263 ― 地球からの手紙 ―
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ヨーランダが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、カミジャー、ケトゥートゥ、D.バルベルデ、ミタシュ、ショコラ、ヘザー、イワノフ、ソランジュ、アーサー、ンゴティエク、ヒイラギの11名。
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[しーさーは太陽を見上げた。
誰が受け取るのだろうか。 ヘザー[[who]]が認めた想いを、]
(0) 2019/04/19(Fri) 00時頃
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[あるいは誰かの願いは、ンゴティエク[[who]]に届くだろうか。
名も知らぬ、顔も朧げなこの世界の人々を想う]
(1) 2019/04/19(Fri) 00時頃
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― 猫の事務所 ―
[紙袋を口に咥えて、しゅたっと窓枠へ参上。 机の上にそれを置くと、また入口の札を「在室中」に戻しておく。 猫の出入りには使わない扉。主に人間の客向けの案内である。
買ってきた封筒とシールを出し、ぴーっと口で開封する。 箱にセットしてある紙は4つに折ると封筒に入りそうだなと確認してから、再び箱へと向かった。]
……そういえば、正確な住所は聞いていないが…… まあ、小さなところと聞いているから、そこに送れば気付くだろう。きっと。
[本人が今もそこにいるとも限らない。 思い出の中に近況を語り掛けるような手紙なのだから、書くだけでも意義があるのかもしれないな。などと感慨を抱きつつ。 まずは小さな紙片に住所を印刷して、ぺたりと封筒に張りつけた。]
(2) 2019/04/19(Fri) 18時半頃
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[書き終えた手紙は薄い青の封筒に入れて、茶色の肉球柄シールを貼って封を施した。 蝋でシールするのもやや憧れがあったが、やっぱり熱そうなのでやめておく。
切手もネコ柄のものを店主に選んでもらったので、ちょいちょいと水入れにつけて貼りつける。]
これでよし、だな。
[出来上がったものを満足そうに眺めると、ヒゲをぴんっと伸ばして封筒を咥えた。 それだけを持ってまた窓へ。ポストはすぐ近所にあるから、不在の札をかけるまでもないだろう。]**
(3) 2019/04/19(Fri) 19時頃
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[きょうは あめがふてました。 ちょとさむくて ぬねるのいやだし けとぅーとぅはおうちのなかにいます。]
ごはん どしよな?
[きょうのごはんは どしよなおもてたとき ほんだなから べしょんて おちてきました。 みたことないほんは むしさんがばーんて かかねてて けとーぅとぅでも よめるもじおおきく かいてます。]
はら ぺ こ あお めし
[そうです けとーとうも はらぺこねす。]
(4) 2019/04/19(Fri) 19時頃
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[にちようび うまれて。 げつようび りんごたべました。 にちようびも げつようびも けとぅーとのとこにはないくて よくわからなかたけど あおむしはごはんたべねたので よかたなと けとぅーとはおもいました。 でもほんがぼろぼろで そこいがいちゃんとよめませんでした。
ぼろぼろのぺーじめくてると てがぺたぺたして なんでなおもて よくみると ちがうもじ いぱいかかねてるとこありました。 さいしょはきしゃないな おもてたですが よくみたらやぱり もじだなおもて いぱいのせんぐしゃぐしゃで よめないもじだたので おとなに ききにいきました。]
(5) 2019/04/19(Fri) 19時頃
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はじめまして。 ちぎれる。 なにものなのか。 うらやましい。
[けとうーとは そねくらいしかよめなかたけど おとなによんでもらたら とてもとても むずかしことで どしよなておもたのけど おとなが おはなしきかせてかいてるよ ていたので むずかしほんに おへんじかいたら きっとぶわわがもててくれるから けとぅとーーはかいてみよなて おもいます。]
(6) 2019/04/19(Fri) 19時頃
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―水底の館―
やあ、出立前に受けとれて良かった。
[空駆ける紳士からの便りを、いそいそと開封する。 昼空に輝く雲色の紙が、水を弾いている。 その上に綴られている、夜の星空色の文字。
彼と奥方が、ここを訪ねてくれたときのことが懐かしい。 ふたりとも未知の世界を楽しむことが上手で、話題が豊富で、もてなすどころかこちらが素晴らしい時間を過ごさせてもらったように思う]
……そうだね、二人で。
[大切な人との美しい思い出の中に、この水底が加わっている。 それは、亡き人を思う寂しさを、いくらかは慰めるものだった]
(7) 2019/04/19(Fri) 19時半頃
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ごたごたが片付いてからゆっくり返事をしたいところだけど、いつ戻れるかわからないからなあ……。
[悩ましげに触角を揺らしてから、やはり机に向かうことにした*]
(8) 2019/04/19(Fri) 19時半頃
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[きょうはあめがふてます。 ぶわわもたいへんなて けとぅーとおもいます。]
ありがと、ぶわわ。
[ぶわわはねてるかも はしてないかもだけど ぶわわはぬねない かもだけど きっときょうも おてまるおとどけしてくれるだろなて けとぅーとぅは おもてます。]
(9) 2019/04/19(Fri) 19時半頃
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よし さがしてみよな。
[おてまるかいたので けとーーぅとっは ちぎれたものさがしに おそとにいきます。 おおきいぼうし あたまからかぶて。 さむないようにたくさん ふくきて。]
おるかー?
