64 さよならのひとつまえ
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−前日夕食−その後−
俺のカレーが勝ったら利一の丼も食べる、ってことでどう? 完璧じゃない?
[そんな謎理論を展開しつつの食堂への往路。
カレーに負けるとぼやく姿に構わず、購入した食券はカツカレーの大盛りだ。 常と変わらぬ調子で皿と向き合い、常と変わらぬ調子で匙を口に運ぶ。
早々に皿を空にして、意気揚々と部屋に戻れば片付けを手伝いにかかる。 進行度はどれくらいだっただろうか、消灯を告げる放送は、結局部屋の中で聞く羽目になるだろう。
星を見に行きたかったのだが、二度目のハリセンはゴメンである。 おとなしくその日は、床につくことを選んだ。。 打った尻がやはり痛くて、何度か眠る姿勢を変えた。
――― 就寝時刻が早かったから、放送を聞き逃すことは、なかった。*]
(14) 2014/03/25(Tue) 01時頃
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−翌朝−自室−
…………ぁ、ぃてててて、……
[放送内容に寝返りを一つ打てば、痛みに小さく声を漏らす。 ほんの打ち身だと思うが、普段から傷に慣れていない体にはあまりよろしくない。
体を起こせば、寝間着代わりのジャージのまま一つ、伸び。 欠伸を噛み殺しながら、寮母室へと向かうべく立ち上がる。]
……じゃ、俺、ちょっと行ってくるから
[そんな風に同室者に声をかけて、室内を振り返ったのは、一度だけ。
後ろ手に戸を閉めて、朝の少し冷えた空気の中、真っ直ぐに廊下を歩く。 震えそうになる指先を、そっと、握り込んだ。]
(16) 2014/03/25(Tue) 01時半頃
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[ぺたり、ぺたりと足音を立てて、朝の空気の中を行く。 寮母室で手続きを終え、荷に貼る伝票を二枚、受け取った。
明日のバスに乗るようにという促しに、小さく頷いた。 切符の手配も、済んでいる。
ぺたり、ぺたりと足音は響く。]
………、
[堪え切れなくなって、手近な男子便所に駆け込むと、個室に入り戸を閉める。]
……、いつも通り、……いつも通りに、
[汚れることにも構わずに、床にしゃがみ込むと、自分に言い聞かせるように小さく呟く。 何度も、何度も、呟く。*]
(23) 2014/03/25(Tue) 01時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/25(Tue) 01時半頃
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[何度呟いたか、何度繰り返したか。
最後は笑顔で、最後だから。先輩だって、あの時、笑っていた。 あの時と同じだ、何も変わっちゃいないんだ。 笑顔でいないと、駄目だ。]
……い、 いた、いたた、 いたい、
[硬い床から尻を引き剥がし、立ち上がる。 そのまま便所の手洗いで顔を洗えば、ジャージの袖で水滴を拭った。
便所を出て、常よりもいくらか早足に歩く。 自室の戸を開け、机に置き去りの湿布を手に取れば、同室者に―――彼がまだ寝ているなら軽く足蹴にして起こして、突きつける。]
……出るまでなら、手伝ってくれるんでしょ
[そう言って、唇の端をにぃっと吊り上げる。
上手く笑えていますように。 泣いても笑っても、最後の一日なのだから。**]
(46) 2014/03/25(Tue) 02時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/25(Tue) 02時半頃
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[湿布の貼り替えを着替えと共に済ませ、部屋を出たのは一人だったか、それとも利一と共にだったか。 中央棟へは向かわず、片手を振れば階段を昇っていく。
屋上に繋がる戸を開けば、短い前髪を風が揺らした。 空は高く、青い。]
………夜は、晴れるかな、
[手摺に凭れ、階下を見下ろす。 綻び始めた桜並木、その下では今日行われる花見の準備が進められているのだろう。
目を、閉じる。]
………
[風に乗って届く歌声。 何の曲までかは、聞き取れない。]
(99) 2014/03/25(Tue) 12時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/25(Tue) 13時半頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/25(Tue) 13時半頃
ティソは、手摺から身を乗り出せば、集う友人達の姿は見えるだろうか。**
