28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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ごめんなさい…
…
…この…が…いことをしました
…りなさい…
…
びかけた…を…えた…に…
…びを…った…に…
…をした…に…
ありがとう…とか…
すごいな…とか…
そんな…い…は…いけれど…れられるものではなくて…
この…みの…に…ってきたのだと…
その…だけで…
この…ただいま…が…ではないのだと…いたい…
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― 204号室 ―
[ジャニスを視界に映した時、 温かい手が背に添えられたように感じた。
まるで、空気の振動を伴わない声>>2:258が、 肌に直接伝わったかのように。
次に感じたのは暖かい風。
そよりと金糸を揺らしていたそれが、 突然大風となり、今度は金糸を乱した。
声>>2:@43のした方へと翠を止めたなら、 頭に何かが触れる感触。
103号室で感じたあの、空気の壁が押し付けられるような……。]
(36) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 00時半頃
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本当に、来てくれた……のね。 お姫様なんて……。
[すっと目を細め、 ふふ、と頬を染めて、はにかんだような顔に。
未だ見ることは叶わないが、
その声の方向へと翠を向けたなら、 偶然にも此方へと手を伸ばしている、 隣に立つ国谷の瞳へと視線が止まる>>2:248。]
(37) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 00時半頃
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[その瞬間と時を同じくして、 震えを起こした女の声>>2:#8>>2:#9聴こえた。
国谷の方を向いていたからか。
或いは、向いていたとしても、 その姿>>2:#7を見ることは出来なかったかもしれないけれど……。
声で分かる。 穏やかで、温かい声音で。
「ごめんね」という言葉によって、 蘇った記憶の中の母と重なり、
また一つ、ぽろりと珠が頬を転がり落ちた。]
(38) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 00時半頃
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[縋るように手を伸ばし、 頭に触れるそれへと、自らの意志で触れようとする。
掌の中にその空気抵抗のようなものを感じたなら、
触れた先から、色を吸い上げて染まっていく布のように、 透明で、空気と一体化していた彼が、 人の姿へと染められていくのを見た。
「見る」ことも思い出した。 それが良いことなのか、悪いことなのかは分からない。
けれどそれよりも今は、]
赤、好きなんですか……?
[その人に逢えた、それが嬉しい。]
(39) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 00時半頃
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うん、……聴こえます。 字で見るのとはやっぱり、違う……。
字が書かれてくのを見るのもドキドキしたけど、 声は聴いてから、ドキドキします、ね……。
[ふわり、また風が吹いた>>@2。 人の形を為す前の温かな空気が、顔前に近付き前髪を揺らす。
国谷の身体が人に染まりきったなら、 生身の人間と違わないその顔が近くにあって、少しだけ動揺と照れが。
「君の翠が」と頬を拭われて、 泣いて火照っていた目元が更に熱を帯びて。]
国谷さんって、キザですね。 ふふ、 ……でも、嬉しい。
(43) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 02時頃
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[見えてしまったなら、 普通の人間との見分けがつかない程で…… 彼が霊体であることが嘘のよう。
きゅぅと締め付けられる胸は、嬉しさだけではなくて。
約束通り現われてくれたヒーロー、 その頬に、手を伸ばし添えようとした。]
国谷さん、 あたしも……あなたを助けたいんです。
[何が出来るかは分からないけれど、 このままではいけない、そう思って。
遠いところへ行ってしまうのかもしれない。 二度と逢えないかもしれない。
けれど、あの声の女性のようになって欲しくなかったから。]
(45) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 02時頃
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……嫌いじゃない、けど、 反応に困り、ます。
[キザな言葉が嫌いな訳ではない。
どの言葉も、物語の中のような言葉で、 自分に向いているという実感が薄い……といったところだろう。
このような言葉を向けられるのも初めてであるから、尚更。
ストレートな言葉は、文字も声でも変わらずで、 けれど今は、声音や表情からも得られるものがあって。
笑みを浮かべるのをじぃと見て>>@3、素直に白状した。]
(48) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 03時頃
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あたしは、国谷さんといた間ずっと、 ……今だって、ドキドキしてます。
[張り合うようにそう言ってから、 自分の紡いだ言葉に自爆して、翠を伏せて俯いた。
視覚と触覚とが揃ってしまえば、 その重なる手>>@3はそこにあるような錯覚を産んで。
彼の肉体は、今ここには存在しないというのに。 温かな風のせいで、体温まで感じ取れるような気さえしてくる。]
なにも、ない……ですか。
[少し寂しそうな表情になってしまった。]
(49) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 03時半頃
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[傍にいるだけで、 この翠を向けるだけで本当に良いのだろうか。]
ずっと、永遠に――?
[先を促すように繰り返して、 彼の望み通り翠は国谷だけを映す。
触れようと伸びてくる手を、拒みはしない。
甘い物語に浸かってしまいたい。 本当に永遠に、このままでいられるのなら。
物語の中のお姫様みたいに、王子様と末永く――。]
(50) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 03時半頃
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[けれど、国谷が霊体で彷徨っているのには 理由があるのだろう。
解決しなければ、今の国谷があの声の女のように 歪んでしまうかもしれない、という懸念が拭えずにいた。
初見が言っていた。 あの声も、国谷も元は同じだと。]
国谷さん、……いつからここにいるのか、
あたしまだ、応えてもらってない、……です。
(51) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 03時半頃
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― 204号室 ―
……っ、 意地悪、です……。
[反応を愉しんでいる様子の国谷>>@4に負けて、 むぅと不服そうに。
「好き」という言葉をこのようにさらりと言ってしまう人は、 どういう環境で育ったのか。
霊体の彼しか知らないから、
ここに来る以前には何をしていたのか…… どのような毎日を送っていたのか、何を好むのか、 どんどん知りたくなってしまう。]
ずっと、傍に……
(64) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 20時半頃
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[頬を撫でる指>>@4も、 笑みを浮かべる顔も生身のものではなくて。]
あたしだけおばあちゃんになっても、 ……本当に傍にいてくれますか?