[はぱのうらがわ おはなのすきま ちぎれたものさがしてみます。]**
(10) 2019/04/19(Fri) 19時半頃
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ううん、と? これは、何だろう。
[他の手紙に絡みついた、一見海草のようにも見える何か。 ゆっくりつまみ上げてみた手触りは、人工的に作られた素材に思える。 よく見ると、何かで引っ掻いたような跡がいくつもついている]
……いや、これ、字かな。 何か、書いてある。
[誰ともわからぬ相手からの、不思議なメッセージ。 いささか苦労しながら、内容を読み取った]
(11) 2019/04/19(Fri) 19時半頃
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ううん、さて。 これは。
[この「手紙」が何故、自分の元へ届いたのか。 ただの間違いでも無いように思えて、意味を考える。
考えながら、ペンに手を伸ばした*]
(12) 2019/04/19(Fri) 19時半頃
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[お出かけして戻ってきたらお手紙がありました。 ボクの部屋の机の上に置いてあるお手紙。 不思議と誰か侵入したんじゃないかとか。 怖いとか全然思わなくて。]
わあ、お返事! 本当に届いたんだ!?
[驚きと喜びしかありません。 ボクは手紙をそっと手に取って胸に抱えます。 ドキドキしすぎてすぐに封を開けられなくて。]
えへへ、ボクにもちゃんとお手紙くるんだぁ。
[ベッドにころんと転がって。 何度も何度も封筒を眺めました。]
(13) 2019/04/19(Fri) 20時頃
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[お返事はゆっくり書こう。 今日はこの後、姉さまとクッキーを作る約束があるし。 でもその前にちょっとだけ中身を読んだら。]
お、おとなだぁ。 むずかしいよぉ、どうしよ……?
[ボクにはちょっと難しくて困っちゃいました。 ううん、と悩んでいたら姉さまとの約束の時間に遅れて。 目一杯怒られちゃいました*]
(14) 2019/04/19(Fri) 20時頃
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[今日もぶらぶら足を揺らして空を見上げて。 ふーさんが呟いたようにここはいつも平和で静かで。
その静寂と、何気ない日常を破ったのは ミタシュにお手紙だよ!と仲間の誰かが持ってきた封書。 急いで開けばそれは少女が書いたお手紙のお返事]
おへんじが!来た!!
[ワクワクしながら読み進めるのを 仲間たちがうしろから前から横からじーっと眺めます。 だってお手紙なんて本当に珍しいんですもの!!
ほら、ひときわ長い影が現れたと思ったら ふーさんも一緒に、覗き込みました。]
(15) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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宇宙船?艇長? 地球以外の、ほし?
[不思議なお手紙です。 森くらいしか知らない少女は 森の外はおろか、地球の外の存在なんて ほとんど、知るよしもないのですから。
お手紙に書かれたいろんな星の姿 そのどれもが魅力的で、こころ踊り、 この森にあるどの「本」よりも冒険に溢れていて。 少女の瞳はきらきらと輝いていたことでしょう。
だけどそれを覗き込んだふーさんは、 なぜだか神妙な顔つきをしているのでした]
(16) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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[手紙に同封されていた一枚の紙。 それは「しゃしん」というものだと、 少女はやっぱり知っていましたが、 実際にそれを見るのは初めてのことでした。 ── それが「絵葉書」だというのは知りません。
真っ白な月、空を飛ぶ車、四角くて灰色い石の塊 青い空は美しいけれど、なぜだか、どこか寂しく
その写真を見て、ますます ふーさんの顔が険しくなるものですから 少女は大きく首を傾げたものでした。
「なんでもないよ。 だけど、それでもまだ緑は残ってる。 まだ、まだ、大丈夫だよ、この国は。」
ふーさんは、神妙な顔のままそう言いました。 ああ、あとそれから ───。]
(17) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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[ふーさんが真面目な顔して呟いた言葉もきっと 一緒に手紙には添えられるのでしょう。
その手紙はきっと、また、 最初のときと同じ紙、同じ文字のかたちで描かれ きっと、また、同じあなたのところに戻るでしょう]*
(18) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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[きっとそれは夕方で、 夕焼けの空をふわふわ流れる雲を 少女はじいと見つめておりました]
あ!宇宙船!