2014/03/25(Tue) 13時半頃
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− 少し前−自室>>144 −
やだよ、俺の尻は高いんだから、出し惜しまないと 傷物でも価値は変わらないよ、腐っても鯛だよ
[など、自分のベッドに腰掛けながら、利一の覚醒を待つ。 先に上着だけ着替えるか、と淡い水色のライン入りシャツに袖を通した。 上から羽織るパーカーは、昨日と同じもの。
利一の準備が済むまでは、下はジャージのままだ。 もぞりと下着の中に手を突っ込み、貼りついていた湿布の縁に手をかける。]
……あぃ、 ……いづづづづ
[なるべく追い打ちにならぬよう、と、慎重に剥がしたのが仇となったか。 一気に剥がした方がよかったかとは今更な事。
まだかまだかと利一を待ち、さっさと終わらせろ!と、尻を向ける。 後の事は、大体丞の時と同じだった、とだけ記しておく。 利一が何を思って作業を終えたかまでは、知らないけれど。*]
(164) 2014/03/25(Tue) 22時頃
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− 屋上 −
[どれくらい、風に吹かれていたか。 届いていた歌は途切れ、日はだんだんと高くなる。 青い空の向こう、今は陽に隠されている星を見る。
せめて、太陽が高いうちは、笑っていよう。 せめて、星が見えるまでは、いつも通りでいよう。
最後の日、最後の一日。 訪れると知っていたから、大丈夫だ。 覚悟を決める時間は、どれだけでもあったから。
戸を潜り、階下へと降りる。 中庭に向かうべく道を曲がる途中、外への道を選ぶ背中>>145がちらと見えた。
足を止めて、数度、瞬いて。
首を傾げればまた、爪先は中庭へと向かう。 ブルーシートの敷かれた会場、其処には誰がいたか。]
(169) 2014/03/25(Tue) 22時頃
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− 中庭 −
さくらもち!は!ありますか!
[小走りに駆けよりながら、挨拶と要求を告げる。*]
(170) 2014/03/25(Tue) 22時頃
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んぇ、団子系、利一なの? 俺、那由多にお願いしたんだけ、ど、
[そもそも誰のどこがどれだけなにを立て替えたのか。 お金お金と呟き、左の尻ポケットから財布を取り出す。
広げられたブルーシートに上がり込み、財布を片手に待つこと暫し。]
……んー、と、 やっぱ桜餅代は那由多に、でいいのかな、
……おつかいありがとね、で、いいの?ありがとね?
[現れたる桜餅の姿を認めれば、引き換えに紙幣を一枚差し出すか。>>194 那由多が受け取ったのならば、足りる?と首を傾ぐ。]
(204) 2014/03/25(Tue) 23時頃
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[桜餅を無事に手に入れられれば、ブルーシートの適当な場所に腰掛ける。 尻を庇うように、慎重に、腰を下ろした。]
い、……っつつつ、
[小声に痛みを逃がしながら腰を下ろし、服の上からではどうしようもない皺と格闘しながら、ようやく落ち着けばまた、空を見上げるか。 薄い桃色の花びら。 満開には遠い、蕾達。
そしてそれを透かす空、その向こう。]
…………なんだよ、咲いとけよ 散る時は勝手に散る癖に……
[俺がもう、出て行くんだぞ。
不平を零したところで、花が咲くはずも無い。
利一の周りの賑やかな面々を遠目に見ながら、桜餅の桃色の肌に歯を立てる。]
(205) 2014/03/25(Tue) 23時頃
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キャラメル
[それは、即答だった。>>207 即答というか、それ以外の選択肢はなかった。
早くくれ、と言わんばかりに片手を伸ばす。]
……あっ待って、一粒とか言わないよね、 一箱だよね?大丈夫だよね?
[多すぎるならそれくらい貰えるよね、と、確認するように問う。 一箱が手中に収まれば、中の一粒を那由多に軽く放るだろう。]
(209) 2014/03/25(Tue) 23時頃
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人の過払い分に、餞別を含めないでよ ……ありがと
[受け取った一箱と、桜餅と。 手に取れば呆れたように笑い、一つをぽん、と放り投げる。
零れることなく受け止められたことを確認すれば、座る場所を適当に定めて。]
……王子様は、やっぱ一人のとこに留まれないみたいだ また、置いてくことになってごめんね?
