78 わかば荘の薔薇色の日常
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[>>23耳に届いた笑み混じりの呆れ声に、 唇の端を笑みの形に引いて振り返る。
視線を下へ向ければ、 病気の辛さより眠さが勝ったような穏やかな顔で 南方は目を閉じていた。
寝ている間は眉間に皺は寄らないんだ──
と、皺の痕だけの残る眉頭を見つめていたが 期限を切るよう言われて、浮かべた薄い笑みを深くした。]
(26) hana 2014/07/03(Thu) 03時半頃
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[早朝──降り続いた雨が上がり、空に虹が掛かる頃。
寝息を立てる南方の横に 力尽きて眠る遊の寝顔が並んでいる。
白い光を漏らす四角いデスクトップに 新たに立ち上げられた真っ白いキャンバスには、 キーボードで綴られる全く別の物語が生まれ始めていた。**]
(27) hana 2014/07/03(Thu) 03時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
mmsk 2014/07/03(Thu) 03時半頃
攻芸は、大根、買ってない…(꒪⌓꒪)大根、育てる?
ぽか 2014/07/03(Thu) 09時頃
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―わかば荘管理室、夜―
[ふらっと出て行ったっきりだった地に足の付かぬ男が帰ってきたのは、もう夜も遅い時間だった。 なにやらちいさなビニールにいっぱいの小袋を詰めたのを片手に、軽い足音を立てて管理室の前までくる]
ふらんくー、フランクのおっさーん。 シャベル貸して。シャベル。
[ごんごん。夜中だというのに遠慮なく扉を叩いて。 返事も待たずに、扉も開かない前から自分勝手に話し出す。 理由を問われれば上機嫌に答えたが。さて、許可は下りたかどうか。
もっとも、下りなくても勝手にやりだすのは目に見えている。
10万越え財布を買ってきて管理人に押し付けたり、コロッケを買ってきてけが人に押し付けたりするのと同様に 自分がいいと思ったことへの躊躇いのなさは、歩き始めたばかりのガキよりもひどいのだ]
(28) kaisanbutu 2014/07/03(Thu) 11時頃
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―屋上―
[外へ出たときに一緒に買ってきた木材を、屋上の片隅で木枠にくみ上げていく。 座ってできる仕事だが、案外これが重労働で。
黙々と作業をしていたが、夜とはいえ屋上は昼間の太陽光で蒸して、厚着の体に容赦なく痛手を与えてくる。 やがて誰もいないからいいかと思って、上着を脱いで。 とはいえ遠くにやるのは不安だったので、腰に巻いておいた。 切れといわれた髪が、ぺとりと汗で額に張り付いて不愉快だ。 だが、髪をかきあげる間さえ惜しく、軽く頭を振って作業を再開する。
やがて木枠ができれば、屋上の隅に配置して。 中に防水シートを設置して、ホッチキスで止める。 それからいよいよ出番だといわんばかりに、両手で借りてきたシャベルを持ち、ふんと気合を入れた。
湿った土の匂いがした]
(29) kaisanbutu 2014/07/03(Thu) 11時頃
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―そして朝、202号室前にて―
[ごんごん、と扉を叩く]
テツー。てーつー。
[完成してからそのまま来たせいで、指はまだ土だらけだ。 おまけに徹夜のせいで頭は痛いし、再び服を着たせいで火照った体がぐらんぐらんする。
それでもまだ興奮が冷めてないし、どころかこれから本番なのだがら声は明るいままで。 やがて目当ての人物が出てくれば、ぱっと顔を明るくしてから屋上の方向を指差して]
やる!
