『…俺には解らんことも、徹さんには解るんかな』
[そう呟いた後、徳仁から重いため息が聞こえてそのまま部屋から出てしまった。
永利と徳仁は仲がいい。気が合うだけじゃなくて年齢も釣り合っていて羨ましいなあと思う。
俺と徳仁では喧嘩にすらならない。たいてい徳仁が我慢するか、俺が勝手にいじけて窘められて反省して終わり、という感じで。
でも永利なら、また違うだろうなと思った。俺個人が永利のようになりたいと憧れてるのもあって。
決して恋愛的な意味で嫉妬したつもりはなかったけど、そうとられてしまったかもしれない。
この問題に永利はまったく関係なく、自分の幼さに悶々としているだけなのに、不用意な言葉を投げつけてしまった。
下手に気を遣わせて、恋人が親友と気まずくなるのは嫌なのに]
…大事にするって、難しいな……
[想いが通じた翌日、心配じゃなくて大事にしていると言って貰えて嬉しかった。実際今も、大事にしてもらえてると思う。でも俺は、その気持ちにちゃんと応えられているのかな]
…帰ったら、ちゃんと謝ろ
[はー、とため息をついて、再びレジに向かう。こういう時、煙草がないと辛い]*
(531) vetica 2014/07/06(Sun) 20時半頃