[子供に向けたその本の内容を思い出し、辿りながらそっと笑う。 自分の笑い方を思い出すように、探るように。
ちゃんと笑えているだろうか、裸眼では那由多の瞳の中の表情まで見えなかった。
吹き上がる黒い泡に、視線はつられて。>>210]
(220) 2014/03/25(Tue) 23時半頃
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[わぁわぁと、騒ぐ同級達から少し離れ、桜餅を口に運ぶ。 普段の自分ならどうしていたか、どうしているのが自然なのか。 考えているうちに、立ち上がる機会を逃していた。
また一口、葉に歯を突き立て、噛み締める。 甘さと塩気と桜の香りが混ざり合う。]
…………、
[美味しい、けど、食べたくない。 早く食べたら、なくなってしまう。
終わって、しまう。
次いでの一口は、少しだけ、小さかった。]
(229) 2014/03/25(Tue) 23時半頃
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じゃぁ、出世払いで、…… あっ、俺のほうが出世してたら、その時の俺に見合ったもの頂戴
[俺車欲しい、と、突拍子もない事を述べながら、桜の下で甘味に舌鼓。 次第にペースは緩むけれど、なんとか笑顔は絶やさないでいられた。]
……まぁ、……旅立てるだけでもよかったのかもしれないな、 ほら、研究職だから、……なんかやたら狭き門だった、うん
……合格できただけよしだ、満足してくれよ、『きみ』!
[そう言って、これ以上齧ることのできなくなったくらいに小さくなった、桜餅の一欠片を口に放り込む。 両の手を伸ばしながら、背から地面にダイブする。 圧された尻が相変わらず痛いが、何とか声を出さずに済んだ。]
………、
[僅かピントの合わない距離で、わいわいとやっている幾つかの人影。 明日が来れば、彼らの中に自分はいない。 現実味が、ない。]
(252) 2014/03/26(Wed) 00時頃
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[きっと彼らの中の自分という存在は、自分が今までそうしてきたように、思い出の中に閉じ込められてしまうのだろう。 そうして、他の楽しいこと、悲しいこと、全て一緒に、平等に埋もれていくのだろう。
何かきっかけが無い限りは掘り起こされない、そんなありふれた思い出の一つへと、変わっていくのだろう。]
………
[もし一歩、踏み出す勇気があったのならば。 誰かの中に、自分を特別なものとして、留めておくことができたのだろうか。
1光年に比べたらほんのちっぽけな距離を、気にせずにいられたのだろうか。]
(254) 2014/03/26(Wed) 00時頃
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[今更そんな仮定をしたところで、自分の意識が改革できるわけがない。
ブルーシートから背中を引き剥がし、立ち上がる。 キャラメルの箱を片手に握ったまま、そっと、距離を取る。
足を止めたのは、桜の本数にして三本ほど離れた位置。 太い幹に持たれれば、枝越しに空を仰ぐ。]
、 ………
[唇の動きでその名を紡げば、自嘲するように笑う。 仕方がないことなんだと、また、鍵をかける。]
(255) 2014/03/26(Wed) 00時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 00時頃
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[やがて、何事もなかったかのように、その桜の木から離れる。 再びブルーシートに戻り、隅のあたりに寝転がる。 頭が痛かったので、パーカーを脱いで枕の変わりにする。
暖かな日差し、適度な賑やかさ。 油断したら、このまま眠ってしまいそうだ。 眠ってしまったら、あっという間に時間が過ぎてしまいそうだけれど。]
……ぁふ、
[堪えに堪えたその感情、零れた一粒が、どうか欠伸に紛れてくれますように。
瞼を擦り、キャラメルの箱から一つを取る。 口の中に放り込めば、舌先で甘さを溶かしていった。]
(285) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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……俺は星の王子様だから、 俺は夜に輝くから……
[つつく掌を振り払うように、ひらりひらりと手を振って。 そも、今日の花見で何をするのか、あんまり把握していない。 桜餅のことしか気にしていなかったし、そして今日が最終日とも思っていなかった。
キャラメルを溶かしながら、色素の薄い瞳は締坂の方を向く。 半開きの口が、何かを言おうとして、とどまって。]
……樹央、あれ歌ってよ きらきら星、……英語歌詞の方
[子守唄になりそうな予感が、しないでもないのだけれど。]
(293) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 01時頃