[いつも、過分なものを与えるときと同様の声で、宣言した]
(30) kaisanbutu 2014/07/03(Thu) 11時頃
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ジャニスは、ミナカタイッテラッシャーイw
hana 2014/07/03(Thu) 13時半頃
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─ 朝……昼? 201号室 ─
[梅雨明けの空に架かる虹を見損ねたと知って 遊は後に残念がることになるのだろうか。
夏布団の柔らかさとに頬を埋めるように力尽きていた遊は、 頬を撫でる風に雨の匂いがしなくなったのに気付いて、 昼近く、少なくとも、朝と呼ばれるには遅い時間になって 閉じていた瞼をふっと開いた。
幾度か瞬きを繰り返した後、 背中に感じるぬくさと気配に振り返って隣を見る。
南方は、昨日眠った時と同じ、 眉間に変な力の入っていないリラックスした顔で まだそこに眠っていた。]
(31) hana 2014/07/03(Thu) 14時半頃
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[遊は眠そうな顔でさらに数度の瞬きをしてから、 南方の顔を覗き込むように背中を丸めて、 南方の方へ屈みこむ。
南方の寝息は規則正しい。 ひとまず風邪は小康状態にあるのかもしれない。
顎と首の間の隙間に手を差し込んで体温を確かめる。
まだ少し高いような気もするが、 昨日ほどは熱くない体温に、遊の呼吸も僅かに緩む。]
(32) hana 2014/07/03(Thu) 14時半頃
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[起こさないように起き上がり、 開きっぱなしだったパソコンを 念のためテキストを保存してからそっと閉じる。
南方を踏まないようにその身体を跨ぐと 無垢材の床の上で、うんと大きく伸びをした。
それから、洗面所で顔を洗い、 濡らした手櫛で髪を整え 歯を磨いてから台所で湯を沸かす。
白い琺瑯ポットが湯気を立てて、しゅんしゅんと鳴いた。]
(33) hana 2014/07/03(Thu) 14時半頃
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[体が痛い。 かたい床で眠った時の痛みと、寝汗と、足の痺れを感じた。 布団のにおいだ――ここが自宅ではない事を思い出す。 目蓋をあける。]
――……
[間中の顔が見えた途端、夢の内容を全部忘れた。 ポケットに入りっぱなしになっていた携帯を引っ張りだし、時間を確認する。 やっぱりいつもの時間に目がさめていた。休みなのに。 不満気にため息をついて、携帯を置く。]
(34) gekonra 2014/07/03(Thu) 15時頃
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ぁふ……
[欠伸をした。 暫し眠った間中の顔を暇つぶしのように眺めていたが、寝ている人間を見ていたら、起きているのがあほらしくなってきた。 しびれた足をさらに圧迫しないように、横になったまま、体を少し動かして、もう一度目を閉じる。]
(35) gekonra 2014/07/03(Thu) 15時頃
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[それから寝付く間に、息をするのが随分楽になっている事に気付く。今は風邪による頭痛も偏頭痛も鳴りを潜めている。 寝起き特有のだるさはあるが、火照りも寒気もなかった。
――なんだ。 今日休む必要は、多分なかった。
高熱の後、風邪はすっかり治っていた。 南方は、休日らしく、二度寝を楽しむことに決める。**]
(36) gekonra 2014/07/03(Thu) 15時頃
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― 朝……昼? 201号室 ―
[南方を二度寝から目覚めさせたのは、台所から聞こえる物音だった。>>33 因みに間中が南方の首へ触れた時の体温は、仮に計ったとすれば、36度7分でありやや高めなものの既に風邪の範疇にはないと判断出来たかもしれないが、計らなくとも風邪は治る。良かったね。]
(37) gekonra 2014/07/03(Thu) 15時半頃
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[間中の姿を見ないまま、寝返りをうつ。 横になったまま顔を顰めて伸びをして、壁に手をぶつけた。 物音から、その辺にいるだろう事が分かったので、挨拶をした。]
うんんん…… おはようございます……
……あぁ……
[まだ寝転んだまま、ぽつりという]
寝過ぎたな……
(38) gekonra 2014/07/03(Thu) 15時半頃
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[コンロの火を止めた瞬間、 ゴツ、という鈍い音があがって 顔だけ振り返っている遊の背中に声が掛かる。>>38]
うん
[言いながら顔をまたキッチンに戻し コロンとしたアカシアのマグカップに ティーバッグと湯を入れて、それを手に部屋に戻る。
デスクの端にそれを置いて クッションに胡座をかいて再び南方を覗き込む。]
おはよう
[──仕事は?
