28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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……いきなりはダメ。 パパにも撫でられた事ないの。
[(>>0:411)結った髪の毛先を弄りながら。
植頭があまりにも頭を下げるから。 不機嫌そうに眉を寄せたまま、 頭を掻く様子を見つめて言い訳ひとつ。
(>>0:@40)間近に聞こえる青年の声。 やはり姿は見えないまま。目を瞬かせて。 誰か居るのかと身を乗り出せば、 上下する睫毛が国谷の透明な頬に触れそうに。
それでも気付かないのだから きっと声は気のせい。そう思うことに。]
………紅くない。紅くない。
[小声で呟いて、驚きに緩んだ顔を引き締める。]
(11) 2013/09/03(Tue) 01時半頃
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[初見のふるまってくれるお茶を貰うのはその後。
(>>0:413)『Hamlet』に纏わる話。 膝に抱える本の表紙へ視線を落として。 少し悩んだ後に、薄く唇を開く。]
オフィーリアが好きなの。 とても好きな絵があって。
それがこの物語の一場面だと聞いて、 ずっと読みたくなかったんだけど。 そろそろ…良いかしらって。
[4つ目の湯呑みにはもちろん不思議を感じる。 けれど視線は本の表紙と初見の顔を行ったり来たり。]
(12) 2013/09/03(Tue) 01時半頃
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…欲しい物。 Marxxlixxのチョコレートか、思い出。
[(>>15)お言葉に甘えて。 ちょっと高くて自分では買わないお菓子。 もしくは形の無い何か。選択は彼に任せて。]
誰 ?
[(>>@3)髪が揺れた。空気に圧をかけられて。
誰にともなく問いかける声は、 植頭の言葉(>>16)に重なったかしら。]
(23) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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成仏しないで欲しかったの。 完成されたあの美しい死体が。
概要は調べた。物語の。 でも、実際に読んでくだらなかったら、 それってあんまりでしょう? 憧れたのに。
[(>>19)初見の語る絵は瑠美の好きな絵。 共感で繋がれた瞬間は表情が緩む。少しだけ。
眼鏡のレンズ越しに初見の瞼の動きを見た目は、 間近で浮遊する湯呑みに驚き見開かれ。 そのまま、死体のように暫く硬直する。
植頭の説明(>>26)に、黙ったまま頷いて見せる。 確かにそこには、誰も居ない。誰も。何も。
なのに空気のゆらめきに何かの存在を感じる。 声はそこから聞こえている。]
(28) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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時間がかかると思うけど。 話したくなったら、話すわ。
何にせよ半年後には。また来る。
[(>>32)お茶は美味しくいただきました。 ごちそうさま、と湯呑みを置いて。
次の本整理の約束を確かめる。 そろそろお暇しようかと立ち上がって、 大切に本を抱いて。初見と植頭へ会釈して。]
( 国谷…信 綱 世界王者 人間 … 幽霊、 幽霊………? )
[痛々しい声が遠ざかっていく。 それを聴きながら。 瑠美もまた、この部屋を辞する。**]
(34) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[202号室を後にした瑠美は外へと出かける。
湿っぽい陰気な風が吹く庭を一瞥。 通り過ぎる間に結っていた髪をほどいた。 長い毛先がふわりと揺れる。
窓越しに見えた談話室で仔猫が空宙を掻いていた。 見えない誰かの存在を、少し思い出し。 背筋を冷たい汗が一筋流れる。
木の影から注がれる、 肥った三毛猫の眼差しには気付かない。 まだ。*]
(54) 2013/09/03(Tue) 10時頃
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―公園―
…………犬? 猫? 人?
[コンビニ帰りに立ち寄った公園にて。 『拾ってください』の眠り男を見つけた。
(>>0:@38)浮浪者と呼ぶにはまだ小奇麗で、 見たところ同年代と見える少年の寝顔。]
というか。ねえ。 生きてるの?
[寝息が聞こえる程は近くに居ない。
保健所にでも連絡すれば良いのかしら。 屈んで、顔を覗き込む。 その動きで肩から滑り落ちた毛先が、 少年の頬を撫でた。**]
(55) 2013/09/03(Tue) 10時頃
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[(>>@13)髪を掴まれ目を丸くした。 視線が重なる。同じ速度で瞬きを何度か。
起き上がる少年に驚き身体を退くと、 その弾みで後ろへ倒れてしまい。 呑気に欠伸をしながら朝の挨拶をする少年の前で 捻って少し痛む足首を擦って、呻く。]
……お は、よう じゃないわよ。
虫でもないわよ、……馬鹿 !