急にいなくなったりしないって、約束できますか?
[魅惑的な国谷の言葉に、頷きそうになる。]
(65) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 21時頃
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[けれど、国谷の口から質問の応えをもらうと>>@5 すっと眉間に皺を寄せた。
突然の事故では、きっと自分の身に何が起こったかわからないまま……
そこまで考えて、はたと瞬く。
自身の置かれた状況を知りながら、 まだそれを自覚して浅いのだろうか。
質問の答えを口にした後、頬に触れる手が震えるのを感じて、 先程まで余裕の笑みを浮かべていた国谷とは違って、動揺が見えた。]
事故の後、ずっと……。 それじゃあ、国谷さんはその………、亡くなってしまって、ここに?
[確認した訳ではないなら、或いは……、と。 二年という年月はとても長いものだけれど。]
(66) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 21時頃
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たまに……なら、 我慢してあげます。
[拗ねたような顔から、 諦めの、……というよりは思わず綻んでしまった表情へと。
撫でられれば髪は動くし、 笑みを浮かべられれば心が動く>>@6。
弱い笑みであれば、尚更。
望みを叶えてくれるという言葉とは裏腹に、 良くない何かを感じさせて、揺さぶられた。]
(77) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 22時半頃
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[まだ生きていると聞けば>>@7、]
生きてるなら、……それなら……!!!
[霊体が戻ったなら再び、生きることができるのではないかと。
国谷の説明も半ばに、珍しく大きな声をあげ、 希望の光を見たかのように翠をきらきらとさせて。
二年も寝ていたのだから、無傷で健康だった身体まで戻すのは、 それは時間も気力も必要だけれど……。
それでも国谷には生きて欲しくて。
「生きて」
言おうとした言葉は、 国谷の一段大きい声>>@8によって叩き落とされた。]
(78) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 22時半頃
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…………、 …………っ
[何も、言えなかった。
新居の部屋で、 立花は国谷と「走る」ことについて会話していたようだったから。 走ることが好きと言っていた、あの立花と、だ。]
―――ッ、…………ぅぐ
[じわ、と国谷の顔が滲んで見える。 何も言えないくせに涙と嗚咽がこみ上げてくるのを、 ぐ、と堪えた。
不細工な音が、喉から漏れる。 きっと、顔もひどく歪んでいるだろう。]
(79) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 22時半頃
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[こんな顔、見られたくはないけれど…… 国谷から顔を背けることもできなくて。
一歩足を踏み出し、 「怖い」と言う彼>>@8に、抱き着くように腕を回した。]
……す、ごく………ッ 無、責に なこと……… いっ ても、 いい……ッぐ、ぅ… でっ……すか?
[もしも目を覚まして本当に走れなかったなら、 生き甲斐とでも言うべきものを失った彼の末路は……?
そして自分は無責任で、まだ世間を知らない子どもだ。 きっと他にも問題は山ほどある。
それでも―――。]
(81) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 22時半頃
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わ……っがまま、 きい……て、 ほしッ……
[回した腕に力が入る。
見えていても、触れている場所が分かっても、 やはり、生身の人間の身体とは違う。]
い………きて。 ちゃん、と………触れた……っ ぎゅって ……国谷さ、を……ぎゅって、 したい、から……
[こんな空気みたいな感触なんかじゃなくて、 骨があって、肉があって皮膚があって… 体温も、鼓動も匂いもある国谷に触れたくて、そして触れて欲しいから。
だから―――。]
(82) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 22時半頃
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い、……きて、 迎えにっ、 来てください……。 王子様、なんでしょう……?
[「生きて」という願いを「迎えにきて」へと。 生き甲斐にしてはくれないだろうか、自分のことを。
思いながら 「自分はこんなにも利己的な人間だったのだな」と、 更に顔が歪んだ。
一世一代の、我儘。
吐き出してしまってから、 これで呆れられてしまうだろうな、と自嘲した。]
(83) ぶんちゃん 2013/09/08(Sun) 23時頃
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[国谷の呟き>>@10に、ゆるりと首を振ろうとして止めた。
違う、と。
これは何も言えない自分がもどかしくて、 悔しいと思うほど、言葉を間違えたでも、 悲しいと思うほど、言葉が届かなかったでもなかった。
何も……、 何も出てこなかったことがもどかしくて、焦れて。
それなのに――]
そ、です……だから、 きいてっ……くださ……
(98) ぶんちゃん 2013/09/09(Mon) 00時頃
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[最低だ。
貴方の為に泣いているのだから、話を聞いてくれと。 我儘を聞けと。
頷きを返してくれるのに甘えて>>@10、 酷い選択肢を選んでくれと頼んでいる。
分かっていても、……弁えていても、 その願いへの応え>>@11>>@12を聞いたなら、]
待ってます……、ずっと。
[嬉しいと感じてしまう。]
(99) ぶんちゃん 2013/09/09(Mon) 00時頃
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でも、すごく……辛い、かもしれませ…… 恨みたくなるかも……しれない、し……
そ、それでもいい……から、 必ず会いに、……来て。
[後悔はしたくないから、今は前向きな別れを。
どんな理由でもいい、生きて欲しい。 その上で叶うなら、……一緒に。]
きっと、……あっという間ね。
[見上げた先、自信満々でキザな台詞を言う王子様>>@13へと、
微笑んで翠を向けた。]
(100) ぶんちゃん 2013/09/09(Mon) 00時頃
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