷつりと切れる。
絵本の中に住まう“人狼”が目覚めた故か
それとも切れたから目覚めたのかは知れない。
目覚めた“人狼”大きな口をあんぐり開けて最初にたべたのは
物語のはじめとおわりを担う“団長”だった。
はじめとおわりを担う者が居なければ物語ははじまらない。
“クラウン”が“団長”に代わり幕を上げて
再び『メルヘン』の歯車がまわりはじめた。
欠けたものは欠けたまま。
その欠けが歯車を軋ませ物語を歪にする。
夢あたえるはずの『メルヘン』が悪夢へとかわった。
空を羽搏く極彩色と空中ブランコの“青い鳥”が血に濡れる。
守り手たる“調教師”と大蛇は“人狼”の牙に倒れた。
“団長”の復讐を胸に懐いた“踊る人形”も食べられて。
“子狼”守る“人狼”と“クラウン”は共に倒れ。
守り役失いし“子狼”は“踊る人形”の心知る“ナイフ投げ”の前に倒れる。]
(-113) helmut 2014/10/20(Mon) 22時半頃