263 ― 地球からの手紙 ―
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ケトゥートゥに1人が投票した。
ヒイラギに6人が投票した。
ヒイラギは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
イワノフが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、カミジャー、ケトゥートゥ、ミタシュ、ショコラ、アーサーの5名。
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― 猫の事務所 ―
[二枚の便箋を印刷して、角にぺたりぺたりと手形を押す。 サイン代わりのようなものだ。 それが乾いたら器用に畳んで封筒に入れ、また封をして切手を貼った。
出来上がると満足そうに頷いて。]
ふむ。 こうして手紙も書けるようになったのだから、今度は旅行にでも挑戦してみるか?
……さすがに妻には反対されるかな。
[などと零すも、どこか諦めるには惜しい気がした。
再びそれを咥えて窓から飛び降りる。 この四角いものが街を離れて森というところに辿り着く。不思議なものだ、とビルディングの隙間から見える空を見上げた。]**
(0) 2019/04/22(Mon) 12時半頃
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はわ……わわ、姉さま!?
[姉さまが泣いている。 泣いて泣いて目玉が溶けてしまいそうなくらい。 ボクもとってもとっても悲しくなってしまいます。
姉さまがどうして泣いているのか。 ボクには理由を話してくれません。 でもなんとなく理由は分かります。 ボクがマスターの返事を渡してから泣き出したから。 きっとそういう事なんだと思います。]
(1) 2019/04/22(Mon) 16時頃
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[姉さまは時々いじわるだけど。 でもとっても優しくて可愛くて。 時々子供っぽいけど大人っぽいときもあって。 悔しいなって思うときもあるけど。 大事な姉さまです。 その姉さまが泣いている姿を見るのは辛いです。 ボクが大人なら慰められるのかな。 でもボクはまだ子供だから難しくて。]
姉さま泣かないで……。 う……うぅ、ぐす……。
[隣に寄り添って一緒に泣く事しか出来ません。 姉さまはボクの横で号泣しています。 ハンカチを差し出してみたけどあんまり役に立ちません。 今は好きなだけ泣かせてあげようと思います。]
(2) 2019/04/22(Mon) 16時頃
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[だからお手紙を書くのはお休みです。 入院している彼の事は心配だけど。 入院中にお手紙が病院に届くかわからないし。 怪我が治る事にお手紙を書こうと思います。 他の人たちにも色々と教えてもらったお礼をしないと。
でも今は大事な家族と一緒に泣きます。 星空の下で寄り添って泣くのです。 ボクも姉さまも大人に一歩近づいたのだけど。 このときのボクはそんな事に気づいていませんでした**]
(3) 2019/04/22(Mon) 16時頃
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─ とある国の人物の話 ─
[昔々、テクノロジーがあまりに進歩した国がありました それはどこかの国に似ているようでどこの国でもない大国 空はビルディングの灰色に切り取られ 緑色が一つもない街は 沢山の技術で溢れていました
ヒトビトがより、便利に、シアワセに暮らすための技術 たとえばコミュニケーションをより快適にする技術。 言葉の壁をなくすための技術。
ええ、たとえば。 文字が書けないヒトが、 音声だけで手紙を書けるような機械だって
「その国には、すでに存在していた」
──────── すべて、過去形のお話です。]
(4) 2019/04/22(Mon) 21時半頃
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[その国にひとりの若者がおりました。 名前は…… そうですね、とてもとても長い長いお名前で ここでは割愛、とさせていただきましょうか。
その若者はさまざまな技術を開発する役割を担う反面 国の、過剰な進歩に危機感を覚えておりました
進歩するとともに 失われていくもの 発展するとともに 衰退していくもの
そして高度な技術を 羨み 妬み 狙う存在を。
結果的に、その危機感は 遂に現実のものとなってしまうのでした]
(5) 2019/04/22(Mon) 21時半頃
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[どうすれば良いのか、誰もわかりませんでした 気がついたときには国は滅び 技術は失われ 多くの民は母国を捨てて宇宙へと飛び出し また 多くの民は国を守ろうと 命を落とし。