いつもの調子で声を降らせ、 起こさなかった癖に寝坊を笑う遊の目は、 細く南方の表情を観察していた。]
(39) hana 2014/07/03(Thu) 15時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
mmsk 2014/07/03(Thu) 15時半頃
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[間中の裸足が顔の横を通過していくのを南方は視線で追う。 もう少し視線をずらすと、間中の持つカップの底も見えた。 机にカップが乗る硬質な音を聞いた。 間中が、傍に座るまで、見える範囲の部屋の主の仕草を追った。 ――今は顔を覗きこまれている。]
ないない。 ていうか一回起きたし……
[間中に寝坊を笑われている。 口元に手の甲を置いて欠伸をする。]
おきるかぁ……。
[手を床について、半身起こすようにしてから、あぐらをかいた。 暑かったので昨夜羽織った間中のカーディガンを脱いで畳み、布団の上へ置く。]
(40) gekonra 2014/07/03(Thu) 15時半頃
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──、
なんだ。
[一回起きた、と聞いて 残念がる気配が声にも表情にも滲む。]
もう、起きて平気?
[起き上がった南方に一つしかないクッションを譲り デスクに置いたカップを取って南方の前に差し出した。]
(41) hana 2014/07/03(Thu) 16時頃
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[玄関が見えてきて、この後のことをそわそわ考えて大事なことを思い出した。 まだ布団を、回収していない。ヘルプを頼むならこの人しか、という人物は丁度今隣にいるのでお願いしてみようか]
あんな、ちょお色々あって俺の布団今信也さんのとこに出張中で…取りに、行かなあかんねんけど 付いてってもらえへんかな? いてくれるだけでええから
[どうして布団が天露の部屋にあるか、本人の承諾もあるのに部屋に入るのを躊躇うのか訊かれたら素直に答えよう。 看病の一件はもう時効だろうし。
無人の天露の部屋に入るのは初めてじゃないし、今はさほど恐怖もないのだけれど。 …単純に、少しでも一緒にいたいという甘えなので断られても問題ない]*
(42) vetica 2014/07/03(Thu) 16時頃
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へっ
[なにか残念がっているので鼻で笑った。>>41]
間中サン寝てたし二度寝しちゃった。 ……あぁ違う。遊ね。
[クッションを譲られたので素直に受け取り、座る。 カップが差し出されて「あぁすいません」と礼を言い、ひとくち飲んだ。 味というより、水分とカフェインにありがたみを感じる。]
(43) gekonra 2014/07/03(Thu) 16時頃
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[カップから視線をあげると>>41 咳で枯れた喉の名残と、菌と戦い続けた鼻の名残だけ残した声で返事をする。]
おー……平気。 すげー調子よくなった。
[おかげ様でと言おうかと思ったが、気遣いも受けたが同時に無理もした自覚があり、やめる。]
熱出た時はなんか早いんだよね。
(44) gekonra 2014/07/03(Thu) 16時頃
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[床にぺたんと直に胡座をかき 窓を背負って鼻で笑う南方を見ている。
間中サンと呼ばれても反応はしなかったが 言い直されると口角は笑むように横に伸びた。
南方が飲んでいるのは ミネラルウォーターを沸かした湯に 実家から届いたそれなりにのティーバッグを浮かべた紅茶で 味も香りも悪くないのだが、どうも鈍そうだ。
調子がいいと語る鼻声に こく、と頷いて]
──南方
[改めて名前を呼ぶ遊の目が、凝っと南方の手に注がれた。]
(45) hana 2014/07/03(Thu) 16時頃
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[いい紅茶である事に気付かないままカップの中身をまたふたくち、減らした。 唇をはなして、コロンとした形のカップをしげしげ眺めていると、声がかかって、視線を持ち上げる。]
なに。
[普段通り、機嫌が悪いか怒っていると誤解されやすいぶっきらぼうな返事のしかたをした。]
(46) gekonra 2014/07/03(Thu) 16時頃
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[機嫌の悪さも怒っている感じも 一切感じていない風に表情を変えず]
人を 描くのが好きなの?