[それはきっといるはずもないものなのに 覚えたての言葉を使いたい少女は 空を指さして、そう呟くのです。
だけどそれが本当に、本当に? 望んだ形となって、手元に現れたなら?]
(19) 2019/04/19(Fri) 21時半頃
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[ええきっと本当はそれは宇宙船なんかじゃありません だってその人が乗っているにしてはやたら小さく 最終的には手の上に収まってしまうのですから
不思議な模様の書かれた紙でできた宇宙船。 だけどその端に何か文字のようなものが見えたなら? 少女はきっとそれを開いて見てみるのでした。
まさかそれが本当にお手紙だなんて思わずに!
それでもあの美しい青で描かれた 丁寧な文字とは違う、書き殴られたようなそれに きっと、少女まで頭を捻ってしまうのでしょうね]
(20) 2019/04/19(Fri) 21時半頃
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………それは、やだなあ
[手紙を読み終えた第一声はそれで ぽつりと呟いた一言に添えた表情は そう、まるで昼間のふーさんのようでした
少女はふーさんのことを何も知りません 昔一度 ふーさんはこんなことを言いました 覚えていてくれる誰かがいるのは幸せだ と 待っていてくれる誰かがいるのは幸せだ と
少女は子どもでした。 どんなに大人びていたとしても まだまだ小さな子どもでしたから いやだ、と書くのが正しいのかもわかりません
それでも、一生懸命悩んで、きっとお返事を書くのです]**
(21) 2019/04/19(Fri) 21時半頃
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ふむ。
[書き上げた手紙は宛先の分かるものは郵便局に持ち込み、残りはさてどうするかと考えている間に消えてしまった。
消えてしまった手紙だけども、相手に届いている事は確信していた。
なんとなく、楽しかった。 手紙を書くのも、受け取るのも。 “手”でやるのは妻の言う通り、楽しいものだ。]
(22) 2019/04/19(Fri) 22時頃
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[今日は紙の本を買ってきた。『世界の恋文』なんて本は届いた手紙に影響したのかもしれない。
それにしても世の人は随分と文才があるものだ。 そして甘い言葉を恋人に囁くものなのだと、他人事ながらなんとなく気恥ずかしくなる。
お菓子なら頭から食べてしまいたいなんて文章を見つけて、すごいもんだと妙な感心をした。
妻へ恋文など送った事はない。 ただ宇宙にいる間は、日誌を書き終え、眠る間際に、妻に数行の通信を毎回送っていた。
『運行に異常なし。今日も良い星空だ。』なんて事実そのままの数行。妻からの返信は同じようにシンプルなものだ。チーズケーキを作った、花が咲いた、知らない鳥が花壇に来た、イワノフの為に手袋を編んでいる。そんな日常の報告。]
(23) 2019/04/19(Fri) 22時頃
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[あの際に、一言、甘い言葉を添えたら、妻は喜んでくれたのだろうか。
いくら考えても想像がつかなかった。
甘い言葉を向けられて喜ぶ妻も、甘い言葉を妻に向ける自分も、想像できなかった。]
(24) 2019/04/19(Fri) 22時頃
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[ぼんやりと考え事をしているイワノフの耳に、かたんとかすかな音が響いた。一階。玄関からだ。
覗いてみれば、床の上に封書が落ちていた。 郵便屋経由の消印つきのものもあるが、そうでないものも、ある。本まで置かれていた。 “銀河鉄道の夜”なんて、誰が置いていったのだろう。
自然浮かんだ笑みで封筒や、本を持ち上げ、妻の部屋に向かった。]
(25) 2019/04/19(Fri) 22時頃
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艇長 イワノフは、メモを貼った。
2019/04/19(Fri) 22時頃
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[夫婦共有の住所録に書かれていた、名前の無い住所。 妻の文字で書かれた住所に興味を持って手紙を送ってみたのだが、丁寧な返事が来た。
読むうちに、ふと表情が曇る。 相手はどうやら大変な状態らしい。 その中で過去を辿り、返事をくれたようだ。 有り難い話だ。
返事の中で、妻はそこでも編み物をしていたらしい。“手”でものを作り上げる。あぁ妻だと微笑んだ。
他人の記録の中に妻の姿があるのが、とても嬉しかった。
そして、記憶のないその人が、記録の中を妻を知り、友人の可能性を示してくれたのが、嬉しかった。
お礼を言いたいと思った。ペンを、取る。]
(26) 2019/04/19(Fri) 22時半頃
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