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[日光が遮られたのは、樹央に曲を強請っている最中だったか。>>294 その髪から滴る水滴が頬を、額を、容赦なく濡らしていく。
視線は、真上を向く。 空は、映らない。]
……おひさまが、きもちいので
[昼寝日和だよねぇ、と、薄く笑む。]
夜、晴れたらいいな こいぬ座を、……ゴメイザをね、見たいんだ、
[そのうちに、届く歌声に、目を細めた。>>297
覗き込む瞳から逃れるように、腕で瞼を覆い隠す。]
(301) 2014/03/26(Wed) 01時頃
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…… Up,above the world,so high,
[歌を口ずさむというよりは、詩を諳んじるような。
そんな細い声を、細く開いた唇は紡ぐ。 メロディは、樹央に任せればいい。]
Like a diamond in the sky……
[きっとどれだけ遠くに離れても、空を見上げれば必ずそこに星はある。 色褪せない輝きとして、いつだって、そこにある。
それ以上の続きは、声にはならない。 ただ、胸のつかえを逃がすように、細い息を吐いた。]
(306) 2014/03/26(Wed) 01時半頃
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[歌が終わる、余韻が満ちる。 目を閉じたまま腕を離し、掌を何度か緩慢な動作で打ち鳴らす。 ぱちぱちと、別の拍手が聞こえた。>>317]
何だよ、……じゃぁ何か俺の目ぇ覚ますような事してよ 面白いこと言えよ、お前それで俺のルームメイトか
ほら、樹央歌ってくれてんだからさー 利一もなんかやれよー、コーラぶちまける以外のことー
[緩く握った拳を、声のする方向に緩く振り上げる。
目は開かない。 目は、開かない。]
……辛ぇよ、ばか すっげぇ辛ぇよ、主に右の尻が
[両の手で顔を覆う。 目元を隠しながら、それでも口元で、にっと笑った。]
(322) 2014/03/26(Wed) 01時半頃
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英語とか暫く触れてないから大丈夫大丈夫 良かった、その調子で二番いってみよー
[流石に二番の歌詞は知らないけれど、と冗談めかして付け加える。 生憎と、自分に混ざる血は英語圏の血ではない。 かといって、混ざる血の生産地の言葉が喋れるわけでもない。 そういうものである。
うー、と、低い声で唸りながら体を起こし、伸びをひとつ。 少し俯き気味に顔を傾ければそっと瞼を開き、具合を確かめるように瞬きを繰り返す。
大丈夫、溢れない、大丈夫。
盛大な勘違いの声に、全身を使うようなため息を一つ。>>324]
(327) 2014/03/26(Wed) 01時半頃
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歌えとは言ってないよ、俺……
[歌い始める利一の姿に、いつも通りに耳を塞ごうと両耳へと手を伸ばす。 けれど指先が耳たぶに触れる直前、一瞬の逡巡の後、掌は自らの前髪をわしゃりと掻き混ぜた。
下手な歌声に、お世辞を使えばなんとか「聞ける」と言えるようなありすの声も混ざる。 利一が顔に落とした雫を手で拭い、肩を揺らして。]
あーもー ありす、俺にもタオルー
……顔、 顔濡れて、……
[早く、と、手を伸ばした姿勢のまま、俯く。
顔が濡れたのは、利一が濡れたままこちらを見たからだ。 結構ずぶ濡れだったんだ、あいつ。 だからまだ、顔が濡れているんだ。
伸ばす指先が震えるのを、誤魔化すように、堪えて。]
(341) 2014/03/26(Wed) 02時頃
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………
[あぁ、ほんとうに。 ほんとうにこれが最後なんだ、と。
思ってしまった。
歪む視界に広がるのは、空の青とは程遠い、ブルーシートの青色。 滴る雫を利一のせいにして、袖で拭う。 枕にしていたパーカーで拭う。
顔を、覆う。
パーカーのポケットから滑り落ちたスマートフォンが、太腿で跳ねる。]
……まばたきしては、 みんなをみてる、……
[パーカーで覆ったせいか、妙に震えた歌声は43(0..100)x1程の音程を伴って。]
(351) 2014/03/26(Wed) 02時頃
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ティソは、まだ暫くは、顔を上げられそうにない。**
2014/03/26(Wed) 02時半頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 02時半頃
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[硬い生地のパーカーで、何度か顔を拭う。 俯いたままパーカーを羽織り、フードを目深に被る。]
……平気だよ、夜更かしは得意だから 利一こそ、夜更かししすぎて明日寝過ごさないようにね?