[少年を睨み付けて。 この上なく不機嫌そうに顔を固くする。]
(58) 2013/09/03(Tue) 18時半頃
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大丈夫なわけないでしょ。 痛い。 死にそうに痛い。
[(>>@14)飄々とした解説には眉間の皺を深く。
随分マイペースな猫みたいな少年に呆れて、 落としたコンビニの袋を掴んで立ち上がる。 捻った左足首を庇いながら。
口では死にそうに痛いなんて言ったけれど、 実際のところはそうでもない。 少しだけ、歩くと痛みが響く程度。]
……じゃあね。捨て猫くん。
[不服そうな顔は崩さないまま、挨拶を残して。 公園を出て、わかば荘へと戻ろうと。 ほんの僅かにぎこちない足取りで。]
(74) 2013/09/03(Tue) 21時頃
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なにそれ。ナンパ?
[後ろから声。振り返る事は無い。 けれど緩慢で鈍い足運びも変わらない。
(>>@16)着いて来るなら、振り切らず。
きっとそのままの調子で会話を続けるうちに わかば荘に辿り着いてしまうのだった。 さほど時間もかからずに。]
というか。アンタ、何?本当に猫? 世捨て人?家出少年?
[ようやく向き直り、捨て猫くんを見るのは、 玄関を通り談話室へ至る頃。]
(78) 2013/09/03(Tue) 21時半頃
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[その時、談話室には誰が居たかしら。
何にせよ得体の知れない猫を連れて そのまま自室へ帰るのはさすがに躊躇って。 談話室のソファに座り込む。]
可愛くない猫。
…………家、ないの?
[(>>@20)などと声をかけながら。
足首を冷やしたいからと、 バッグから取り出すハンドタオルを投げ付け。 ミニキッチンで濡らしてほしいと。お願い。]
(91) 2013/09/03(Tue) 22時頃
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一応ね。今の家は此処。 ……ありがと。
[(>>@26)冷えたタオルと氷を受け取って。 それをパンプスを落とした足首に押し当てる。 謝礼の言葉は少し躊躇った後に。
病沢がどうしてか泣く様子を見つめて。 少し、驚いて目をぱたぱたと瞬く。 まるで子供のような、小さな動物のような。 少し変わった少年に目を奪われる数秒間。
なんと声をかけて良いのかわからないまま。 棒付き飴をやりとりする二人を眺めた。]
瑠美。……飼うなんて言ってないけど。
[その後。思い出したように。 捨て猫くんへの返答を。]
(146) 2013/09/04(Wed) 00時半頃
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君の目、壊れたの? それとも心?
[頬を濡らしたまま飴の観察に勤しむ病沢。 何かとても繊細なものを見ているようで。 とても心細い気分になる。不思議な存在感。
(>>154)表情歪めず声もなく しとしと涙落とす病沢に。 猫のように首を捻る病沢に。 視線を重ねて、問いかける。]
ちょっと待って。待って。 君は、頭が壊れてるの?
[(>>@37)病沢へ注いでいた視線が揺れて。 捨て猫くんの予想外の発言に露骨に慌てた。
差し出された飴は受け取って食べるのだけど。]
(159) 2013/09/04(Wed) 01時頃
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………なによ、
[(>>161)呼ばれて気付いた越智の存在。
ちらりと彼女を見て首を傾いだけれど、 待てども視線で促せど言葉は続かない。
飴を舐めながら、少し困惑の色が浮かぶ目で。 越智を見つめて声をかけた。]
(163) 2013/09/04(Wed) 01時頃
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不具合…… 治るの? それ。 油でもさしてあげましょうか? それとも綻びを縫う?
[(>>165)アンドロイドかぬいぐるみか。 何にせよ人の形をしたそうでないもの。 言葉を聞くと余計に病沢の存在感が不安定に。 椅子の上で小さくまとまる姿に目を細くして。]
越智さんも、壊れちゃってる?
なんだっていうの。みんなして。
[(>>164)いつもの控えめな印象以上に、 よそよそしい越智の様子にも浅く息零す。]
(167) 2013/09/04(Wed) 01時半頃
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知らないわよ。
君の通常運転が、 私に事故をもたらしてる。
[舐めて少し小さくなった飴で少年を指す。 ビシっと強い口調で入れた突っ込みは、 彼の緩そうな頭にちゃんと響くのかしら。]
捨て猫なんだけど。この子。 宝生さんなら引き取ってくれるかな。
……どう思う?
[先日、明智の拾った猫を引き取った宝生だ。 もしかすると。なんて。思いながら。 越智に訊ねてみたり。]
(172) 2013/09/04(Wed) 01時半頃
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変な子。すごく変。
[病沢の言葉は瑠美の頭の中で繋がらない。 それが彼の中でどう繋がっているのか解らない。
咳き込むし。水を飲むと言うし。 そこだけが繋がったから。 冷やしていた足をパンプスに突っ込んで、 コップ一杯の水を汲みに冷蔵庫へと。
冷たい水は、病沢の前に置く。ことり、と。]
可愛くない。
[その動作の途中で。 猫ぶって鳴く少年にぴしゃりと。一言。]
(177) 2013/09/04(Wed) 01時半頃
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そうね。 難しいよね。確かに。本当に。
[越智の素直な感想はとても正しい。 肯くしかないので頷いて。
再び元の位置に座って。捨て猫くんを見る。 見て、見つめて、考えて、また見つめて。 最後に吐いたのは深い溜息、ひとつ。]
……名前。何て呼べばいいの?
