― 幾分先の話。八月の終わり>>372 ―
[談話室に居合わせたのは、ちょうど、藤堂だった。
彼との会話は、他人を挟んだほうが絵の話に流れていきやすいと感じている。他の人間が居ない状態ならば、互いに話題にはしない。
――もしかすると。絵描きとわかられているのでは、なんて思うことが、ないではなかった。あまりにも、線引が明確すぎて。]
いやー……そうなんですよね。忙しかったっす。
今日で、いくらか落ち着くはずなんですけど。
はは。忙しいのあけたら、人と喋りたくなって。
[曖昧に笑った。大丈夫かどうかを尋ねられ、一つ頷き]
明日はしこたま寝ます。
[予備校の話題は、少し内側に入ると絵に直結する。だから、一切合切、内容は仕舞っておくべきだ。
藤堂は、酒の瓶を片手に、どう、と誘った。――どうだろう。今日は疲れているから。
何と返事を返そうか、一瞬迷った。それで、反応は遅れた。
藤堂はグラスに酒を注いでいた。――いいか。打ち上げのようなものだ。
南方は、酒を注いでもらったグラスを受け取った。]
(376) gekonra 2014/07/06(Sun) 00時頃