[それは、一年と半年前の自分を思い出してか。 見送ってほしい、見送らないでいて欲しい。 この2つの思いを、かつての日に先輩も抱いていたのだろうか。 歩み去る背中に、口元だけで、笑んでみせた。
落ちたスマートフォンを拾い上げると同時、メールの着信がひとつ。 暗い画面に映り込む自分の顔がなかなかに酷くて、かき消すようにスイッチを入れる。 フードの下、一瞬だけ瞳は丸く開かれて。 それからそっと笑めば、返信文を作成する。]
……顔、洗ってくる、
[その場にいる者にはそう述べて、桜餅のパックを片手に立ち上がる。 パーカーのポケットの中、キャラメルの箱が音を立てた。*]
(389) 2014/03/26(Wed) 09時頃
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[送信と同時、濡れた前髪の上からフードを被る。 流水で冷えたとはいえ、すぐに消せる痕跡でもないだろう。
ブルーシートの方をちらりと見て、少しだけ外を見てくると告げればそのまま外へと出ていくだろう。 春の陽気はフード越しにも十分に感じられる。
寧ろ、色の濃いフードでは熱を吸って熱いくらいだ。 周りに人がいないことを確認し、フードを脱げば掌でぱたぱたと顔に空気扇ぐ。]
……裏手の、団地、
[そのうちに通いなれたスーパーの傍まで来れば、ぐるりと道を迂回する。 団地の存在は知っていた、けれど、わざわざ公園まで足を運ぶことなんてなかった。 三年間、長いようで短くて。 色々と慣れた気になっていたのに、知らない事がまだまだあって。
公園に辿り着けば、フードを被りなおして二者の姿を探す。]
(402) 2014/03/26(Wed) 13時頃
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− 団地公園>>404 −
どこの不審者かと思った
[マスクにメガネ、軍手と揃ったその姿に述べたのは、率直な感想。 とはいえ、決してパーカーをずらさない自分も似たようなものか。
怜二の姿もそこにあれば、掌を軽く振った。]
歩けなかったら流石に病院行くって、
……寮出てくの、遅らせられたかなぁ、
[なんてね、と冗談めかして軽く笑う。 小ぶりな桜餅が四つ入ったパック―― 一つは道中で食べたので中身は三つ――を軽く持ち上げれば、どこかで座って食べようと促した。**]
(405) 2014/03/26(Wed) 13時頃
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−日没後−屋上−
[花見が散会となったのは何時頃だったか。 片付けの最中、ブルーシートをそのまま借りられるかと頼み、屋上へ運び込む。 召集のメールは簡素なもの。 シリウスが顔を覗かせる夕闇の中、花見の残りの団子を口に咥えながら、ビニールシートを広げていく。
夜とはいえ、街灯の邪魔はある。 月だって、昇っている。 だから、とても美しい星空とは、到底呼べないだろう。
日が落ちる。闇が広がる。
冬の大三角の頂点の一つ、小さく輝く星を見つけて、作業の手を止めた。]
………よし、
[パーカーの袖を捲り、気合を入れるべく、一声。 ブルーシートの準備が終わるまで、あと少し。*]
(412) 2014/03/26(Wed) 18時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 18時半頃
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− 昼−団地公園 −
[群れる猫たちにナンバリングがされているとは知らず、適当な一匹の前にしゃがみ込み、そろりと手を伸ばす。 柔らかな毛並みと耳と暖かさを堪能するように、わしゃわしゃとその頭部を撫で、撫で、撫でて。 逃げない猫を抱き上げていれば、丞のくしゃみが耳に届く。]
……アレルギー?
[ガスマスクではないとはいえ、十分に不審者な姿への問い掛けは一つ。]
赤ずきんちゃんっていうか、青ずきんちゃんっていうか、……紺ずきん? まぁ、何色ずきんだろうと狼さんは食べないでしょ、大丈夫大丈夫、
[そんな風に、指摘されても自らフードをを外そうとはしなかっただろう。>>413 フード越しでないと、涙腺が緩みそうで。
抱いていた猫に、ちいさくじゃあねと告げ、立ち上がれば示されたベンチの方に向かった。]
(422) 2014/03/26(Wed) 19時頃
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[ベンチに向かう途中、裾を引かれれば、一度足を止める。 その指摘に、何よりも気にしたのはフードの丈だった。]
……そうかな、秋に買ったんだけど、
[身長伸びたかな、と、誤魔化すように笑う。 ポケットの中、増えた重みにはまだ気付かない。
ベンチに腰かけ、パックを開けば一つを口に咥え、丞に、怜二に勧めるように差し出した。 断られても無理矢理に押し付けただろう、俺の桜餅が食えんのか。
今日何個目かになる桜餅をぺろりと平らげれば、ベンチの背に凭れてまた、空を見上げる。 ずり落ちかけたフードを正して、口を半開きにして。]
……あったかいねぇ
[口から出るのはそんな、曖昧な言葉。 日差しが妙に眩しくて、目を細める。]
(423) 2014/03/26(Wed) 19時頃
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