気づいたときには もう その国は、跡形もなく無くなっていたのです
ただただ。灰色の四角い塊ばかりが その土地には残りました。
ビルディングの間から見える蒼色が とても、とても、淋しげに見えたと言います]
(6) 2019/04/22(Mon) 21時半頃
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[危機感を覚えていた若者は 荒廃した国に立ちすくんでおりました これからどうすべきか 分かるはずもありません。
残った技術と道具を元に やがて若者は ひとつの森へとたどり着きます
それは進歩の手から免れた …… それでいて若者の居た国から程近い、 ちいさな ちいさな 森でした。
おおきな おおきな 世界の中では どうにも見過ごされてしまいそうな ちいさな ちいさな ちいさな 世界。]
(7) 2019/04/22(Mon) 21時半頃
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[森を若者が変えてしまおう、とか そんなふうに思ったことは一ミリもありません。
それでも若者が最初に見せた「技術」の一部が 森の住民にとってとても珍しいものだったようなので 若者はいつしか「発明家」を名乗るようになりました
……尤も。
若者にとってはそれは「発明」でもなんでもなく 住んでいた国の、もともとあった技術を、 ひとつひとつ 再現しようとしていただけ
「その国には、すでに存在していた」
だけど、もうどこにもない、技術を、もう一度。]
(8) 2019/04/22(Mon) 21時半頃
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[なぜ「発明」を続けているのかって?
だって、そこにいる住民の笑顔を見ることが 若者にとっては一番の喜びだったから、なのです
……… それはテクノロジーの発展の最初の動機、 みたいなものだったからかもしれませんね。]**
(9) 2019/04/22(Mon) 21時半頃
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[あれから きょうがおわって また きょうがきました。 けとーぅとぅのところには もう おへんじきませんでした。]
まだおとな なてなかたのかな?
[ほんのたなを さがしました。 はなのあいだを さがしました。 ぶわわこんかなて まてました。 でも やぱりおへんじ きませんでした。]
(10) 2019/04/22(Mon) 22時頃
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[はぱにおてまる かきました。 きっとぶわわに とどくおもいます。]
けとぅーとぅ。 イワ/┐。 ∧ザー●ジーノレ。 `/ランヅЧ。
[はぱにかこうとおもたら おとなが もうなつになるから はぱつかちゃだめよー ていうので さくらのきのねこに ちいちゃく かきました。]
(11) 2019/04/22(Mon) 22時頃
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もじは むずかしな。
[おてまるおへんじ こなかたのは けとぅーとぅが せんいぱいのもじ かけないから よめないて おてまるしてくれなかたかもしれません。 だから けとぅーとぅ もともともじべんきょして またおへんじ もらえるように がんばろなて おもてます。]
(12) 2019/04/22(Mon) 22時頃
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[おへんじ たくさん けとぅーとぅー とてもうれしかたから。]
また おてまるくるといいな。
[そのときのために もじいぱい べんきょしよなて おもてます。]**
(13) 2019/04/22(Mon) 22時頃
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[誰かに届けるために神様が集めた手紙の中に、その一枚はなかったはずだった。 何度も、何度も、最初にもらった手紙を読み返しているうちに、気づけばそれは足元に滑り降りてきた。
しーさーはその周りをまわった。 何度もまわった。 願いに返された、願いに触れた。 爪はそうっと触れて、ほとんど痕を残さない]
(14) 2019/04/22(Mon) 23時頃
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[そこには願いがあった。 そこには、言葉があった。 それを「こえ」と呼ぶのにはまだ躊躇いがあって、 「祈り」を口にすることにも、文字にすることにも、 勇気が足りなくて、
それでも、しーさーはその二通を「きれいなもの」の一番最上位におくことにした。 どこにあるかわからない心の中の、最上位。 一等、一番、そういう、不確かな存在として]
(15) 2019/04/23(Tue) 00時頃
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