南方は。
[昨日見た、裸像を思い出しながら問う。]
(47) hana 2014/07/03(Thu) 16時半頃
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[質問の途中にも関わらず 突然すっと席を立ち、冷蔵庫の方へ。
扉が開く音がして 閉まる音がして 戻って来た遊の手には ブラックタピオカレモンティーの容器が握られている。
南方の前に座り直すと 目の前でストローの殻を破って、太いそれを突き刺した。]
(48) hana 2014/07/03(Thu) 16時半頃
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[間中の質問を受けて、返答までに、思考が挟まる。 挫折と、モチーフの好みに関する比較、すき、という言葉そのものに関してが、頭のなかで散らかって、即答出来なかった。>>47]
――、 そうだね。
[肯定する。]
(49) gekonra 2014/07/03(Thu) 16時半頃
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[席に戻った間中は、黒いブツブツが入った飲料に太いストローを刺している。 もう絵の話はいいよ、と、言おうかを迷って、視線がまたカップに落ちた。]
(50) gekonra 2014/07/03(Thu) 16時半頃
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[ストローに口をつけて レモンティーとつぶつぶを一緒に吸い上げ もぎゅもぎゅと咀嚼してから喉に送る。
虹の名残などどこにもない空を 振り返って一度見上げ、南方に視線を戻した。]
部屋の、あの絵 あれ以外には描かないの。
[語尾を上げない、呟きに近い問が続く。]
(51) hana 2014/07/03(Thu) 16時半頃
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[間中の質問の意図はなんだろう。>>51 嫌な話題を引き伸ばされているような居心地悪さを感じながら、なるべく「そのままの事実」だけを意識して、返事をする。 そうでなければ、感じが悪いか、惨めっぽい話の切り方をしてしまいそうだった。]
――いや。 そもそもアレはモデルが居なきゃ始まらねえし。 絶対一枚づつ描くってわけでもねえから。
[モデルがいなければ、名画の模写、静物、風景、描くことができれば、なんでもいい。 間中は見ずに帰ったが、あの絵の他のキャンバスには、様々な訓練の痕跡がある。]
(52) gekonra 2014/07/03(Thu) 17時頃
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[また一口、タピオカレモンティーを飲み]
じゃあ
[ストローから口を離して 真正面から、南方の目を見た。]
描こう。
[──新しいの。]
(53) hana 2014/07/03(Thu) 17時頃
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見たい。
[描いてるところが。 完成したものが。
理由とか 背景とか
そういったことを一切省いて 感じた欲求だけをストレートに口にする。]
(54) hana 2014/07/03(Thu) 17時頃
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……?
[意図が、理解できない。 束の間、南方は目を大きくひらいたが――難しい顔をする。
意図が汲み取れないまま、楽しく描くことが出来なくなってきている事実が、いつ手を放すのだろうという嘲りにも似た怯えが、どうしようもない焦燥が、まるで希望を持っていない事が、全部その一言で明るみにされたようにかんじた。――また自分の敷地を踏み荒らされているように感じた。 大きな石をどけた下から、暗がりを好んで住んでいた大量の虫が這って出るように、いっぺんに感情がざらざらと背中を過ぎる。
半笑いになった。 さっき鼻で笑ったみたいに、小さく笑い声をたてた。]
(55) gekonra 2014/07/03(Thu) 17時半頃
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