[捨て猫なら名付けていいのかしら。 そんなわけない。彼は、人間だ。
今更ながら訊いてみる。]
(178) 2013/09/04(Wed) 02時頃
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病気でもなんでも、 ありがとうは言いなさいよ。
はい。ありがとう。
[(>>180)勝手にやったくせに謝礼を求める。 リピート・アフター・ミー。
人間不全…とは一体なんなのか。 解らなかったが、解ったところで、 きっと同じように接していたのだと思う。]
(185) 2013/09/04(Wed) 02時頃
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エル。絵流ね。 タマもミケもエルも、そう変わらないし。
………私の部屋、二階の203号室。 シャワー浴びてきなさいよ。 撫で心地悪そうだよ。エル。
[ミルクを飲んだ捨て猫は風呂に入れるもの。 そんな適当な発想で。 諦めたように、ポケットから鍵を取り出して。 絵流に放って渡す。
白薔薇の造花がある他は何の飾り気もない 棺のような部屋の鍵。**]
(186) 2013/09/04(Wed) 02時頃
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[(>>192)続かない言葉はそれ以上は促さず。
病沢の逡巡が露わに見える表情変化に注視して。 コップが越智に譲渡されるまでをすべて見る。 またしても零れる涙に濡れた頬も。
静かな世界を纏って泣く病沢が、 談話室から出て行ってしまうまで。 瑠美はどうしてかその姿から目が離せなかった。
不規則的な水面の揺らぎに魅入るような。 そんな心地。
ほんの少しの感傷的な心の内も、 頑なな表情に阻まれて誰にも知れる事はない。 瑠美の中だけのもの。]
(224) 2013/09/04(Wed) 19時頃
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そ ……… ?
[(>>210)愛らしい目に見つめられる。 越智の無垢な瞳を見つめ返す目を細くして。
またしても途切れた言葉。続きを求める。 首を少しだけ傾がせて見せて。
その目も、呑気な絵流の言動にほぐれる。 棒付き飴を放る絵流の手と、 それを受け取る越智の手と。 視線で追いかけて。]
(225) 2013/09/04(Wed) 19時頃
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……撫でないわよ。 ……撫でないけど。
良いから、キレイキレイしてきて。
[前向きなのか、頭のネジが緩いのか、何なのか。 どこか本物の猫のように思える絵流。自由そうで。
困ったね? と。言いたげに。 越智の目を見たまま肩を竦ませる。]
(226) 2013/09/04(Wed) 19時頃
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―――…飼えない。
きっとすぐに出て行くわよ。 私の前からは。居なくなる。
[(>>222)眼差しを向けるのは廊下へ続く扉。 絵流が出て行ってしまったのを確認してから。
“最近の女子大生の性の乱れ”の ご期待には添えなくて申し訳ないけれど。 あっさりと、笑って否定する。
越智が硬直している事にも気付かず。**]
(227) 2013/09/04(Wed) 19時頃
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―談話室―
[(>>276)越智の言葉には首を傾がせる。 顔に浮かべた笑みはスゥ…と色を無くして。 いつもの不機嫌な顔つきにも戻らず。
何も表さない素のままの無表情で。 越智の口元を見つめた。]
飼えない……飼わない。飼いたくない。 要らない。 欲しくない。
[そこで、続く言葉を聞く。
いなくならない このこは そばに 、
下唇、内側の柔らかい箇所を噛む。]
私は…――。
(280) 2013/09/05(Thu) 00時頃
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――……、
[何かを言いかけて。口を閉ざす。
入り口の傍の宝生と植頭の存在に気付いて。 視線はそちらへ。
その頃には、顔にはいつもの強気な表情。]
(284) 2013/09/05(Thu) 00時頃
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[入り口へと向けていた視線が揺れる。
(>>286)その眼差しを越智へは向けられない。 無邪気な言葉はナイフみたい。 綺麗で鋭くて、 胸の奥底のどこかに突き刺さる。
少し俯くと髪が落ちて瑠美の顔を隠した。]
………馬鹿馬鹿しい。 どうだっていいの。居ても居なくても。
[強い言葉を覆う細やかな刺が、 震える声音に払われて抜け落ちてしまう。
丸腰な瑠美は、一歩後退る。]
(300) 2013/09/05(Thu) 00時半頃
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………思い出、
[(>>291)不意に差し出された優しい色。 スイートピーの薄い花弁の彩。 瞬いて、植頭の顔を見上げて。 花を受け取った。両手の指先で。そっと。]
―――………
[可愛らしい花そのものよりも、 優しい言葉が、やはり、刺さる。]
(303) 2013/09/05(Thu) 00時半頃
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………ありがとう。
[越智から一歩分距離をひらいた位置で 受け取った花を見つめながら小さく謝礼を。]
(304) 2013/09/05(Thu) 00時半頃
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